Vol.18 住宅ローン金利が上がった今どうする?この局面での不動産の買い方を解説
記:ファイナンシャルプランナー 菊池
近年、住宅ローン金利が上昇傾向にある中で、多くの方が不動産購入を慎重に考えています。この影響は物件選びや購入タイミングに大きな影響を及ぼします。この記事では、金利上昇が住宅購入にどう関わってくるのか、またそれにどう対処すべきかを解説します。
住宅ローン金利上昇時の不動産購入戦略
この金利の上昇が不動産市場に与える影響は無視できません。金利が上がると、月々の返済額が増えるため、購入を検討する際には慎重な判断が求められます。それでは、金利上昇時における不動産購入の戦略を見ていきましょう。
まず、金利上昇時の不動産市場の特徴として、不動産の取引量が減少することが挙げられます。購入をためらう人が増え、物件の売れ行きが鈍化するためです。この状況では、販売者側が価格を下げることもあり、交渉の余地が生まれる可能性があります。また、金利が上昇する局面では、資産価値が安定している物件が重視される傾向があります。
購入タイミングを見極めることも重要です。金利がまだ上昇を続ける予測がある場合、早めに動くことが有利になることがあります。一方で、金利が一時的に上昇し、その後安定する見込みがある場合は、急いで購入する必要はないかもしれません。
ただし、結果として不動産価格が下落するにも、どの程度の時間が必要となるかは誰にも分かりません。
金利状況 | 市場の特徴 | 購入戦略 |
---|---|---|
金利上昇初期 | 価格が安定、交渉余地あり | 早めの購入検討 |
金利上昇中 | 取引量減少、価格交渉可 | 慎重なタイミング選択 |
金利安定期 | 取引回復の兆しあり | 市場動向を見極める |
このように、金利上昇時には市場の動きに敏感に反応し、柔軟な戦略を持つことが大切です。物件の選び方や購入タイミングを工夫することで、金利上昇の影響を最小限に抑えることが可能です。次に、物件探しのポイントについて詳しく見ていきましょう。
物件探しのポイント
このタイミングで探す際は、慎重に行う必要があります。高い金利が続くと、月々の返済額も増えるため、物件選びの基準を見直すことが重要です。まず考慮すべきは、物件の価格だけではなく、管理費や修繕積立金、駐車場費用や固定資産税等の返済以外に掛かる費用を先に目安立て、月々の支払いが可能かどうかを元に返済額から借入金額(物件価格)を決めてみましょう。
エリア選びに関しては、利便性だけでなく、将来的な発展性も考慮する必要があります。例えば、再開発が予定されている地域や、新しいインフラが整備されるエリアは、将来的に資産価値が上昇する可能性があります。また、学校や病院、商業施設へのアクセスが良い地域は、ファミリー層に人気が高く、資産価値が保たれやすいです。とは言っても、計画が発表されてから時間の経過とともに価格は上がりやすくなるのが難しいところです。
さらに、物件の種類も重要なポイントです。新築物件は最新の設備やセキュリティが備わっていることが多いですが、中古物件も選択肢に入れると選べる範囲が広がります。中古物件の場合、リフォームやリノベーションによって、自分好みの空間を作ることができるため、コストパフォーマンスが高い選択肢とりやすくもあります。マンションと戸建てでの将来に渡る支払額も探される際に考慮する必要があると思います。
ポイント | 考慮点 | 利点 |
---|---|---|
エリア選び | 再開発予定、インフラ整備 | 将来的な資産価値の向上が期待できる |
物件の種類 | 新築 vs 中古 | 中古物件はリフォームで個性を出せる |
資産価値 | 価値の維持 | 長期的に資産として安定 |
このように、金利上昇を踏まえた物件選びでは、価格だけでなく、返済額や将来性を考慮することが重要です。賢明な選択をすることで、安心して長く住むことができるでしょう。
住宅ローン返済中の人がとるべき対策
住宅ローン返済中の方にとっては、これからの家計にどのように影響を及ぼすのか、考えただけでも心配になりますね…。しかし、適切な対策を講じることで、その不安を軽減できる可能性があります。ここでは、金利上昇に備えた返済計画の見直しと、繰上げ返済や借り換えの検討について詳しく見ていきます。
まず、金利上昇に備えた返済計画の見直しです。金利が上がれば毎月の返済額が増える可能性がありますので、家計の見直しが必要です。具体的には、生活費の無駄を省くことや、収入と支出のバランスを再確認することが重要です。家計簿をつけることから始めると、無駄な出費を見つけやすくなります。
