
Vol.195 SUUMOやアットホームに同じ物件がたくさん載っている理由
SUUMOやアットホームに同じ物件がたくさん載っている理由
~「どの会社に問い合わせても同じ物件」その本当のワケ~
「この物件、前にも見たような…?」
不動産ポータルサイト――
たとえば、SUUMO(スーモ) や アットホーム、HOME’S(ライフルホームズ)などを見ていると、
こんな経験をされた方はいませんか?
「あれ、この物件、別の会社でも載ってる」
「写真も間取りも同じだけど、会社名だけ違う」
「しかも価格が微妙に違う…どれを信用すればいいの?」
実は、それ、“同じ物件”が複数の不動産会社から広告されている
不動産業界ではごく一般的なことですが、消費者から見るととても不思議に映る光景ですよね。
この記事では、
〇なぜ同じ物件が複数社から掲載されるのか?
〇どういう仕組みでそれが可能なのか?
〇そして、どの会社に問い合わせるのが正解なのか?
を、業界の裏側までわかりやすく解説していきます。
1.そもそもSUUMOやアットホームに載る物件は「仲介物件」
まず前提として知っておきたいのが、ポータルサイトに掲載されている物件の多くは「仲介物件」です。
不動産には大きく分けて2種類あります。
自社物件(売主物件) … 会社が自ら所有・販売するもの
仲介物件(媒介物件) … 売主と買主の間に不動産会社が入るもの
この「仲介物件」は、複数の不動産会社が紹介できるという特徴があります。
つまり、売主がどの会社と媒介契約を結んでいるかによって、広告できる範囲が決まる仕組みなのです。
2.不動産の「媒介契約」がカギ
同じ物件が複数社に出る理由の根本は、「媒介契約の種類」にあります。
媒介契約には3種類あります。
① 専属専任媒介契約
→ 売主は1社だけと契約。他社は一切広告できません。売主が自分で買主を探すこともできません。
つまり、この契約だと同じ物件が複数社に出ることはありません。
不動産会社は、1週間に1回以上の報告義務があります。
② 専任媒介契約
→ 売主は1社だけと契約。他社は広告できませんが、
不動産会社は、2週間に1回以上の報告義務があります。
これも、基本的には他社に広告は出ません。
③ 一般媒介契約
→ 売主は複数の不動産会社と同時に契約可能。各社が自由に広告できます。
売主が自分で買主を探すのもOK。
つまり――
あなたがSUUMOで見ている「同じ物件」は、この「一般媒介契約」の物件である可能性が高いのです。
3.「一般媒介契約」がもたらす“物件の乱立”
一般媒介契約では、売主が「A社」・「B社」・「C社」
それぞれの会社は、「うちが先に買主を見つけたい!」と競うように広告を出します。
その結果―
SUUMOやアットホーム上で、同じ物件がA社・B社・C社…と複数並ぶ
という現象が起きるのです。
どの会社も、「問い合わせが来れば仲介手数料を得られる」ため、同じ物件をそれぞれ自社名義で掲載しています。
4.なぜ価格や写真が微妙に違うの?
これもよくある疑問です。
同じ物件なのに、掲載会社によって「価格」や「写真」、「
その理由はいくつかあります。
理由①:情報の更新タイミングが違う
価格変更や契約済み情報は、各社が独自に更新しています。
リアルタイム共有ではないため、「A社ではまだ旧価格」「B社では最新価格」
理由②:各社が撮影・加工している
同じ物件でも、A社はプロカメラマン撮影、
印象を良くするために、広角レンズや補正を強めに使うケースも少
理由③:コメントを工夫して差別化している
「角地で日当たり良好!」
「リフォーム履歴あり!」
など、キャッチコピーを変えて自社らしさを出しています。
つまり、“同じ物件を別の切り口でアピール”しているのです。
5.売主側から見た「一般媒介」のメリット・デメリット
売主の立場で考えると、複数の会社に依頼できる「一般媒介」
しかし、注意点もあります。
■メリット
多くの会社が広告してくれるので露出が増える
幅広い顧客層にアプローチできる
1社がサボっても他社が動いてくれる安心感
■デメリット
各社が「他社より先に売りたい」と急ぎ、情報精度が雑になりやす
広告内容の統一が取れず、誤情報・更新遅れが生じやすい
どの会社が本気で販売しているのか分かりにくい
結果として、「多くの会社が掲載している=人気がある」ではなく、「どこもまだ売れていない」というケースもあるのです。
6.買主側から見た「同じ物件が多い」状況の注意点
あなたが家探しをしている場合、同じ物件がいくつも出てくると、こんな落とし穴があります。
① 「どの会社に問い合わせても同じ物件」
→ つまり、物件自体は1つ。会社ごとに“取り次ぎルート”が違うだけです。
② 「安くなるならA社の方がいい?」
→ 不動産の売買価格は、売主が決めるもの。仲介会社が勝手に安くすることはできません。
(※交渉をサポートすることは可能)
③ 「最初に問い合わせた会社が担当権を持つ」
→ ポータルサイト経由で問い合わせた瞬間、その会社が“最初にコンタクトした仲介会社”
途中で他社に変えると、トラブルになるケースもあります。
④ 「同じ物件でも担当者の力量はまったく違う」
→ ここが最も重要なポイント。同じ物件を扱っていても、説明の深さ・交渉力・調査能力・対応の丁寧さは、担当者次第で天
7.では、どの会社に問い合わせればいいのか?
これが最も多い質問です。
答えはシンプルです。
「物件」ではなく、「担当者」で選ぶ
同じ物件であっても、
〇契約条件を正確に説明してくれるか
〇不利な情報をきちんと伝えてくれるか
〇提案やアドバイスが誠実か
こうした姿勢こそが、本当に信頼できる不動産会社の証です。
良い担当者を見抜くチェックポイント
〇物件の“デメリット”を隠さず話してくれる
〇「他社の悪口」より「お客様の利益」を優先してくれる
〇すぐ契約を迫らない
〇資料や根拠を提示しながら説明してくれる
〇「売る」より「買ってからの生活」を考えてくれる
もし複数社に同じ物件があった場合、このチェックをもとに、信頼できる担当者を選ぶことをおすすめし
8.不動産会社として伝えたいこと
私たち不動産会社から見ても、ポータルサイト上に同じ物件がズラリと並ぶのは、
しかしそれは、
「お客様の目に触れる機会を増やしたい」という売主の意図と、
「一件でも多くのお客様に提案したい」
ただし、問題は「数」ではなく「質」。
どれだけ多くの会社が載せていても、
本当にお客様に寄り添い、
信頼できる不動産会社、誠実な担当者に出会えれば、同じ物件でも全く違う満足度の取引ができます。
あなたが迷ったときは、「情報の多さ」ではなく、「説明の丁寧さ」で選んでください。
それが、後悔しない住まい探しの最初の一歩です。
記:ライププランナー 武井