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Vol.61 マンションの健康診断書!?重要事項調査報告書とはなんぞや!?

不動産にかかわるノウハウ

“重要事項調査報告書”は、マンションにおける健康診断書!? 



昨日の総会議事録に続き、本日は『重要事項調査報告書』(じゅうようじこうちょうさほうこくしょ)です!



名前はちょっと堅苦しい。


でも、内容はとっても大事。



この書類、たとえるなら“マンションの健康診断書”。



今回はこのレアでマニアック、でも超重要な「報告書」を、わかりやすく解説します。




そもそも「重要事項調査報告書」とは?


これは、マンションの管理に関する詳細情報をまとめた書類で、管理会社が発行します


もしくは、自主管理物件の場合、マンションの理事長に対し、質問内容をまとめた上で不動産会社が清書するなんてコトもあります。



不動産売買の際には、「管理の状況を買主に説明する」義務があるため、その元ネタとしてこの報告書が登場するわけです。



つまり、あなたが購入を検討しているマンションが、


  • ・財政的に大丈夫?

  • ・修繕はちゃんとされてる?

  • ・管理体制は信頼できる?


といった情報を、“数字”と“事実”で教えてくれるのがこの書類。


この書類があれば、マンションの本当の姿がわかるんです!




中身を見てみよう!ここがポイント


「調査報告書」と聞くと分厚くて読む気が失せそう…ですが、見るべきポイントは絞られています。



① 財政状態チェック(=血液検査)


  • ・修繕積立金の残高はいくら?

  • ・滞納はある?何件?どのくらいの額?

  • ・管理費と修繕積立金のバランスは?


まさに“お金の血流”。 


滞納者が多いと、そのツケは将来あなたに回ってくるかもしれません…!


でも逆に、数字が健全であれば、


「このマンション、経済的に健康だな」


と、安心できます。


もちろん、○○日時点となりますので、滞納後に支払われているケースがほとんどです。



また、物件によっては大規模修繕など行うのに積立金が足りず、


管理組合が銀行から融資を受ける


と言うコトもあります。



これは管理組合として借入しているので個人での負担はありませんが、


毎月支払う修繕積立金などから返済をしているため、事実上の負担になっています。


借入をしているから粗悪とは言い切れません。



この判断は、○○だからこう!ではなく、その事実を知った上で!が重要です。




② 修繕履歴と予定(=健診履歴)


  • ・いつ何の修繕を行ったか?

  • ・次の大規模修繕の予定は?

  • ・長期修繕計画は策定されている?


これは、歯医者でいうところの「定期メンテナンス記録」!


過去にちゃんとケアされてきたか、今後はどうか。


中には「外観はキレイだけど修繕は放置」なんてケースもあるので要注意です。




③ 管理体制の状況(=かかりつけ医)


  • ・管理会社はどこ?信頼できる?

  • ・清掃や点検頻度は?

  • ・管理費でちゃんと回ってる?


良い医者=良い管理会社。 


「業者をコロコロ変えてるマンション」は要注意です。


逆に、長年同じ業者とつきあっていて、議事録との整合性もあれば信頼度アップ!




④ ペット・楽器・リフォームなどの規約事項(=生活習慣チェック)


  • ・ペットは飼える?

  • ・楽器演奏は?

  • ・室内リフォームの制限は?


あなたの「やりたい生活」がそこにハマっているかの確認ポイントです。


「猫と暮らしたいのに、ペットNGだった…」なんて、契約後に知ったらショックですよね。




ネガティブ情報があっても、即NGではない!


ここで強調したいのは、報告書を読んで「問題があったからダメ」というわけではないということ。


たとえば、


  • ・滞納者が数名いた

  • ・直近の修繕費が予算オーバー

  • ・管理費がちょっと高い


…などの情報も、知った上で納得していれば全然OK。


むしろ、**こうした情報を事前に知っておけることこそが「安心材料」**なのです!


報告書に何も書かれていない=良い物件、ではありません。


 書かれていないことの方がむしろ怖い!



「重要事項説明書」とは違うの?


混同されがちですが、別物です。


  • 【重要事項説明書】:売買契約時に不動産業者が説明する、法律上の書類


  • 【重要事項調査報告書】:管理会社が発行する、マンションの運営情報まとめ


つまり、前者は「法律」、後者は「実情」。


調査報告書を読んでから説明書を見れば、「うんうん、やっぱりそうか」と納得できる構造になっています。




もらえないケースは要注意!?


「報告書はまだ準備中です」 


「管理会社が発行しないタイプで…」


など、もしも提供を渋られたら、ちょっと赤信号。


悪意があるとは限りませんが、「情報が開示されていない状態での判断」はリスクが高いです。


見せてもらえるかどうかは、そのマンションの“透明性”のバロメーター!



あ。報告書の取り寄せ中なんてことはザラにありますので、大目にみましょう。


管理会社に依頼後、5営業日は最低でも掛かりますし、お金もそれなりに、かかるんですよ。。。




まとめ:報告書は“未来の安心感”を買うための資料


不動産選びは、「見た目」より「中身」。


その“中身”を最も分かりやすく可視化してくれるのが、この『重要事項調査報告書』です。


報告書を読めば、物件の良いところも、ちょっと気になるところも、すべて納得づくで購入できます。



それって、すごく気持ちよくないですか?


健康診断だって、結果を知ってから対処すればいい。


マンションだって同じです。



ぜひ、中古マンションを検討するときは、「あの〜、重要事項調査報告書ってありますか?」と聞いてみてください。


契約時には付帯される書類ですので、基本的には見せてもらえるはずですよ。


特別な書類でもありません!



記:宅地建物取引士 原田

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