
Vol.303 不動産会社の責任とは?
不動産会社の責任とは?
〜売主・買主・仲介、それぞれの立場で考える「責任」のリアル〜
不動産の売買は、人生の中でも特に大きな取引のひとつです。
数千万円、時には数億単位のお金が動く世界ですから、
「もし何か問題があったら、誰が責任を取るの?」
これはとても重要なポイントです。
そして不動産の世界では、この責任が売主・買主・仲介(不動産会社)という、
三者それぞれの立場で分かれています。
今回は「不動産会社の責任とは何なのか?」をテーマに、
売主側・
1.不動産売買は「三者の取引」
まず基本的な構造から整理してみましょう。
不動産の売買は、次の三者で成立します。
売主 → 不動産を売る人
買主 → 不動産を買う人
仲介 → その間に入る不動産会社
イメージとしては、
「商品を売る人」
「商品を買う人」
「その取引をサポートするプロ」
という関係です。
ここで大切なのは、不動産会社は「売主」でも「買主」でもない場合が多いということです。
つまり仲介の場合、不動産会社は取引を安全に成立させる役割を担っています。
2.売主の責任とは?
まずは売主側の責任から見てみましょう。
売主の大きな責任は、物件の状態を正しく伝え、維持し、無事に販売・引渡しをすることです。
■雨漏りがある
■シロアリ被害があった
■給排水管に問題がある
■境界がはっきりしていない
■過去にトラブルがあった
これらを知っているのに隠して売ると、
現在の法律では、これを契約不適合責任と呼びます。
簡単に言えば、「契約内容と違う状態だった場合の責任」です。
もし重大な問題が発覚すると、修復・損害賠償・契約解除といった話になる可能性があります。
つまり売主にとって大事なのは、知っていることは正直に伝えるということなのです。
3.買主の責任とは?
次に買主側の責任です。
実は買主にも責任があります。
それは、物件をきちんと確認し、契約後にはお金を支払うことです。
これを法律的には注意義務と言います。
例えば、
■内見をしない
■説明書を読まない
■周辺環境を確認しない
このような状態で契約してしまうと、後から「思っていたのと違う」と言っても、
すべてが認められるわけではありません。
不動産は高額な買い物ですから、購入前に確認する努力も重要なのです。
もちろん、不動産会社も説明はしますが、最終的に購入を決めるのは買主自身です。
4.仲介(不動産会社)の責任とは?
では、不動産会社にはどんな責任があるのでしょうか。
仲介業者の最大の責任は、取引を安全に成立・成就させることです。
具体的には次のような役割があります。
①調査義務
不動産会社は、物件について様々な調査を行います。
■登記情報
■法令制限
■道路状況
■建築制限
■インフラ
■ハザード情報
などです。
これらを調べて、買主に説明する必要があります。
②重要事項説明
不動産取引で必ず行われるのが重要事項説明です。
これは国家資格である宅地建物取引士(宅建士)が説明する義務があります。
内容はかなり多く、
■物件の権利関係
■法律の制限
■インフラ
■管理状況
■契約条件
など、契約前に説明されます。
つまり宅建士は、取引の安全装置のような存在なのです。
③説明義務
仲介業者は、「知っている重要な事実」を説明する義務があります。
■トラブル情報
■物件の欠陥
■特殊な条件
などです。
これを説明せずに契約すると、
【ただし、「調べても分からないこと」はある】
ここで重要なポイントがあります。
それは、調査しても分からないことは存在するということです。
例えば、
■地中埋設物
■過去の近隣トラブル
■建物内部の見えない欠陥
■昔の土地利用
などです。
これらは、通常の調査では分からないケースもあります。
もし、不動産会社が
■調査をきちんと行い
■過失がなく
■分からない状態だった
のであれば、必ずしも責任が問われるわけではありません。
つまり、「結果」ではなく「過失」が重要なのです。
【宅建士は保険にも入っている】
とはいえ、もし何かあったらどうするの?」と不安に思う方もいるかもしれません。
実は多くの不動産会社や宅建士は、賠償責任保険に加入しています。
これは、万が一のミスがあった場合に備える保険です。
■説明ミス
■調査ミス
■契約トラブル
などが発生した場合、損害を補償する仕組みです。
つまり不動産業界は、万が一に備えた安全網も用意されているのです。
5.不動産会社の本当の役割
不動産会社の役割は、単なる「紹介業」ではありません。
本来は、トラブルを未然に防ぐ専門家です。
売主と買主の間に入り、情報を整理し、リスクを説明し、安全に契約を成立させる。
この役割があるからこそ、多くの不動産取引が問題なく成立しています。
もし仲介業者がいなければ、契約トラブルは今よりはるかに多くなるでしょう。
それでも、イメージとしては、
物件紹介をしてくれるところ。で、契約時に手数料を支払うもの。
と、あるかと思います。
それは、ほんの入り口に過ぎないのが現実です。
責任もありながら精神的にも堪える仕事。
それで、価格の3%が基準だなんて、割に合わない。
というくらいに、不動産会社としての役割は、ココにあり!と言った感じです。
最後に、信頼できる仲介会社を選ぶことがとても重要なのです。
不動産は大きな取引ですが、正しい知識と信頼できるパートナーがいれば、
もし、不安なことがあれば、
それが、安心できる不動産取引への第一歩なのです。
記:宅地建物取引士 原田