
Vol.151 稀に見る長期優良住宅とは一体???
稀に見る長期優良住宅とは?メリット・デメリットある?
「長期優良住宅」という言葉
不動産や住宅業界に関心を持ち始めた方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「なんだか良さそう!」というイメージはあるけれど、
具体的にどう良いのか、そして本当に自分に合うのかと聞かれると「うーん…」と首をかしげる人も多いはず。
この記事では、不動産購入検討者向けに、長期優良住宅の正体 を徹底的に解説します。
制度のメリットとデメリットを知っておけば、営業マンに勧められたときも冷静に判断できますよ。
1. そもそも「長期優良住宅」とは?
「長期優良住宅」は、2009年に施行された「長期優良住宅普及促進法」に基づく制度で、
国が認定する“長持ちする家”のこと。
簡単にいうと、「100年住める住宅をつくりましょう」という国の方針を形にしたものです。
認定を受けるにはクリアすべき条件とは、以下の基準を満たす必要があります。
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耐震性:大地震でも倒壊しない構造
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耐久性:柱や梁などが長持ちする仕様
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省エネルギー性:断熱や省エネ設備の導入
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維持管理・更新の容易性:メンテナンスしやすい設計
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住戸面積の確保:狭すぎない広さ
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維持保全計画:定期的な点検や修繕の計画書を提出
つまり、「ただ頑丈に建てる」だけでなく、「長く快適に住み続ける仕組み」が制度の本質なんです。
2. 長期優良住宅のメリット
「国のお墨付き」というだけあって、魅力的な特典が多いのも事実です。
(1) 税制優遇が受けられる
住宅ローン控除の拡充
一般住宅より控除期間が長くなる場合があります。
固定資産税の減額
新築後の一定期間、固定資産税が優遇されます。
登録免許税や不動産取得税の軽減
登記や購入時にかかる税金も軽くなる可能性があります。
数字だけ見ると難しそうですが、
要するに「普通に家を建てるより、長期優良住宅にしたほうが財布に優しい場合が多い」ということです。
(2) 資産価値が落ちにくい
中古住宅市場では「築年数が古い=価値が下がる」という常識があります。
しかし、長期優良住宅は国の認定を受けているため「性能が担保されている」という安心感があり、
一般的な住宅よりも評価が下がりにくいといわれています。
(3) 快適に長く住める
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■夏は涼しく、冬は暖かい断熱性能
■地震に強い構造
■メンテナンスしやすい設計
こうした条件を満たしているので、住んでからの安心感や快適性が段違いです。
「老後も同じ家で安心して暮らしたい」と考える人にはピッタリでしょう。
(4) ローン審査にも有利になることも
金融機関によっては、長期優良住宅を担保評価で高く見るケースもあります。
つまり「同じ借入額でも融資を受けやすい」可能性があるのです。
3. 長期優良住宅のデメリット
一方で、もちろん良いことばかりではありません。制度の性質上、注意点もいくつか存在します。
(1) 建築コストが高くなる
耐震性や省エネ性能を高めるため、一般的な住宅より 建築コストが割高になる傾向があります。
例えば同じ延床面積でも「数百万円の差」が出ることも。
(2) 認定の手続きが面倒
長期優良住宅として認定を受けるには、
建築計画や維持管理計画を自治体に提出し、審査を受けなければなりません。
設計士や工務店がサポートしてくれるとはいえ、通常の家づくりより時間と手間が、かかります。
(3) 維持保全計画を守らないと意味がない
認定を受けただけで安心してしまう人もいますが、実際には「定期点検・修繕」を怠ると長持ちしません。
つまり「メンテナンスをしっかり継続できる人」でないと、この制度の恩恵は薄れてしまうのです。
(4) 将来的な売却時に必ずしも高く売れるとは限らない
「長期優良住宅だから高値で売れる」という保証はありません。
市場の需要や立地条件によっては、普通の住宅と変わらない評価しかつかないこともあります。
「絶対に資産価値が下がらない」と過信するのは危険です。
4. こんな人に向いている!
長期優良住宅がオススメなのは、こんなタイプの方です。
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■将来にわたって同じ家に長く住みたい
■老後も快適に暮らせる住まいを探している
■建築費用にある程度余裕がある
■定期点検や修繕を計画的に行える
逆に「短期間で売却する予定がある」、「初期費用をとにかく抑えたい」という方には不向きです。
5. 不動産購入者へのアドバイス
長期優良住宅は、メリットを正しく理解して購入するなら非常に有利な選択肢です。
ただし「名前に踊らされて」飛びついてしまうのは危険。
■初期コストと長期的な維持コストを比較する
■本当にその家に長く住むのかを考える
■定期点検を続けられるかをシミュレーションする
これらを踏まえて判断すれば、後悔のない選択ができるでしょう。
「長期優良住宅」と聞くと、つい「良い家に違いない!」と思ってしまいがちです。
もちろん、税制優遇や資産価値の維持、快適性などのメリットは大きいですが、
建築コストや維持管理の負担も無視できません。
結局のところ、長期優良住宅が「お得」かどうかは、
あなたがその家にどのくらい長く住むのか、そして維持管理をしっかり継続できるか にかかっています。
「100年住める家」を選ぶのか、それともライフスタイルに合わせて柔軟に住み替えていくのか。
あなたの将来設計に合わせて、冷静に判断してくださいね。
記:宅地建物取引士 原田