Vol.63 住宅展示場の“あの豪邸”が実際に建てられない理由
住宅展示場の“あの豪邸”が実際に建てられない理由
~夢のマイホームと現実の狭間で~
今回は、住宅展示場を訪れたことのある方なら誰もが一度は感じたであろう、あの疑問にズバッと切り込んでいきます。
「この展示場の家、めちゃくちゃ広くて素敵!でも、これって実際に建てられるの?」
答えは、「そのままはムリ!」が9割です。
え?夢を壊された気分?
でもご安心ください。
その理由を解説してまいります!
展示場の家は“夢のショールーム”
まず前提として、住宅展示場に建っている家というのは、実は一般の住宅とは別モノです。
・坪数が大きすぎる(40~60坪とかザラ)
・天井が高すぎる(3.5mとかある)
・設備が豪華すぎる(大理石キッチン!ホームエレベーター!)
・敷地条件が現実離れ(四方が開けてて光がサンサン)
そう、あの家は「パワーアップした理想像」、いわばモデル体型のような家なのです。
展示場の家が“建てられない”理由 ① 法規制の壁
実際に家を建てる際には、地域ごとの建築基準法や都市計画法など、法律の壁が立ちはだかります。
よくある法規制
・建ぺい率:敷地に対する建築面積の割合(例:60%)
・容積率:延べ床面積の制限(例:200%)
・高さ制限:隣地の日照に配慮するルール
・道路斜線、北側斜線など:屋根の傾斜に関する制限
展示場の家のように、天井が高くて吹き抜けてて、バルコニーがでっかくて…
…なんて設計は、**普通の住宅地ではアウト!**なことが多いのです。
「夢の間取り」には、思わぬ法の落とし穴が潜んでいるんですね。
展示場の家が“建てられない”理由 ② コストの壁
展示場の家は、建築会社の広告塔です。
だからこそ、使っている素材も設備もフルオプション。
・無垢材の床
・大理石カウンター
・ガラス張りの浴室
・全館空調システム
これらは「一般的な価格帯ではない」どころか、普通に建てると5,000万円~1億円コースになることも。
つまり、建てられないんじゃなくて、**“建てられるけど予算オーバー”**ってことが多いのです。。。
展示場の家が“建てられない”理由 ③ 土地条件の違い
展示場は、道路付けの良い広大な土地に建っています。
・南向き
・前面道路が広い
・敷地形状が整っている
でも実際にあなたが買える土地は——
・三角形だったり
・道路が北側だったり
・建ぺい率が40%だったり
現実はなかなかシビア。
同じプランをそのまま建てることが、物理的に無理なケースも多々あります。
展示場の家には“夢を語る”という大事な役割がある
「じゃあ展示場って意味ないの?」とガッカリしないでください。
展示場は、現実には建てられないとしても、
「こんな家に住みたいな」
という気持ちを引き出すための装置。
まさに、“夢の住まいのテーマパーク”なんです!
そしてその夢をもとに、
・自分の生活に合った間取り
・自分の予算に合った設備
・自分の土地に合ったサイズ
をカスタマイズしていくのが、家づくりの本当のスタートとも言えるのです。
展示場の家を見学する際のポイント
夢の世界にトリップするのはOKですが、現実に戻るための視点も持ちましょう!
① 間取りを「感覚」でなく「数字」で見る
「広く感じる!」だけじゃなく、実際の坪数や畳数をメモ。
「リビングは20帖か。うちは15帖になるとどう見えるんだろう?」などと変換して考えましょう。
② 気に入った設備は価格も聞く
「このキッチンおしゃれ!」と思ったら、
「これ、標準仕様ですか?」
と聞いてみましょう。たいていはオプション。
「このオーブンだけで70万円です」と言われて現実に戻る人、多数。
③ 自分の土地条件に合うかチェック
展示場の家が南向きなら、自分の土地が北向きだと全然違う印象になります。
方角・道路・隣家との距離なども、現地で必ず確認しましょう。
まとめ:展示場の家は“憧れのヒント帳”!
住宅展示場の家は、実際にそのまま建てることは難しいことが多いです。
でも、それでいいんです!
大切なのは、展示場の家を「夢のスタート地点」として捉えること。
「この間取り、気に入った! これをアレンジできないかな?」
「この収納のアイデア、自分の家でも使えるかも!」
そうした“気づき”こそが、展示場の本当の価値です。
夢を見ることは自由です。
でもその夢を、自分の土地・予算・暮らし方に落とし込んでいくことで、
世界にひとつだけの“現実の理想の家”ができあがると思います。
展示場は、“夢の家づくり研究所”。
今日も夢と現実のバランスを探しながら、素敵な家づくりをしていきましょう!
あ。
でも、
予算が無限にある様な方であれば
ひろ~い土地を持っているなら
モデルルームの家を現実化できる気がします…。
記:ライフプランナー 武井