
Vol.291 不動産価格はなぜ1円単位で決まらないのか?
不動産価格はなぜ1円単位で決まらないのか?
~実はそこに“不動産市場の特徴”が隠れている~
スーパーに行くと、多くの商品が1円単位で価格設定されています。
株式市場も同じです。
株価は日々変動し、1円単位で取引されています。
では、不動産はどうでしょうか?
販売物件の多くは、
・3,280万円
・4,980万円
・2,450万円
このような価格をよく見かけます。
でも不思議に思いませんか?
「3,281万円」とか「4,982万3000円」という価格はほとんど見かけません。
なぜ不動産は1円単位で価格が決まらないのでしょうか?
今回は、この疑問をきっかけに、
不動産価格の仕組みと市場の特徴を分かりやすく解説していきます
1.不動産は「一点物の商品」
まず大前提として知っておきたいのは、不動産はすべて一点物ということです。
スーパーの商品なら、同じ商品が数多く並んでいます。
株も同じで、同じ企業の株はすべて同じ価値です。(その瞬間ですが)
しかし不動産は違います。
例えばマンションでも、
・階数
・向き
・角部屋
・眺望
・日当たり
これらが違うだけで、まったく別の物件になります。
戸建てや土地ならなおさらです。
・土地の形
・道路の幅
・隣地
・日当たり
・周辺環境
すべて違います。
つまり不動産は、同じものが存在しない商品なのです。
この特徴が、価格の決まり方にも影響しています。
2.不動産価格は「相場」で決まる
不動産の価格は、基本的に「相場」を参考にして決まります。
例えば、近くの家が
・3,000万円
・3,200万円
・3,100万円
で売れていたとします。
この場合、市場では、「このエリアの家は3,000万円前後」という相場が形成されます。
そのため、新しく売り出す物件も、
・2,980万円
・3,180万円
・3,280万円
といった価格になるのです。
つまり、不動産価格は細かく計算されているというより、
3.不動産価格は「交渉前提」
もう一つの理由があります。
それは、不動産は価格交渉が前提ということです。
例えば、3,280万円の物件があったとします。
買主はこう考えるかもしれません。
「少し安くならないかな…」
そこで、「3,100万円なら買います」という交渉が入ることもあります。
このように不動産取引は、価格交渉が行われることが多いため、
最初から余白のある価格設定になっていることが多いのです。
これが、もし、1円単位の価格だったらどうでしょう?
3,281万4,532円の物件…少しリアルすぎますよね。
不動産は、市場の中で調整されながら価格が決まる商品なのです。
4.心理的価格の影響
もう一つ面白い理由があります。
それは、人の心理です。
例えば次の2つ。
・3,000万円
・2,980万円
金額の差は、20万円しかありません。
しかし、多くの人は後者を「2,000万円台」と認識します。
この心理を利用して、不動産では、
・2,980万円
・3,980万円
・4,980万円
といった価格設定が多くなります。
これはスーパーの198円と同じ心理です。
つまり、不動産価格にはマーケティングの要素もあるのです。
5.昔からの慣習が引き続いている
上記でお話してきたように、様々な心理戦が価格には入っているものの、
何だかんだで、昔からの慣習が大きいところもあります。
正直、不動産会社のスタッフでも、なぜ1円単位でないのか?の説明を
まともに出来る人は少ないのではないでしょうか。
そもそもが大きな価格帯でもある商品ですから、
1円単位でやっているとキリがないと言う部分もあります。
本来であれば、そうするのが正解でもあるかと思うのですが、
数千万円などとする販売価格に対し、1円単位ではじき出す意味がないのが現状。
この1円の差が、買う側においても売る側においても、どうでもよい差額になってしまうのです。
付随する取引上の事務として、1円単位まで出さないといけないものもありますが、
不動産本体の取引では、こうした背景がある為に、キリ良い数字に羅列されています。
最近では、3,999万円とか、2,198万円とか刻む売主さんも目立ちます。
これは、末尾00万円や80万円よりも目立つから、覚えていてもらえると言う
心理テクニックが使われているんですね。
記:ライフプランナー 武井