Vol.72 “宅地建物取引士”って実はこんなにスゴい資格なんです
“宅地建物取引士”って実はこんなにスゴい資格なんです
~名前は堅いけど、実は頼れる“街のヒーロー”!?~
「宅地建物取引士(通称:宅建士)」と聞くと、
「あー、不動産屋さんにいる人でしょ?」
「何か説明してくれる人…?」
と、なんとなくのイメージはあっても、
実際にどんな資格で、どれくらい重要なのか、知られていないことが多いんです。
でも、実はこの「宅建士」、不動産業界における“国家資格のエース”と言っても過言ではない、かなりスゴい資格なんです。
今回は、そのスゴさを余すことなくお伝えしていきます。
宅建士は「国家資格の武闘派」!?
宅建士は、正式には「宅地建物取引士」。
国が認める国家資格であり、試験の難易度もなかなかのもの。
「え?不動産屋さんにいれば誰でも持ってるんじゃないの?」
そう思ったあなた、要注意。
宅建士は“持っていなくても仕事できる”ケースもあるので、意外と全員が持ってるわけではないんです。
実は“宅建士がいない不動産会社”だって存在します(合法の範囲で、ですが…)。
合格率はわずか15%!? 宅建試験のリアル
では、どれだけ難しいのかというと…
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■試験は年1回(10月)
■合格率はおよそ15〜17%前後
■毎年20万人以上が受験、合格は3万人ほど
つまり、10人受けて1〜2人しか受からない計算。
内容も、法律(宅建業法、民法、不動産登記法など)や税金、建築基準法、都市計画法…とかなりハード。
受験生の多くが“民法”の壁にぶつかり、
「なんで不動産の資格で遺産相続の勉強してんだ?」
と疑問を抱きつつも、夜な夜な六法全書と格闘するのです。
宅建士しかできない“3大重要業務”
「じゃあ、持ってたら何ができるの?」というと、
以下の3つは宅建士にしかできない超重要業務です。
① 重要事項説明(通称:重説)
不動産を買う・借りる際に、その物件のリスクやルールを説明してくれる“アレ”です。
宅建士の独占業務で、資格がなければこの説明はできません。
しかも、“口頭での説明”と“書面への記名”の両方が義務。
責任、重いんです。
② 契約書への記名・押印
不動産売買や賃貸契約時に登場する「契約書」。
これにも宅建士の名前が必要です。
つまり、「この契約書、きちんと説明しましたよ!」という証明をする役割です。
③ 賃貸・売買契約の立会い
重要事項説明や契約締結の場には、宅建士が立ち会う必要があります。
いわば「不動産取引の最終チェック担当」
車でいえば“車検整備士”、医療でいえば“薬剤師”のような立場ですね。
宅建士=万能? 実はそうでもない!?
ただし、誤解してはいけないのが、
「宅建士=不動産のプロ中のプロ」
とは限らないということ。
え?どういうこと?
実は、試験に合格しただけでは実務経験ゼロのケースもあるのです。
中には「ペーパー宅建士」状態で、実務には詳しくない人も…。
逆に、宅建士の資格を持っていないのに実務経験が豊富で、
「説明は先輩に任せてるけど、仕入れや交渉は任せて!」
という方も珍しくありません。
つまり、
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資格=業務の一部を行うための“鍵”
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実務=経験と知識による“腕前”
両方が揃ってこそ、真に頼れる不動産パートナーなのです。
最近では、自信の不動産知識をつけるために、受験する方も多い様です。
最低400時間の勉強が推奨とされている資格。
言っても法律系の中では簡単な部類に入ります。
もし宅建士がいなかったら…?
では、宅建士がいないと何が起こるのか?
例えばあなたが不動産を買おうとしたとき、
「この物件、崖の上にあるけど大丈夫です!たぶん!」
「昔、水害があったかも…でも詳しくは分かりません」
といった“ゆるふわ説明”で契約が進んでしまう可能性も。
宅建士がいることで、リスクを丁寧に説明し、契約の安心感が生まれるのです。
不動産は高額取引、です。
不動産会社を選ぶなら「宅建士の数」もチェック!
宅建業者は「事務所ごとに5人に1人以上」の宅建士を置くことが義務づけられています。
これは最低ライン。
でも、優良な不動産会社は、営業の大半が宅建士というところも少なくありません。
物件情報を見るだけでなく、「この営業さん、宅建士かな?」とチェックしてみるのもポイントですよ。
まとめ:宅建士は“街の安心スイッチ”
「名前が堅そうで、なんか地味…」と思っていた宅建士。
実は、不動産取引における“安心の要(かなめ)”であり、なかなかにスゴい存在だったのです。
合格するには勉強も努力も必要。
でも、その分、取得した人は“知識”と“責任”を持って対応してくれます。
これから家を買う人も、売る人も、相続で悩む人も。
また、書類に記載された宅建士が、実際にその会社で勤めているのかチェックも必要です。
意外に、いないかも~
記:宅地建物取引士 原田