
Vol.251 法人で不動産を持つメリット・デメリット
法人で不動産を持つメリット・デメリット
―「節税になるから法人化」は、本当に正解?―
【不動産投資=法人が有利、は半分正解で半分間違い】
不動産投資の話をしていると、よくこんな言葉を耳にします。
「法人で持った方が節税になりますよね?」
確かに、法人で不動産を持つメリットは存在します。
しかし同時に、法人で持ったからこそ発生するデメリットも、確実に存在します。
この記事では、
■法人で不動産を持つメリット
■見落とされがちなデメリット
■法人が向いている人・向いていない人
を、不動産実務の視点で分かりやすく解説します。
1.そもそも「法人所有」とは?
ここで言う法人所有とは、
株式会社・合同会社などを設立し、その法人名義で不動産を購入・保有することを指します。
個人所有とは、税金・融資・出口戦略が大きく異なります。
2.法人で不動産を持つメリット
メリット① 税率が安定している(所得が多い人ほど有利)
個人の場合、所得が増えるほど累進課税で税率が上がります。
一方、法人税は、
■一定の税率
■所得が増えても急激に上がらない
という特徴があります。
特に、
不動産収入が大きい
他の事業所得と合算される
場合、法人の方が有利になるケースがあります。
メリット② 経費計上の幅が広い
法人では、
■役員報酬
■役員社宅
■出張・会議費
■生命保険
など、個人より柔軟な経費処理が可能です。
ただし、「何でも経費にできる」は誤解です。
メリット③ 相続・事業承継がしやすい
不動産を法人で保有していれば、
■株式の承継
■持分調整
という形で、分けにくい不動産を分けやすくすることができます。
将来を見据えた方には、大きなメリットです。
メリット④ 複数物件・長期運用に向いている
法人は、
■長期保有
■複数棟運用
■拡大戦略
を前提にした器です。
「投資を事業として育てたい人」には向いています。
3.法人で不動産を持つデメリット
デメリット① 設立・維持コストがかかる
法人は、
■設立費用
■税理士費用
■決算コスト
など、毎年必ずコストが発生します。
不動産収入が少ないと、「節税どころか、赤字」というケースもあります。
デメリット② 融資が厳しくなる場合がある
法人だから有利、とは限りません。
■設立間もない法人
■実績がない法人
の場合、
金利が高い
個人保証が必要
借入期間が短い
など、個人より条件が悪くなることもあります。
デメリット③ 売却時の自由度が下がる
法人所有の場合、
■売却益に法人税
■資金を個人に移す際に課税
という、二重構造になりやすい点は要注意です。
「将来売って現金化したい人」には不向きな場合もあります。
デメリット④ 簡単にはやめられない
法人は、
■解散手続き
■清算
■税務処理
が必要です。
「とりあえず作る」という考え方は、非常に危険です。
4.よくある失敗パターン
失敗① 節税だけを理由に法人化
収入がまだ少ない
物件が1つだけ
この状態で法人化すると、「節税のつもりが、管理コスト増」になりがちです。
失敗② 税理士・不動産会社の意見が分かれている
税理士は「法人が良い」
不動産実務では「個人向き」
というケースは珍しくありません。
両方の視点が必要です。
5.法人が向いている人・向いていない人
【法人向きな人】
不動産収入が一定以上ある
複数物件を運用する予定
長期保有・承継を考えている
【個人向きな人】
これから始める
物件数が少ない
将来売却して現金化したい
6.法人は「手段」であって「目的」ではない
法人化は、不動産投資を成功させるための道具です。
■目的
■規模
■将来像
を整理せずに法人化すると、かえって身動きが取れなくなります。
7.法人か個人かは「人によって正解が違う」
法人が絶対に有利、ではない
個人が不利、でもない
正解は人によって異なる
重要なのは、今の状況と、これからの計画です。
【法人で持つべきか迷ったら、必ず事前相談を】
■今の収入で法人は必要?
■何棟から法人化すべき?
■個人から法人に移すタイミングは?
当社では、
個人・法人どちらの実例も豊富
税理士と連携した判断
売買・運用・出口まで含めた提案
を行っています。「作る前」・「買う前」の相談が、将来の差になります。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池