
Vol.115 仲介手数料の値引きの裏事情
仲介手数料の値引きの裏事情
~高い?ぼったくり?いえいえ、裏では命がけの仕事をしています~
「手数料、ちょっとオマケしてよ?」
「不動産屋は儲かるんでしょ?」
そんな言葉を、不動産営業マンなら一度は耳にしたことがあるでしょう。
確かに、物件価格が3,000万円なら、上限仲介手数料は96万円(+消費税)。
買主からすれば、
「え? ただ紹介してくれただけでそんなに取るの?」という気持ち、
わからなくもありません。
でも、それ、本当に“ただの紹介料”だと思っていますか?
今回は「手数料=高い」と思われがちな不動産仲介業の裏側を、お話ししましょう。
仲介手数料ってなに?〜法律で決まってるって知ってました?〜
まず、仲介手数料は法律で上限が決まっています。
宅地建物取引業法で、売買価格に応じて以下のような計算式が定められているのです。
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200万円以下:5%
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200万円超~400万円以下:4%+2万円
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400万円超:3%+6万円
つまり、3,000万円の物件なら
→ 3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円(+消費税)
これが「上限」であって、自由に吹っ掛けてるわけではありません。
むしろこの手数料の中で、かなりの業務をこなしているのです。
仲介業者の「仕事」って何してるの?
「内見の日時調整とカギ開けてるだけでしょ?」と思ったあなた!
今すぐその偏見は脱ぎ捨ててください。
仲介業者の仕事は、まさに縁の下の力持ち。
目立たないけれど、買主の未来を守る重要な役割を果たしています。
①物件調査は“地雷除去”
■土地に問題がないか
■道路に接しているか
■建築基準法や都市計画法に適合しているか
■水道・下水道は引かれているか。
売主は「OK」と言っていても、実際には大問題が潜んでいることが多いのです。
これはまるで、地雷原を裸足で歩くようなもの。
プロでないと、どこに問題が埋まっているか分かりません。
仲介業者は、その地雷をすべて除去してから、「この道、安全ですよ!」と契約で説明するのです。
②売主との調整は“外交交渉”
「この家、こんなに傷んでたら値下げしたい」
「エアコンは置いていって欲しい」
こうした交渉を、買主本人が売主に直接言うのはとても気まずいですよね。
でも、仲介業者が間に立てば、表情ひとつ変えずに、刺さる交渉をしてくれます。
外交官並みのバランス感覚が求められる仕事なんです。
契約書・重要事項説明書の作成は“法務作業”
契約書と重要事項説明書は、単なる「紙の束」ではありません。
万一トラブルが起きたときに、すべての基準になる重要書類です。
一文字の記載ミスで後から数百万円の損害が発生…なんてこともあるため、
作成には弁護士レベルの注意力と責任感が必要なのです。
「手数料を値引いて」は、無責任なお願い?
仲介業者にとって、契約が成立すれば責任は終わりではありません。
実はそこからが本当のスタート。
瑕疵が見つかれば「なぜ調査しなかった?」と責任を問われることもあります。
→ つまり、「責任が重くて、でも報酬が下がる」という割に合わない状況になるわけです。
例えるなら…
あなたがレストランのシェフだとして、お客さんがこう言いました。
「食材は全部一流のものを使って、調理も完璧にして。でも、料金はファストフード価格ね。」
…無理がありますよね?
不動産仲介も同じ。安全な取引を求めるなら、それ相応の手数料が必要なんです。
値引き交渉、実は損してる?
仲介業者も人間です。
値引き交渉をされると、
「このお客さん、本気なのかな…」
「手間ばかりかかって、利益は出ないな…」
と、感じてしまうこともあります。
その結果、同じ条件の別の購入希望者が現れたら…
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値引き交渉しない本気のお客さん → 優先対応
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値引きしてきたお客さん → 後回し or 情報提供停止
なんてこと、実は結構あるんです。
「損して得取れ」とはよく言ったもので、手数料は定価で払って、その分信頼を勝ち取るほうが、
結果的に得をすることが多いのです。
とはいえ「割引」が一切ないわけじゃない
もちろん、ケースバイケースで手数料を調整することはあります。
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■複数物件を一括購入する場合
■売主と買主の双方から手数料が入る場合
■長期の顧客で、別件でも継続的に依頼がある場合
■ご紹介のお客様の場合
こうしたときには、値引きの余地が生まれることも。でも、それは信頼関係があってこそ。
「初対面でいきなり値引き交渉」は、逆効果になりがちです。
安さより“安心”を買おう
「仲介手数料が高い!」
そう感じる気持ちは分かります。
でもその裏で、
不動産会社は数えきれないほどのトラブルを未然に防ぎ、あなたの人生最大の買い物を支えているのです。
むしろ、この手数料で「安心と安全と信頼」が買えると思えば、高くはないと感じられるはず。
もしあなたが、不動産会社に「手数料ちょっとまけてよ~」と言いたくなったら、
ちょっと待ってあげてください。
その会社は、あなたの未来を守るために、
毎晩、契約書と格闘し、売主との交渉に知恵を絞り、物件調査に命を懸けているかもしれません。
だから、できればこう言ってあげてください。
「全部お任せするから、安心な取引にしてください!」
それが、プロフェッショナルのやる気を100倍にする魔法の言葉かもしれません。
コンビニやスーパーで値引き交渉しませんよね?
価格が安いから?
物価高の今、法律の上限で売り上げに苦しんでいる業態の一つに
不動産会社はあるのです。
責任感の割に、手数料に見合わない現象が起きています。
ですので、気持ち良く手数料は支払ってあげてはいかがでしょうか。
それだけの責任の重圧に苦しみながら、お客様には笑顔で接しているのですから…。
記:宅地建物取引士 原田