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Vol.422 悠々自適な緑に囲まれた生活。優雅に暮らすのは無謀?

メリット・デメリット

家を建て、山暮らしを始める前に知っておきたい現実



昨日のブログは打って変わって、

「都会を離れて、緑豊かな山で暮らしたい」と、

そんな夢を持っている方は少なくありません。


朝は鳥の声で目を覚まし、窓の外には緑が広がる。

庭で家庭菜園を楽しみながらも休日には薪を割り、夜は静かな家で星空を眺める。

そう、それは都会の喧騒から離れて、時間に追われない生活。


まさに「悠々自適」という言葉が似合う憧れの暮らしです。



最近では、働き方の変化やテレワークの普及などによって、利便性を求める必要がない人も増えました。

そのため、「せっかく家を買うなら、自然の中で暮らしたい」と考える人もいます。


しかし、ここで一つ注意したいことがあります。

それは、「山に家を建てれば、優雅な生活が始まる」とは限らないということです。


山の暮らしには、都会では考えなくてもよかった問題がたくさんあります。

土地そのもの、道路、水道、電気、通信、地盤、土砂災害、管理費、草木の手入れ、獣害、冬の生活。


こうした問題を理解せずに土地を購入すると、「こんなはずではなかった」となる可能性があります。



今回は、不動産会社の視点から、

「山に家を建てて悠々自適に暮らすことは本当に無謀なのか?」について、

メリットとデメリットを現実の両方から解説します。




1.山暮らしは本当に「優雅」なのか?


