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Vol.73 地域に一軒はある“謎の空き家”の正体とは?

不動産のアレコレ

地域に一軒はある“謎の空き家”の正体とは?



誰もが気になる「あの家」


あなたの町にもきっとあるはずです。


草が生い茂り、郵便受けにはチラシが山積み。


窓にはカーテンすらかかっておらず、夕暮れ時に前を通ると、なんとなく「ゾワッ」とするような、そんな家。



──そう、それが“謎の空き家”です。



このブログでは、


その「謎の空き家」がなぜ放置されているのか?


どうして処分されないのか?


そもそも中に人は住んでいるのか?



といった、多くの人がなんとなく気になっていたけれど、


深くは掘り下げなかった“地域のミステリー”について、


解説していきます。




空き家=“売れ残り”ではない!


まず多くの方が勘違いしがちなポイントから。


「空き家って売れ残った家なんでしょ?」


「よほど条件が悪いから誰も買わないんじゃない?」といったイメージ、持っていませんか?


実はコレ、大きな誤解です。


空き家には、“売る気がない”家、“売れない”家、“売り方が分からない”家の3種類があります。


そして、あなたの街のあの謎の空き家は、ほとんどの場合このどれかに該当しているのです。




その1:「売る気がない」空き家


▽相続で“もめてる家”


まず最もよくあるのが、相続トラブルです。


所有者が亡くなった後、複数の相続人が権利を主張して話がまとまらないパターン


・兄弟が話し合いを避けて数年放置
・相続人が全国に散らばっていて、連絡すら取れない

・そもそも誰が相続人か不明(戸籍たどるのが大変)


といった理由で、所有権が決まらないまま何年も空き家になってしまう例は少なくありません。



▽田舎の「実家信仰」


「いや~、うちの実家なんだけどさ、なんとなく手放すのも気が引けて…」


このように、物理的には使ってないけど“気持ちの上で”手放せない家も多いのです。



たとえ草ボーボーでも、


「思い出が詰まってる」


「年に1回帰省してるから」といった理由で、あえて放置してるケースも。



放置というより、“保管”に近い心理かもしれません。




その2:「売れない」空き家


▽再建築不可


都市計画上、「そこにもう家は建てられませんよ」と指定されている土地があります。


たとえば、幅4m以上の道路に接していない土地などが該当します。


これを「再建築不可」といい、家を壊したらもう新しい建物が建てられないため、資産価値が極端に下がってしまうのです。


買い手も少ないため、売りたくても売れない。これが“売れない空き家”です。



▽法律・条例に縛られた物件


文化財保護、風致地区、農地法、都市計画法。


地方に行くと、さまざまな法律が絡み合って、好き勝手に使えない土地や建物も存在します


そうした物件もまた、売るのが難しいことから長年放置され、結果的に「謎の空き家」になってしまうのです。




その3:「売り方が分からない」空き家


▽高齢者が所有者


インターネットで情報収集し、複数の不動産会社に査定依頼し、価格を比べて売却先を決める。


これは若い世代には当たり前かもしれませんが、高齢者にとってはハードルの高い作業です。


「売れるとは思うんだけど、どうしたらいいか分からなくてねぇ…」


という人は意外と多く、結果的に放置となります。



▽「売るにはリフォームが必要」と思い込んでいる


築古物件の所有者にありがちなのが、


「こんなボロ家、誰も買わないでしょ」


「売るならリフォームしてからでしょ?」


という誤解。



実は、古家付き土地としてそのままでも需要があるのですが、


そういった市場感を知らないまま「うちはムリよ」と諦めている人も少なくありません。




じゃあ、どうする?空き家の「活かし方」


謎の空き家も、視点を変えれば立派な資産です。


ここからは、不動産会社の視点で「空き家の活用術」や「売却までの道筋」について、ザックリご紹介しましょう。



▽相続の整理からサポートできる不動産会社を選ぼう

空き家の多くは、相続手続きで止まっているケースが多いため、「相続相談に強い不動産会社」が鍵になります。


司法書士や税理士と連携している会社なら、ワンストップで解決まで導いてくれます。




▽“現状のまま”で売れることを知る

たとえ雨漏りしていても、庭がジャングルでも、リフォームせずに“現状有姿”で売るという方法があります。


実際、「自分でリノベーションしたい!」という買主も多いんです。


ですので、「まずはリフォームしてから」と決めつけるのはもったいない!




▽貸すという選択肢もアリ

売却にこだわらず、貸家や貸地にするという方法もあります。


近年では「古家をDIYで借りたい若者」や「自分でリノベしたい外国人」など、新しいニーズも高まってきています。




「謎の空き家」は、あなたの町のチャンスかも?


空き家はネガティブなイメージを持たれがちですが、見方を変えれば“地域のポテンシャルのかたまり”とも言えます。


誰も住んでいないからこそ、活かし方は無限大。


一見ボロボロでも、そこにはストーリーと可能性が詰まっているのです。



不動産会社としても、「謎の空き家」と向き合うことは、地域の未来を形づくる仕事のひとつ。


もしあなたが気になる物件を見かけたら、ぜひ一度プロに相談してみてください。



まとめ:空き家=“ゴミ”じゃない!


  • ・空き家の理由は「売る気がない」「売れない」「売り方が分からない」に分類できる

  • ・相続や法的制限が絡んでいても、解決方法はある

  • ・リフォームせずとも売れる場合が多い

  • ・貸すことで新たな活用も可能

  • ・不動産会社は“空き家蘇生”のプロフェッショナル


記:宅地建物取引士 原田

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