VOl.55 「南向き信仰」はもう古い?今の時代の日当たりとは?
「南向き信仰」はもう古い?今の時代の日当たりの本当の選び方
「やっぱり南向きでしょ!」
「南向き以外は論外!」
…という声、今でも不動産探しではよく聞きます。でも本当にそうでしょうか?
実は、南向きじゃなくても素晴らしい物件はたくさんありますし、むしろライフスタイルによっては「南向きじゃない方がいい!」なんてことも。
今回は、長年、不動産業界を支配してきた“南向き信仰”にちょっと待った!をかけつつ、各方角のメリットと、自分に合った日当たりの選び方にアドバイスをしてみようと思います。
【1】そもそも「南向き最強説」はどこから来た?
日本の住宅文化に根強く残る「南向きが正義」という価値観。
これは、
・戦後の住宅不足時代、限られたスペースで“日当たり”が重視された
・昔の住宅は断熱性が低く、冬場の太陽光が貴重だった
・洗濯物が外干し前提で、日照時間が重要だった
という背景があるのです。
つまり、
南向き=暮らしやすい というのは、昭和の“生活スタイル”に最適化された考え方とも言えます。
今や、
・断熱性能の高い住宅が当たり前
・洗濯物は部屋干し派・浴室乾燥機派も多い
・在宅ワークや趣味重視のライフスタイル
など、暮らし方は大きく変化しています。
「南向きじゃないとダメ!」は、もはや“思い込み”かもしれません。
【2】南向きにも“落とし穴”がある!?
もちろん南向きには良いところがたくさんあります。
・日照時間が長く、明るい
・洗濯物が乾きやすい
・植物がよく育つ
でも、こんな落とし穴も。
・夏は暑すぎて地獄(朝から晩まで日差し直撃)
・家具やフローリングが日焼け(紫外線で色褪せ)
・午前中も午後も暑くてエアコン代がかさむ
さらに、高層階などでは「南向き=日差しが強すぎてブラインド全閉じ」というオチも。
明るいはずが、結局“昼間でも暗室”になることもあります。
【3】実は快適?東向きの魅力
「朝日で目覚めるなんて、健康的〜」
まさにそのとおり。東向き物件の特徴は、
・朝から太陽が差し込む
・午後には日差しがやわらかくなる
・目覚めが良く、朝型生活にピッタリ
・在宅ワークや子育て中の家庭にも◎
ただし、
午後はやや暗くなるので、照明を活用した工夫が必要。
朝型生活をしている人、モーニングルーティンを大事にしている人にとっては、南向き以上に快適な方角かもしれません。
【4】西向きって人気ない?実は“夕陽ラバー”には最高
「夕日が部屋いっぱいに差し込んできて…ロマンチック♡」
そんな“黄昏タイム”を楽しみたい方には、西向きが断然おすすめ!
・午後から夕方にかけて明るい
・仕事終わりに帰宅しても明るい室内
・冬はポカポカで暖かさ持続
ただし、
・夏場の西日はガチで強烈!(遮光カーテンはマスト)
・朝は暗めなので、朝弱い人には天国
「朝はゆっくり寝たい」派や「夜に活動的」なタイプには、むしろ向いていると言えるでしょう。
【5】北向きは暗い?それって“神話”です
「北向き=暗くてジメジメ」 というのは、実はこれも誤解のひとつ。
確かに直射日光は少ないですが、
・年間を通じて室温が安定
・家具や床が日焼けしにくい
・絵やインテリアが映える
なにより、
・光の反射を計算すれば“やさしい明るさ”が確保できる
・北向きでも角部屋なら2面採光で超快適
さらに北向き物件は、人気が低めゆえ、
・家賃や価格が割安
・条件交渉が通りやすい
「自然光ガンガンよりも、落ち着いた空間が好き」な方にとって、北向きはむしろ“贅沢な選択肢”です。
【6】日当たりは“方角”だけで決まらない!
実は「南向き=日当たり良好」とは限りません。
なぜなら、
・周囲の建物の影
・バルコニーの奥行
・窓の大きさや位置
などにより、同じ南向きでも日照条件は大きく異なるからです。
逆に北向きでも、
・前が公園や駐車場で日が入りやすい
・高層階で遮るものがない
なんてことも。
つまり、日当たりは“図面上の方角”だけでは測れないものだと思います。
・実際に部屋の中に光が入ってくるか
・周囲の建物の影がどうなっているか
・朝と夕方の光の入り方の違い
などをしっかり確認することが大切です。
【7】「日当たり至上主義」から“暮らし方主義”へ
ここまで読んでくださった皆さん、もうお気づきでしょう。
方角よりも大事なのは「あなたのライフスタイル」!
たとえば、
・在宅ワーカーなら午前の東光を重視
・シフト勤務で昼寝派なら北向きの安定光が◎
・昼間は外出して夜がメインなら西向きで十分
南向きが「絶対的に良い」とは限らず、逆に「思ったより暑い、まぶしい…」と後悔する人も少なくありません。
「自分の一日」と照らし合わせて、どの時間にどんな光が入ると嬉しいか?を考えることが、本当に満足できる住まい選びのカギなんです。
【まとめ】“南向き信仰”にさようなら、自分にフィットする方角を
「南向き=正解」という呪縛から、一歩抜け出してみませんか?
それぞれの方角には、それぞれの良さと、気をつけるポイントがあります。
方角 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
南 | 明るく洗濯物◎ | 夏は暑すぎ、紫外線強 |
東 | 朝日で目覚め◎ | 午後はやや暗い |
西 | 夕方明るく暖かい | 夏の西日は厳しい |
北 | 安定した明るさ | 日照少なめだが工夫次第 |
最後にひとこと。
日当たりは“好み”と“暮らし方”で選ぶ時代!
お部屋選びでは、図面の「南」の文字だけに踊らされず、自分の生活スタイルをじっくり見つめてみてください。
冷静に考えてみると、今回のテーマは、ちょっとは納得出来たりしませんでしょうか???
記:ライフプランナー 武井