
Vol.95 “共有名義”の家は売るときどうなる?知られざる罠
“共有名義”の家は売るときどうなる?知られざる罠
~「共有名義」って、なんとなく安心?~
「夫婦でローンを組むなら、共有名義が当たり前でしょ?」
「親子で買ったから、名義も親子で半分こ!」
こうして始まる“共有名義生活”―― 買うときは一体感、売るときは…混乱、です。
今回は、住宅購入で意外と多い「共有名義」という制度が、将来の“売却”時にどんなドラマを生むのか?
大事なポイントをしっかりおさえて解説していきます!
そもそも「共有名義」とは?
超ざっくり説明すると…
1つの不動産を、2人以上で持つ状態
例えば、
夫:50%
妻:50%
または、
親:70%
子:30%
など。
所有者が複数いるため、売る・貸す・建て替えるなどの“重要な決定”には全員の合意が必要になる、
というのがポイント。
「名義だけ分けとくか~」の軽いノリで始めてしまうと、
後々思わぬ苦労を背負うことになるのです。
売るときに起こる“あるあるトラブル”とは?
① 全員の同意がないと売れない
不動産売却には、共有者全員のハンコが必須!
たとえ9割を持っている人が「売ろう!」と思っても、
残り1割を持っている人が「イヤ!」と言えば、売却はできません。
家族であっても意見が合わないことは普通。
むしろ、家族だからこそ感情的なもつれが起きやすいのがリアルです。
② 共有者が行方不明・音信不通
共有名義のまま長年放置していたら…
「もう一人の名義人、今どこに住んでるの?」
「亡くなったって聞いたけど…」
こうなると、手続きは一気にハードモードに突入。
裁判所を通した手続きや、相続関係者の探索などが必要になり、売却どころの話ではなくなります。
③ 税金の配分トラブル
売却後にかかる“譲渡所得税”も、持ち分割合に応じて課税されます。
「半分ずつ売ったんだから、半分ずつ納税ね」 …というのは理屈通りですが、
片方が確定申告を忘れてトラブルに発展!という事例も。
「罠」にならないために、知っておくべき3つの知識
【1】共有名義の解消はできる
例えば夫婦間で、「やっぱりあなたの名義にしといた方がスムーズかも」という場合、
贈与または売買で名義変更することが可能です。
ただし、税金(贈与税・登録免許税など)がかかるので、事前に専門家への相談はマスト。
【2】「持ち分だけの売却」は可能。でも…
一応、自分の持ち分だけを売ることは法律上できます。
でも買い手からすれば「その物件の◯割だけ買う」というのは、メリットよりデメリットが大きいため、
実際にはなかなか売れません。
【3】共有者全員の“意思確認”はこまめに
将来どうしたい?
住み続けたい?
売りたい?
などを共有者同士で定期的に話し合っておくことで、急な売却時にも慌てず対応できます。
こんなケースは注意!リアルな事例から学ぶ
ケース1:夫婦で共有 → 離婚後に売れなくなった
離婚により、お互いの連絡が取れなくなったり、売却の意見がまとまらず“塩漬け物件”に。
→【対策】:財産分与と一緒に、どちらがどの名義を持つかをハッキリ決めておく!
ケース2:親子で購入 → 親が他界して相続問題へ
親の持ち分が他の兄弟姉妹に相続され、
「売ってもいいよ」という人と「思い出があるからイヤだ」という人が出現。
→【対策】:親の元気なうちに「将来どうするか」を確認し、遺言や家族会議で意思統一を!
それでも共有名義が“ピッタリ”な人もいる
もちろん、共有名義がすべてNGというわけではありません。
以下のようなケースでは、むしろメリットになることも。
・夫婦で収入合算して住宅ローンを組むとき
・子どもとの資産形成を計画しているとき
・相続税対策の一環として持ち分を分けておきたいとき
ただし、「買うときの勢い」だけでなく、「売るときの出口」も見据えておくのが鉄則です。
共有名義は“買う前”にこそ深く考えよう
・共有名義は慎重に
・もし既に共有なら、意思疎通をしっかりと
・いざという時のために、名義整理や遺言の準備も視野に
買う時には気づきにくい“売る時のワナ”
でも、ちょっとの知識と事前の工夫で、しっかり回避できます。
「持ち家=自由」ではありません。
名義のカタチにも、未来を見据えた選択を。
(※法的な判断が必要な場合は、司法書士・税理士・弁護士など専門家への相談をおすすめします)
記:ファイナンシャルプランナー 菊池