
Vol.101 告知物件が人気?買う人の心理とは?
告知物件が人気?買う人の心理とは?
~告知物件って、実は“宝探し”?~
「この家、実はちょっとワケありでして…」
不動産屋が少し歯切れ悪くそう切り出すとき、あなたが手にしているそのチラシの片隅には、
ひっそりと「告知事項あり」の文字が。
そう、「告知物件」。
多くの人が何となく敬遠しがちな言葉ですが、
最近では「え、それ、むしろ狙い目じゃない?」という声もちらほら聞こえてくるようになりました。
実は、告知物件をあえて選ぶ人には“明確な心理”と“メリット”があるのです。
今回は、「告知物件=ヤバい」から一歩踏み出し、その魅力や買う人の心理を深掘りしてみましょう。
そもそも「告知物件」って何?
「告知物件」とは、主に以下のような事実が過去にあった不動産を指します。
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■室内で人が亡くなっていた(自然死・孤独死・事故死・事件など)
■近隣に嫌悪施設(ゴミ処理場・暴力団施設など)がある
■過去に大きなトラブル(住民間の裁判沙汰など)があった
これらを“心理的瑕疵”と呼び、買主や借主に対して伝える義務があります。
ただし、この「伝える義務」にも曖昧さがあり、
例えば「事件性がなく老衰で亡くなった場合」は数年後には告知されないこともあるなど、
線引きが難しいんです。
告知物件の“人気”はどこから来るのか?
「えっ、そんな物件を“あえて”選ぶ人がいるの?」と驚いたあなた。
実は告知物件を選ぶ人の心理には、しっかりとしたロジックがあります。
代表的なパターンを紹介しましょう。
1. とにかく“価格が安い”!
言うまでもなく、最大の魅力は「価格」。
築浅でも数百万円以上安くなっていることもザラです。
たとえば、「5,000万円相場の家が4,200万円!」という数字を目の前にすると…
「いや、幽霊出てもええやん……ローン月2~3万円違うで?」と、電卓片手に揺れる心。
冷静になってください。
出る保証もないですし、出ない保証もありませんが、「安さ」という正義の前では、
多少の“気配”なんて吹き飛ぶ方も多いのです。
2. 「気にしない自信」がある
人の感じ方は千差万別。
たとえば…
■海外では「家の中で亡くなる=普通」
■医療関係者や介護経験者は「よくあること」とスルー
■「一回お祓いしてもらえば気にならないよ」という“霊感ゼロ”派
というふうに、「自分には関係ない」と割り切れる人には、まったくのノーダメージ物件となります。
特に都市部では「場所優先・価格重視」というリアル志向の人ほど、
告知物件を“お得な物件”として見ている傾向があります。
3. 「人が住めば変わる」という希望
実際、不思議なもので、人が住み始めると空気が変わるんです。
数年間空き家だった告知物件も人が入り、生活音が響き、笑い声が聞こえれば、もはやそこは“普通の家”。
「うち、告知物件だけど、今じゃ毎朝うるさいくらい子どもがはしゃいでるよ」
と語るパパさんの言葉が何よりの証拠。
気をつけたい“告知物件”選びのポイント
もちろん、良いことばかりではありません。
告知物件は、買う側にも“覚悟”と“見極め”が求められます。
● 過去の事実の詳細をしっかり確認
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・どういう経緯で亡くなったのか
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・どこで、誰が、いつ亡くなったのか
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・ハウスクリーニングやリフォームは入ったか
など、販売業者から「なるべく正確な情報」を引き出しましょう。
※言いにくい話なので、オブラートに包んで言われることもあります。根気よく聞くのが吉。
● 近隣住民の“反応”を探る
その物件よりも大切なのが、“周囲の目”です。
・お隣さんがやたらと根掘り葉掘り話してくる
・町内会でウワサになってる
というエリアでは、居心地の悪さを感じることも。
逆に、「あら、もう誰か住んでるんですね~」程度の反応なら問題ナシ。
● 売却時の“出口戦略”を持つ
「安く買ったけど、売るときどうする?」は常にセットで考えましょう。
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告知義務の期間(目安:数年)が過ぎれば、将来的には告知不要になる場合も
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・リフォームやリノベで印象をガラッと変える
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・投資用として賃貸に出す(賃貸は売買ほど告知義務が重くない)
という手段もあるため、“最終的にどうするか”を見越して購入すれば、リスクも軽減できます。
告知物件、こんな人におすすめ!
告知物件は、誰にでも勧められるものではありません。
しかし、こんなタイプの人には向いています。
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「立地と価格が最優先!」という割り切り派
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「過去より未来が大事」と考える現実主義者
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「人が住めば気にならない」と思えるポジティブ派
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「将来の売却や賃貸も視野に入れている」戦略派
逆に、「気になり出すと寝られない…」「家族に反対されてる…」という方は無理しないでOK。
気持ちよく暮らせる家を選ぶのが一番ですからね。
「告知物件」は、怖くない。むしろ、オイシイ?
「告知物件」と聞くと、「え、なにそれ怖い…」と一歩引いてしまいがちですが、
見方を変えれば“価格の安さ”と“住まいの質”のバランスが取れた
優良物件”だったりもします。
もちろん、選ぶには情報収集と割り切り、そして少しの勇気が必要。
でも、冷静に考えれば、私たちが今住んでいる場所も、どこかで何かしらの歴史を背負っているのです。
それが「たまたま知らない」だけかもしれませんし、
「たまたま伝えられていない」だけかもしれません。
告知物件を検討することは、単なる物件選び以上に、“自分の価値観を見直すきっかけ”にもなり得ます。
あなたが「家」とどう向き合いたいか——
それが一番の“買う理由”になるのかもしれませんね。
記:宅地建物取引士 原田