まず、山暮らしの魅力から考えてみましょう。


都会では、人が多い・交通量が多い・騒音がある・住宅が密集している・土地が狭いといった環境があります。

一方、山間部では、自然が豊か・土地が広い・静か・空気がきれい・景色が良いといった魅力があります。


土地によっては、都会では考えられないような広さの土地を購入できる場合もあります。

庭を広くしたり、家庭菜園をしたり、犬を自由に走らせたり、薪ストーブを設置したり。


「自分の好きなことをしながら暮らす」という意味では、山の生活には大きな魅力があります。



<しかし「安い土地=お得」とは限らない>

山の土地を探していると、「こんなに広いのに、こんなに安いの?」と思う物件が多くあります。

都会では考えられないような広さの土地が、非常に安い価格で販売されていることもあります。


ここで、「これは掘り出し物だ!」と考えてしまうのは少し危険です。

土地が安い理由には、必ず確認すべき事情があるからです。


例えば、

・道路条件が悪い

・上下水道が整備されていない

・傾斜地

・造成費用が必要

・土砂災害リスクがある

・生活施設が遠い

・建築に制限がある

などです。


つまり、土地価格が安いことと、家を安く建てられることは別問題なのです。




2.山地で最初に確認したい「道路」


山で家を建てる場合、非常に重要なのが道路です。

住宅地では、「道路があるのは当たり前」と思ってしまいます。

しかし山間部では、道路条件が土地によって大きく異なります。


・道路幅が狭い

・急な坂道

・私道

・舗装されていない

・冬に通行しにくい


重要なのが、建築基準法上の道路に接しているか?という問題です。


土地が広くて景色が良くても、建築条件を満たしていなければ、

思い通りに家を建てられない可能性があります。



【「家が建てられる土地」かどうかは必ず確認する】

山地を見るとき、「ここに家を建てたら気持ちよさそう」と思う場所がたくさんあります。

しかし、見た目だけでは判断できません。


土地には、都市計画法、建築基準法、その他の法令に条例と、あらゆる制限がかかる場合があります。


また、市街化調整区域などでは、住宅建築について一定の制限がある場合があります。


さらに、傾斜地や森林などでは、造成や開発に関する許可が必要になるケースもあります。


そのため、「土地を買ってから建築会社に相談する」のではなく、

土地を購入する前に、建築可能性を確認することが非常に重要です。


建築確認申請をする家を建てるなら、、ですが。




3.山暮らし最大の問題?「水」


山で暮らす場合、水の確保は非常に重要です。

都市部では、蛇口をひねれば水が出ますが、山間部では土地によって水道事情が異なります。



沢があり、「水がある」というだけでは十分ではありません。

飲料水として使用できるのか?設備の維持費はどのくらいかかるのか?など、安全性を確認する必要があります。




4.下水道がない土地もある


山間部では、下水道が整備されていない地域もあります。

その場合、浄化槽などを利用することになります。


浄化槽には、設置費用だけでなく、定期的な点検や清掃などの維持管理が必要です。


つまり、「土地が安い」と思って購入しても、インフラ整備費用を含めると、

想定以上のお金が必要になることがあります。




5.電気とインターネットも確認する


現代の山暮らしでは、電気と通信環境も重要です。

特に、「山でテレワークしたい」という人は注意が必要です。


スマートフォンが使えるからといって、

必ずしも高速インターネットが利用できるとは限りません。


仕事でインターネットを使うなら、購入前に必ず確認しましょう。




6.「病院まで車で30分」は思った以上に長い


山暮らしを始めると、生活の中で車が重要になります。


スーパーまで20分

病院まで30分

ホームセンターまで40分


最初は、「ドライブだと思えば問題ない」と考えるかもしれません。

しかし、これが毎日の生活になると話は変わります。


特に、高齢になったとき、病気になったとき、車を運転できなくなったときを考えておく必要があります。

山暮らしは、「今の自分」だけではなく、「10年後、20年後の自分」を考えて土地を選ぶことが重要です。




7.山暮らしで怖い「土砂災害」


山に家を建てる場合、災害リスクは必ず確認する必要があります。


・土砂災害警戒区域

・土砂災害特別警戒区域

などは重要です。


また、急傾斜地、崖、沢、谷地形などについても確認が必要です。


「自然豊か」というメリットの裏側には、「自然災害の影響を受ける可能性がある」という現実があります。



【山だから地震や水害は関係ない?】

これも誤解されやすいポイントです。山だから水害がないとは限りません。


大雨によって、土石流・斜面崩壊・河川増水などが発生する可能性があります。

また、山間部では大雨によって道路が寸断されることも考えなければなりません。


つまり、「災害が起きたときに、その土地から出られるのか?」という視点も重要です。




8.山暮らしには「草刈り」という仕事がある


山の家を購入した人が、想像以上に大変だったと感じやすいのが土地の管理です。


都会の住宅地なら、庭が小さければ、それほど大きな問題になりません。


しかし、広い山の土地では、草木がどんどん成長します。


春になれば草が生え、夏になれば伸び、秋には落ち葉が増えます。

庭が広いことは魅力ですが、その分、管理する面積も増えます。


「自然の中で暮らす」ということは、「自然を管理すること」でもあるのです。




9.害虫や野生動物との付き合いも必要


山では、都会よりも自然が身近です。


それ故、蜂・蚊・ムカデ・アリなどの虫だけではなく、地域によっては、

イノシシ・シカ・サルなどの野生動物が出ることもあります。


家庭菜園をする場合には、動物による被害対策も必要になることがあります。


「自然が好き」という人でも、

自然と完全に切り離された生活とは違うことを理解しておきましょう。




10.薪ストーブは憧れだけで設置しない


山暮らしの象徴とも言えるのが、薪ストーブ。

薪ストーブの炎を眺めながら、ゆっくり過ごす。非常に魅力的です。


しかし、薪は勝手に燃えてくれるわけではありません。


薪を用意し、乾燥させ、保管し、運び、灰を処理する。こうした作業が必要です。


薪ストーブは、「暖房器具」というより、一つの生活スタイルです。

そこまで含めて楽しめる人には、最高の設備になるかもしれません。




11.山暮らしに向いている人とは?


では、どんな人なら山暮らしを楽しめるのでしょうか?



一つ目は、多少の不便を楽しめる人です。


山では、「便利さ」が都会と同じとは限りません。

しかし、その不便さを、「面白い」・「自分で工夫できる」と思える人には向いています。



二つ目は、家や土地の管理を楽しめる人。



三つ目は、将来の生活まで考えている人です。


若いうちは車を運転できますが、将来も同じとは限りません。

その時に、病院や買い物にどう行くのか?そこまで考える必要があります。




12.山暮らしに向いていない人とは?


反対に、「とにかく自然の中に住みたい」という気持ちだけで購入するのは危険です。


・車の運転が苦手

・庭の管理が嫌い

・DIYが苦手

・虫が苦手

・買い物が遠いのが嫌

・病院が遠いのが不安

という人は、山暮らしとの相性を慎重に考える必要があります。




「山で暮らす=不便」ではない


ここまで読むと、「山暮らしは大変そう」と思うかもしれません。

しかし、山暮らしには都会では買えない価値があります。


広い土地。

静かな環境。

美しい景色。

満天の星。

新鮮な空気。

自分だけの庭。

家庭菜園。

薪ストーブ。


こうした暮らしに価値を感じる人にとっては、多少の不便は大きな問題ではありません。

重要なのは、不便を理解した上で、それでも住みたいと思えるか?です。



13.山地を買うなら「安さ」より「総額」で考える


山の土地探しで最も注意したいのが、土地価格だけを見ることです。


例えば、土地が300万円だったとしても、

・造成費

・擁壁工事

・上下水道工事

・浄化槽

・地盤対策

・道路工事

などが必要になれば、総額は大きく変わります。


「土地が300万円だから安い」ではなく、

家を完成させて住める状態にするまで、いくらかかるのか?を考えることが重要です。




そうした背景を理解していくと、山暮らしは「無謀」ではありません。


自然に囲まれた家で、時間に追われず、自分らしく暮らす。


実際に、山や自然の中に家を建て、豊かな生活を楽しんでいる人はいます。


そんな方と出会ったり、今の時代なら動画で見たりすると、憧れを抱きやすいもの。


でも、その裏では、ある意味の便利な地に住んでいる以上に

やらないといけないことが多いものです。


仕事にもよりますが、日々、多少でも時間が取れるのであれば、そうした作業も楽しめると思います。



でも、お金があれば、二拠点生活も視野に入れられます。

お金で任せられる部分はお願いし、休日だけ山に籠る。



これを言っては何ですが、山での生活は人によりますから、

色んな意味で、どれだけ余裕があるか?が鍵となる様な気もしています。


自然に囲まれた生活、田舎育ちの私からすれば、いつかはそんな地で、、、と思いますケドネ。



記:ライフプランナー  武井


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