Vol.68 「遠方にある相続物件」でも上手に売る5つのステップ
「遠方にある相続物件」でも上手に売る5つのステップ
〜物件は遠くても、売却は近道できます〜
ある日突然、親戚から「家、相続したからよろしくね」と告げられる。
場所は…え、ええと…〇〇県××市?行ったことないどころか、読めない地名!
そんな経験、ありませんか?
相続物件って、なぜか絶妙に「遠い」ところにあることが多い。
不思議ですね、磁石のN極とS極みたいに、あなたの生活圏と真逆に位置してる。
でも、大丈夫。
そんな“遠距離物件”でも、ちゃんと売れるんです。
今回は、そんな“遠方の相続物件”をスムーズに売却するための5つのステップを、解説していきます。
ステップ①:まずは「現状把握」!情報がすべてのスタート地点
遠くにある物件を売るには、まず情報収集。
ここをサボると、後々とんでもない“ドミノ倒し”が起こります。
□ 最低限チェックするべき情報
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・住所と地番(※地番は住居表示と違うことが多い)
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・名義は誰になってる?(登記変更されてる?)
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・固定資産税評価額
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・境界は確定してる?(これ地味に重要)
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・建物の築年数、構造、図面の有無
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・家財道具、残ってる?ゴミ屋敷化してない?
可能なら、現地の役所で「固定資産税の課税証明書」や「名寄帳」、「登記簿謄本(全部事項証明書)」を取得しましょう。
ネットで取得できる場合もあるので、自治体のサイトをチェック!
ポイント
売却活動は「登記名義人」がやらないといけないので、相続登記がまだの方は急ぎましょう。
令和6年4月から、相続登記は「義務化」されてます!
ステップ②:「地元の不動産屋」こそ最強の味方!
不動産を売るなら、まず「ポータルサイトに登録しなきゃ」と思っていませんか?
確かにそれも手ですが、遠方物件には“地元不動産屋”が断然強い。
□ なぜ地元不動産屋?
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・そのエリアの「売れ筋価格」を熟知している
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・購入希望者のネットワークがある
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・物件の良し悪しを肌感覚で知っている
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・地域のしがらみ(私道問題、組合ルール)にも詳しい
つまり「土地勘」が命なんです。
ポイント
電話やオンラインで相談できる不動産会社が増えています。
現地に行かずとも、ある程度の打ち合わせはリモートで可能です!
ステップ③:「片付け」はプロに丸投げすべし!
いざ売却を進めようとしても、物件の中は昔ながらの家具・仏壇・謎の壺でパンパン…。
このままだと、内見にすらたどり着けません。
□ 処分方法3選
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・遺品整理業者に一括依頼(最もスムーズ)
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・リユース業者に売却 or 寄付(物に価値があれば)
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・自力で少しずつ処分(体力・時間・覚悟が必要)
ちなみに、遠方の物件に何度も通って片付けると、交通費だけで軽く数十万円…。
ここは潔くプロに頼んでしまいましょう。
ポイント
「空き家バンク」や「自治体支援制度」で処分費用の補助が出ることも!
地元市役所に問い合わせてみましょう。
ステップ④:遠隔操作でも売却は進む!鍵は“委任状”
「毎回現地に行くの無理…」というあなた、安心してください。
不動産の売却は「代理人」に任せることができます。
□ 委任でできること
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・売却の媒介契約
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・売買契約の締結
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・決済・引渡しの立ち会い(司法書士も同行可)
つまり、あなたが一度も物件を見ずに、契約・決済まで完結することも不可能ではないんです。
ポイント
ただし、登記に必要な印鑑証明書や本人確認書類は必要なので、その点だけは事前に準備しておきましょう。
ステップ⑤:売却益の税金、忘れた頃にやってくる!
さて、無事に売却が完了しても、最後にやってくるのが「確定申告」というラスボス。
特に注意すべきは「譲渡所得税」。
□ 覚えておきたいこと
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・相続後に売却した場合、取得費加算の特例が使える(相続税の一部を取得費にできる)
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・空き家の3000万円特別控除が使えるかも(昭和56年以前の家が対象)
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・売却益が出なければ、税金はかからない
税理士に相談して“事前シミュレーション”をしておくと安心です。
売却後に「あれ?税金でけっこう持ってかれた!」という悲劇を避けましょう。
まとめ:距離があっても、段取りで差がつく!
遠方にある相続物件の売却は、たしかに一筋縄ではいきません。
が、ポイントは「距離」ではなく「段取り」です。
最初の情報収集、現地業者との連携、片付け、委任、税務…これらを順にクリアすれば、離れていても“売却の距離”はグッと近づきます。
大切なのは「放置しない」こと。
放置して10年後に売ろうとしたら、草むらと税金が2倍になって待ってますよ(マジで)。
おわりに:ご相談はお気軽にどうぞ!
当社では、遠方の相続物件に関するご相談も多数承っており、全国対応しております。
オンライン面談や資料郵送、現地確認の代行など、可能な限りサポートいたしますので、お困りの方はぜひご連絡ください。
売却も、片付けも、相続も、あなたひとりで抱え込む必要はありません。
一緒に、スマートな売却を目指しましょう!
記:宅地建物取引士 原田