Vol.76 “建て替え”できない土地でも売れる条件とは?
“建て替え”できない土地でも売れる条件とは?
~売れないなんて思い込んでない?プロが教える再生のヒント~
「再建築不可」と聞いてあきらめてませんか?
「再建築できないから、この家はもう価値がないです」
「親から相続したけど、建て替え不可って言われて…」
「売れるわけないと思って10年放置してます」
そんな“あきらめ系オーナー”の皆さま、ちょっと待った!
確かに「再建築不可」は聞こえが悪い。
でも、“売れない”とはイコールではないんです。
不動産の世界には、
「売れない」と言われていた物件が、ちょっとした視点の転換でスルスルっと売れる
なんてことも。
今回のテーマは、「建て替えができない=再建築不可」な土地でも
売るための条件やコツを、解説していきます!
そもそも「建て替えできない土地」ってどういうこと?
まず用語の整理から。
●「再建築不可」とは?
読んで字のごとく、「今ある建物を取り壊して、新たに建てることができない土地」。
じゃあ、なぜ再建築ができないのか?
その理由はたいてい、この↓どれかです。
✅ 接道義務を満たしていない
建築基準法では、
幅4m以上の道路に2m以上接していないと建物は建てられないという決まりがあります(いわゆる「接道義務」)。
裏路地にある旗竿地の奥、私道にしか接していない土地などが該当しがちです。
✅ 私道トラブル
一応接道してるけど、接してるのが私道で通行・掘削許可が取れないとアウト。
「法律上はOKそうなのに、実務上NG」というややこしいパターン。
✅ 市街化調整区域などの規制エリア
都市計画法で建築が制限されているエリアに該当する場合も、再建築できません。
じゃあ、建て替えできないと“絶対売れない”の?
結論から言います。
売れます。ただし「売り方」と「買う人」が限られます。
“再建築不可”というラベルが貼られている物件でも、
ニーズに合えば普通に売れますし、買いたい人もちゃんといます。
たとえば…
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・賃貸で運用したい人
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・更地じゃなく、現況のままで利用したい人
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・境界や接道を工夫して再建築可能にしたい人
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・敷地拡張のために隣地を買いたい人(地権者)
…などなど。
「夢のマイホーム用地」としては難しくても、「別の用途」で活かせることがあるんです。
再建築不可物件でも売れる“6つの条件”
では具体的に、どんな条件を整えれば売りやすくなるのか?
【1】 現況建物の「使える感」があること
築年数は古くても、
「まだ住める」
「最低限リフォームでOK」
と思わせる状態であれば、投資家や実需層が検討対象に。
特に、風呂・トイレが別、雨漏りがない、耐震がギリギリクリア──など「住める証明」があると強いです。
【2】 リフォーム済み or リフォーム見積もりを提示
「ボロい家でも、リフォームすればいけるよ!」
という安心感を与えること。
・実際に手を入れてから売るパターン
・リフォーム見積もりを添えて販売するパターン
再建築不可物件では、どちらも有効です。
【3】 周辺の土地事情を活かす
もし隣地が空き地だったり、地権者が協力的であれば、
接道の確保や分筆による再建築可能化も可能になります。
売主側が「再建築可能にできるプラン」を整理してあげると、ぐっと買い手が増えます。
【4】 用途を「住居」以外で考える
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・倉庫
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・アトリエ
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・シェアオフィス
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・フィールドワーク拠点
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・撮影スタジオ
──など、「住む」以外の用途で探している層は意外と多い!
「再建築不可だけど静かな環境」とか、
「車が入らないから静かに作業できる」など、
逆に利点に感じる人も。
【5】 投資家向けに“利回り重視”で売る
再建築不可物件は価格が安くなりがちなので、賃貸用としては「利回りが高い」と注目されます。
「この価格で買えば、家賃収入で何年で回収できるか」などを資料で提示すると、
投資家の食いつきが良くなります。
【6】 不動産会社に“買取”してもらう選択肢
どうしても一般の買主が見つからない場合、不動産会社が現況のまま買取してくれるケースもあります。
もちろん相場よりは安くなりますが、時間をかけずに現金化したいなら現実的な選択肢です。
実例紹介:「売れないと思ってた物件が売れた」3つのケース
【ケース1】
築45年の木造平屋、月5万円で賃貸中
オーナー「古すぎて無理でしょ…」
→ 賃貸中の収益物件として投資家が購入。表面利回り13%!
【ケース2】 奥まった再建築不可、隣地とセット売りで再建築可能に!
売主と隣地所有者が話し合い、2筆まとめて売却→再建築可能に。
価格は単独売りより2割アップ!
【ケース3】 駅徒歩3分、リフォーム済で自営業者が購入
築年数は古いけど、リフォーム済で即入居OK。
アトリエ兼住居として美容師さんが購入。
売る前にできる“3つの準備”
売却活動に入る前に、やっておくと良いポイントを3つご紹介します。
✅ 権利関係をクリアにしておく
登記名義、境界確定、私道の通行権などを整理。
買主はこういうところをよく見ます!
✅ 物件調査をしておく
建物の現況調査、リフォーム歴、耐震・雨漏りの有無などをチェック。
✅ 再建築不可である理由を明確にする
「なぜ建て替えできないのか?」が説明できると、逆に買主に安心感を与えられます。
「建て替え不可」でも売れる時代!
✔ 建て替えできないからといって、売れないとは限らない
✔ 売れるための条件や工夫はたくさんある
✔ 利用目的を「住む」以外にも広げよう
✔ 収益物件やセット販売なども視野に
✔ 諦めず、まずはプロに相談するのが一番!
物件には“活かし方”がある!
どんな不動産にも、「その物件ならではの価値」があります。
たとえ再建築ができなくても、それを必要とする人が必ずどこかにいます。
放置して草ボーボーになる前に。
固定資産税を払い続けてモヤモヤする前に。
**“売れない”じゃなく、“どう売るか”**を、一緒に考えてみませんか?
記:宅地建物取引士 原田