
Vol.335 売買契約後に買主や売主が死亡したらどうなる?
不動産取引の“万が一”に備える基礎知識
不動産の売買契約は、人生の中でも大きな取引のひとつです。
そして多くの場合、
その間に、もし、買主または売主が亡くなってしまったら???
あまり考えたくないテーマですが、
このとき、
■契約はどうなるのか?
■白紙になるのか?
■誰が手続きを引き継ぐのか?
といった疑問を持つ方も多いと思います。
今回は、
1.結論:契約は原則「そのまま有効」
まず結論からお伝えします。
売買契約は、当事者が亡くなっても原則として消えません。
これはなぜかというと、契約上の権利・義務は“相続人に引き継がれる”ためです。
つまり、
売主が死亡 → 売主の立場を相続人が引き継ぐ
買主が死亡 → 買主の立場を相続人が引き継ぐ
という形になります。
ケース① 売主が死亡した場合
① 売主が死亡
② 相続が発生
③ 相続人が売主の地位を引き継ぐ
④ 契約を継続し、決済・引渡しへ
不動産の名義は一度“相続人名義”に変更する必要があるケースが多いです。
● 注意点
相続人が複数いる場合は、全員の同意が必要です。
これにより、遺産分割がまとまらない場合は手続きが大幅に遅れ、
売買契約上の引渡期日に間に合わない可能性があります。
ケース② 買主が死亡した場合
① 買主が死亡
② 相続人が契約を引き継ぐ
③ 決済・引渡しへ進む
ここでの問題点としては、住宅ローンが絡むと複雑になると言う事です。
【買主死亡 × 住宅ローン→ローン契約が成立しない可能性】
金融機関の審査は、「本人」を前提にしています。
そのため、相続人が引き継ぐ場合再審査が必要になります。
つまり、全く契約が異なるという事に。
2.契約解除はできるのか?
原則:死亡だけでは契約は解除されない
ただし、例外的に解除できるケースがあります。
■ローン特約が適用される
■相続人全員が合意して解除
■契約条件に特約がある
ケースごとに判断が必要ですが、売主との協議の上、白紙解約になる可能性が経験上高くあります。
それでも、契約継続の場合は、相続人等にそのまま引き継がれます。
3.実際によくあるトラブル
ケース① 相続人がまとまらない
■売却に反対する人がいる
■遺産分割協議が長引く
→取引が止まる
ケース② ローンが組めない
■相続人が審査に通らない
→契約履行が困難
ケース③ スケジュール遅延
■名義変更
■書類取得
→決済が延期
これらを総じて、時間と調整が大きな課題になります。
4.全ての契約は、契約後も“何が起きるか分からない”前提で動く
不動産取引は、契約して終わりではありません。
むしろ、契約後〜引渡しまでが重要な期間です。
その間に起こり得るリスクのひとつが、当事者の死亡です。
あまり考えたくないテーマではありますが、
「起こり得ること」として理解しておくことは非常に重要です。
■契約は原則継続される
■相続人が引き継ぐ
■ローンが絡むと複雑になる
この基本を押さえておくだけでも、いざというときの対応が大きく変わります。
長年この仕事に携わっていると、一度や二度は経験してしまうものだと思います。
とは言え、売主が不動産会社であれば心配は不要。
不動産売買契約という堅苦しい言い方の前に、単純に売ります・買いますの口約束でないもので、
一方が亡くなってしまったら一般的には、白紙になる可能性が実際は高い。
法律が云々とはあるものの、互いに人間ではありますから、
「それなら仕方ないね…」ってなるのが日本人の心?なんじゃないかと思います。
そればかりは、ね。。。。
記:宅地建物取引士 原田