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Vol.77 自分の土地を自分で分けて売る コレって違法?

不動産のアレコレ

自分の土地を自分で分けて売る コレって違法?

~知らなかったじゃ済まされない“分筆”と“開発許可”の話~




うちの土地、ちょっと分けて売れば儲かるかも?


「うちの土地、やけに広いから半分売っちゃおうかな」

「相続した土地を兄弟で分けて、それぞれ売ればイイよね?」

「1区画にして売るより、3つに分けて“ミニ開発”した方が儲かる!」


──そんなアイデア、持っている人は少なくないでしょう。



確かに、「土地を小さく分けて売る」=分割販売は、不動産活用の王道です。


でもこの「自分の土地を分けて売る」という行為、


やり方を間違えると法律違反になる可能性があるんです。



「自分の土地なのに? なんでダメなの?」


「どこまでがOKで、どこからがNGなの?」



不動産オーナーが知っておくべき“分けて売る”の法律・手続き・実務上の注意点をご紹介します!




結論から言うと「やっていいけど、ルールを守ってね」


「分けて売る=違法」と言いたいわけではありません。



正確には、


土地を分割して売ること自体は合法。ただし、開発行為に該当する場合は許可が必要!


というのが、正しい理解です。



では、その“開発行為”って何?


境界線にメスを入れた瞬間、何がどう変わるのか。


順を追って見ていきましょう。




そもそも「開発行為」って何なの?


「開発行為」と聞くと、重機ガンガン、区画整理バリバリの“大型造成工事”を想像しがちですが…


建築基準法や都市計画法でいう開発行為は、意外と“スケール小さめ”でも該当します。



▼ 都市計画法上の定義

「建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う、土地の区画形質の変更」


つまり、ざっくり言えば、


  • 「家を建てるために」

  • 「土地を分けたり、形を変えたり」

  • 「道路を新たに造ったり」


する場合には、「開発行為」とみなされる可能性があるということです。



開発許可が必要になるラインとは?


では、どんなときに「開発許可」が必要なのか?


これは市街化区域などの用途地域や、分割する区画数・面積によって条件が異なります。



✅ 例:市街化区域で500㎡以上の土地に住宅を建てる場合

⇒ 一般的に開発許可が必要です。



✅ 例:農地(市街化調整区域)で分割して宅地化する場合

⇒ 基本的に許可なくしては不可。



✅ 例:3区画以下で道路も引かずに販売する場合

⇒ 条件次第で開発行為にあたらないケースもある。




「宅地建物取引業法」も要チェック!


実は、「土地を何区画かに分けて売る」ことを反復継続して行う場合は、宅建業法の対象になります。



▼ 宅建業者の免許が必要になるケースとは?

「業として宅地の売買・交換・賃借、またはその代理・媒介を反復継続して行う者」


つまり、


「一回限りの相続整理」ならOKでも、


「土地を分けて売るビジネス」を個人でやると免許がないと違法になる可能性も。



“自分の土地だから”と油断してると、「無免許営業」として処分対象になりかねません。




「分けて売る」時に起きがちなNGパターン5選


ここでは、実際にありがちな“やってはいけない分割売却”の例をご紹介します。



❌ パターン① 勝手に道路を造ったら開発許可違反

「奥の区画に通路を引こう」と思って道路っぽく造成したらアウト。
道路位置指定や開発許可を取っていなければ、建築許可が下りないだけでなく、行政指導の対象になることも。


❌ パターン② 接道義務を無視して区画したら売れない

建物を建てるには、「幅4m以上の道路に2m以上接道」が必要。
接道を無視して区画すると、その土地には建物が建てられません(いわゆる“再建築不可”)。
売った後にトラブルになった事例、多数あります。


❌ パターン③ 境界未確定のまま分けて売ったら揉める

測量もせずに「この辺りで分けよう」と感覚でやると、
買主との間で「え?ここまでだと思ってたのに!」という境界トラブルに。

しかも、隣地と絡むと泥沼化します。


❌ パターン④ インフラ(上下水・電気)が引き込めない

道路を挟んで分けたけど、片方の区画には水道が届かない…。
ガス引けない…。
→ 買主が「話が違う!」と白紙解約に。

宅地として売る以上は、最低限のインフラ確保はマスト。


❌ パターン⑤ 地目が「農地」のまま

農地法の転用許可がないまま売却したら、後で無効になる可能性も。
「農地=簡単に宅地にできない」ので、売る前に農業委員会などへの申請が必要です。




じゃあ、どうやったら合法的に“分けて売れる”の?


ここまで読むと「うちの土地、やばいかも…」と不安になった方もいるかもしれません。


でも大丈夫!


以下のようなステップを踏めば、合法的に分けて売ることができます。



▼ STEP① 測量と境界確定

まずは土地家屋調査士に依頼して、正確な測量と境界の確定を。
ここがズレてると、あとで全てが台無しになります。



▼ STEP② 用途地域と建築条件の確認

都市計画課などで、その土地がどの用途地域に属しているか確認。
「建てられるかどうか」「分けられるかどうか」が決まります。



▼ STEP③ 行政に開発許可が必要か相談

分け方や区画数、道路の形状によっては開発許可が必要です。
不動産会社や行政書士と連携し、事前相談を必ず行いましょう。



▼ STEP④ 宅建業者に売却を依頼するか、免許取得を検討

個人で売る場合でも、「分けて売る行為=業としてやってる」とみなされるなら、宅建免許が必要です。
面倒なら、信頼できる不動産会社にまとめて依頼するのも手。



▼ STEP⑤ インフラ・ライフラインの確認と整備

水道・下水・電気・ガスがちゃんと引き込めるように段取りしましょう。
自治体によっては補助金が出る場合もあります!




■ まとめ:分けて売るのはアリ!でも“順番”と“相談”が命

✔ 自分の土地を分けて売ることは違法ではない
✔ ただし、開発許可や宅建業法など法令チェックが必須
✔ 道路・接道・インフラの確保が超重要
✔ トラブルを防ぐには、プロの協力を得るのが近道!




相談こそ、最大の合法テクニック


「分けて売る=怖い・違法・ダメ」と決めつけるのではなく、


「どうすれば合法に、安全に、うまく売れるか?」を一緒に考えるのがプロの仕事。


実際、弊社ではこうした分筆売却のご相談が年々増えています。



空いている土地、持て余している農地、親から相続した広すぎる敷地──


それぞれに最適な売却方法、必ずあります。




これまで記載した内容は、自治体によっても捉えられ方が違うかと思います。


実際に、違法状態であるにしてもお咎めなし


と言う方もいらっしゃいます。



インターネット上でOKっぽい様なことが書かれていても、実際に手掛ける前に、


不動産会社に相談して損はありません!



“なんとなく”で分けて売る前に、まずは、お気軽にご相談ください!



記:宅地建物取引士  原田


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