次に、繰上げ返済や借り換えの検討です。繰上げ返済は、元本を減らすことで総返済額を抑える有効な手段です。ただし、手元資金がなくなるリスクもあるため、慎重に判断する必要があります。また、借り換えは現在のローンよりも低金利のプランを探すことで、返済負担を軽減できる可能性があります。
近年の住宅ローン控除を利用されている方は、1%か0.7%だと思います。現在の金利と見比べてこの%を超えた以上の金利で返済されている様でしたら、繰り上げ返済を待たれた方が得とも言えます。ただし、これは理論上の事でもありますので、慎重に検討してください。また、借り換えで返済額を抑えられる様でしたら、それも一案です。以下の表に、繰上げ返済と借り換えのメリットと注意点をまとめました。
対策 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
繰上げ返済 | 総返済額を減らせる | 手元資金が減るリスク |
借り換え | 低金利ローンで返済負担軽減 | 手続き費用がかかる |
このように、対策は複数存在します。それぞれのメリットと注意点をしっかり理解し、家計に合った方法を選ぶことが大切です。日々の生活の中で少しずつでも家計を見直して、安心して住宅ローン返済を続けられるようにしましょう。
これから住宅ローンを借りる人向けの対策
住宅ローンをこれから組む方にとって、金利の選択は非常に重要です。固定金利と変動金利、どちらが自分にとって有利なのかを慎重に考える必要があります。固定金利は、返済期間中の金利が一定であるため、将来の金利上昇リスクを回避できます。一方、変動金利は通常、固定金利に比べて初期の金利が低いですが、市場金利の変動に応じて利息が上下するリスクがあります。
現在の金利上昇局面では、固定金利を選ぶことで長期的な安心感を得られるかもしれません。しかし、変動金利を選ぶことで、当初の支払額を抑えることも可能です。ただ、固定金利は変動金利が上がっている状況になった際、既に上がっているために、選択肢としては選択にあたっては、自分のライフプランや家計の状況をよく考慮することが大切です。ひとつの参考として、手元にある余剰資金をどの様に増やすか?の選択でちょっとした向き・不向きが見えます。もし、定期預金などの元本保証の商品で増やすとの回答の方は固定金利向き、株などのリスクある商品で増やすとの回答の方は変動金利向き。金融機関にもよりますが、固定と変動のミックス型もありますので、検討されてみると良いでしょう。以下の表は、固定金利と変動金利の特徴をまとめたものです。
金利タイプ | 特徴 | メリット・デメリット |
---|---|---|
固定金利 | 金利が一定 | メリット: 安心感。デメリット: 変動よりも返済額が高くなる |
変動金利 | 市場金利に応じて変動 | メリット: 支払額が低い。デメリット: 将来の金利上昇リスクによる元本未払い発生 |
金利上昇を見越したローンの組み方としては、返済可能な期間を長めに設定することも一つの方法です。これにより、月々の返済額を抑えつつ、金利が上昇した際にも余裕を持って対応できる可能性が高まります。また、頭金を多めに用意することも金利負担を軽減するための有効な手段です。
最終的に重要なのは、自分自身のライフスタイルや将来の収入予測に基づき、無理のない返済計画を立てることです。住宅ローンは長期にわたる大きな決断ですので、プロのアドバイスを受けることも検討してみてください。適切な選択をすることで、安心してマイホームを手に入れることができます。
まとめ
市場の動きを見極め、返済計画の見直しを行うことで、長期的に安心できる購入を実現できます。固定金利と変動金利の選択や繰上げ返済の検討も賢明です。正しい情報をもとに、適切な判断を下すことが成功への鍵となります。ご用意できる資金、どのような物件をどのエリアで買いたいのか、月々の返済額の希望などをベースにした考え方が大切で、単に「金利」だけにスポットを当てるのもナンセンスです。金利が上がっているからこそ、物件価格が下がりやすいこの局面。神奈川県内では特に価格の高止まり感は感じられます。急に値下がることは考えにくいものの、様々な金融商品を見比べていただきながら、ご自身やご家族の笑顔が絶えない不動産の購入ができるよう、当社としてもお役に立てられれば幸いです。