Vol.66 実は“売れない理由”になってる!?「古い井戸」の処理と信仰問題
実は“売れない理由”になってる!?「古い井戸」の処理と信仰問題
さて今回は、ちょっぴりミステリアスで、でも現場ではリアルに困る話題。
そう、「古い井戸」について掘り下げて、お届けします!
不動産売却を検討している方や相続で物件を受け取った方、あるいは空き家の処分に悩んでいる方、もしその敷地内に“古びた井戸”があったら…
その瞬間、ちょっとした注意が必要かもしれません。
「え?埋めればいいんでしょ?」
と思ったあなた。
いやいや、それがですね……
井戸って、ただの“穴”じゃないんです。
では、早速井戸の奥深い(物理的にも精神的にも)世界を見ていきましょう!
そもそも、なぜ井戸が“売れない理由”になるの?
不動産売買において、井戸は「マイナスポイント」に見られることが少なくありません。
理由は、大きく分けて以下の3つです。
① 処理に手間と費用がかかる
井戸の埋設には、「きちんとした手順」が必要です。
「コンクリートを流して蓋をして終わり」なんて素人施工ではダメ!
行政によっては届け出が必要ですし、構造によっては安全上の配慮も求められます。
加えて、浄化や井戸神様への供養も……なんてことになると、数万~数十万円の費用になることも。
② メンタルブロック!買主が“なんか嫌”と思いがち
これが意外に大きい。
「なんか怖い」
「子どもの頃に井戸の幽霊映画を見て以来トラウマ」
「風水的にどうなの?」
……などなど、感情的な“嫌悪感”や“気持ち悪さ”が意外と多いのです。
③ “祀られている”可能性がある
いやほんと、たまにあるんです。
祠(ほこら)が乗ってたり、しめ縄が巻かれてたり、「この井戸を粗末にしたら大変なことになる」的な口伝が残っていたり。
買主が「縁起を担ぐタイプ」だったら、その時点でNGになる可能性も。
なぜそんなに“信仰”が絡むの?井戸と神様の関係
実は日本では、井戸は神聖なものとして扱われてきた歴史があります。
「井戸の水は地中から湧き出る=大地の命そのもの」とされ、
神様が宿る場所として信じられてきたのです。
井戸の守り神「水神さま」とは?
神道の一部では、水の神様(水神様・弁財天・竜神様など)を井戸に祀るケースがあります。
これは単なる“迷信”と笑い飛ばせないレベルで、地域によっては今でも「井戸を埋める前にお祓い必須」という慣習が残っています。
「信じる信じないは別として、勝手に井戸を埋めたら事故が起きた」
……なんて話が近所で出ようものなら、売主の責任が問われかねません(そして価格も下がります…)。
古井戸の処理方法と“正しい埋め方”
では、もしあなたの敷地に井戸があったら、どうすればいいのでしょうか?
ここでは、安全かつ心配のない井戸の“処理方法”をご紹介します。
① まずは現況確認(蓋を開けて見る…!)
専門業者に頼みましょう。
水があるのか?構造は?深さは?井戸枠の素材は?などを調査します。
また、井戸と言っても、画像にある様なものから、パイプの管だけみたいなものもあります。
② 行政への確認
地域によっては「井戸の埋設に届け出が必要」です。
特に都市部では“地中埋設物”に分類され、建築確認にも関わるので要注意!
③ お祓い・供養(任意だけどオススメ)
地元の神社や僧侶にお願いするのが一般的。
お祓い後に「閉眼供養」や「感謝の儀式」をして、穏やかに終わらせましょう。
費用は2~5万円ほどですが、“心理的安心”には替えがたい価値があります。
④ 物理的に埋設
洗浄 → 砂利や砕石 → セメントで封印、が一般的。
DIYはNG!!!
専門の解体・地盤業者に依頼してください。
売主としての心構え:「正直に、丁寧に、安心を売る」
「井戸があるから売れない」わけではありません。
問題なのは、井戸の存在を隠したり、適当に埋めたりすること。
買主は、“正直に説明された上で丁寧な処理がされている”という透明性を評価します。
具体的には、
-
・販売図面や重要事項説明に明記
-
・処理前後の写真を保存
-
・お祓いや処理の証明書があれば添付
などが好印象につながります。
井戸の“活用”という選択肢もある?
井戸水って、実は「地中熱」「庭の水やり」「災害用の水源」として人気が出てきています。
特に災害リスクが高まる昨今、「生活インフラのバックアップ」として井戸の価値を再評価する動きも。
井戸ポンプをリニューアルして、PR文に「防災対策にも最適な井戸付き」と入れたら、むしろプラスポイントに!?
まとめ:井戸は“信頼”と“手順”がカギ!
井戸=マイナスと思われがちですが、それはあくまで「正しく処理されていない井戸」の話。
きちんと調査し、丁寧に対応し、必要ならお祓いもして、安心できる状態にしてから売却すれば、
むしろ“人情味のある物件”としてプラスになることもあります。
買主に「ここ、ちゃんと手をかけてくれてるな」と感じさせたら、それだけで印象はガラリと変わります。
最後に一言
井戸は“負の遺産”ではなく、“過去と未来をつなぐ場所”かもしれません。
丁寧に付き合えば、不動産売却の現場でも素敵な“縁”が生まれるなんてコトも???
記:宅地建物取引士 原田