
Vol.384 バス路線廃止の影響。不動産価格はどう変わる?
郊外の住宅を選ぶ前に知っておきたい現実
「駅から少し離れているけれど、バスがあるから問題ない」
住宅探しをしている方の中には、
実際、神奈川県内でも、
・駅から徒歩20分以上の住宅地
・丘陵地にある戸建住宅
・ニュータウンとして開発されたエリア
などでは、バス路線が生活の重要な交通手段になっています。
しかし近年、不動産市場では新たな問題が注目されています。
それが、バス路線の廃止・減便問題。
以前は、「駅から遠くてもバスが頻繁に走っているから便利」と評価されていた住宅地でも、
バスの本数が減る、最終便が早くなる、路線そのものがなくなるという変化が起きています。
では、
結論から言えば、
駅から離れた住宅ほど、
今回は、不動産会社の視点から、
「なぜバス路線廃止が進むのか」
「住宅価格にどんな影響があるのか」
「これから家を買う人が注意すべきポイント」
について詳しく解説します。
1.なぜバス路線の廃止・減便が進んでいるのか?
昔から住宅地を支えてきたバス路線。
しかし現在、多くの地域で厳しい状況になっています。
その大きな理由は、人口構造の変化です。
理由①運転手不足
現在、全国的にバス運転手不足が深刻化しています。
バス会社は、
・採用難
・高齢化
・労働時間規制
などの影響を受けています。
運転手が不足すると、今まで維持できていた本数を減らさざるを得ません。
利用者が多い路線は維持されやすいですが、利用者が少ない路線では、
減便や廃止が検討されることになります。
理由②人口減少と利用者減少
郊外住宅地では、人口減少や高齢化が進んでいます。
特に、昭和後半から平成初期に開発された住宅地では、当時子育て世代だった住民が高齢化しています。
若い世代が新しく入らない地域では、バス利用者が減少します。
バス会社も事業として運営しているため、利用者が少ない路線を維持することは難しくなります。
理由③車社会による利用減少
郊外では、車を所有する家庭も多くあります。
そのため、日常生活でバスを利用する人が減っています。
特に、
・スーパー
・病院
・学校
などへ車で行ける地域では、バス需要が低下する傾向があります。
2.バス路線廃止は不動産価格に影響するのか?
では、バス路線がなくなると住宅価格は下がるのでしょうか?
答えは、「必ず下がる」ではありません。
しかし、条件によっては影響を受ける可能性があります。
影響①駅から遠い住宅ほど評価が厳しくなる
不動産価格では、交通利便性が非常に重要です。
特に中古住宅の場合、購入者は、「将来自分が売る時に売れるか?」も考えます。
駅徒歩圏であれば、バスがなくても一定の需要があります。
しかし、駅から遠く、バスが唯一の交通手段だった住宅の場合、
利便性低下が大きなマイナス要素になる可能性があります。
影響②高齢者にとって生活しづらくなる
住宅購入時には、現在の生活だけを見る方もいます。
しかし重要なのは、10年後、20年後です。
例えば、若いうちは、「駅までバスで十分」と思っていても年齢を重ねると、
・バス停まで歩く
・階段や坂道を移動する
・本数が少ない
ことが負担になる場合があります。
将来的な住み替え需要にも影響します。
影響③売却時の購入層が限定される
不動産売却では、購入希望者の数が重要です。
駅近物件の場合、幅広い層が検討します。
一方で、バス便のみの住宅では、車を利用できる人、勤務先が近い人、その地域に強い理由がある人などに
購入層が限られる場合があります。
購入希望者が少ないほど、売却期間が長くなる可能性があります。
3.ただし、バス便住宅がすべて悪いわけではない
ここで注意したいのは、「バス便=価値がない」ではありません。
実際には、バス利用でも人気が高い住宅地はあります。
理由は、別の魅力があるからです。
例えば、
・土地が広い
・住環境が良い
・自然が多い
・学校環境が良い
・街並みが整っている
などです。
交通以外の魅力が強いエリアでは、バス路線があっても需要があります。
【これから住宅購入する人が確認すべきポイント】
では、バス便エリアを検討する場合、何を確認すれば良いのでしょうか?
①現在のバス本数だけを見ない
重要なのは、「今便利か?」だけではありません。
確認したいのは、
・利用者数
・地域人口
・周辺開発状況
です。
現在便利でも、将来的に利用者減少が予想される地域では注意が必要です。
②複数の交通手段があるか?
理想的なのは、バス以外の選択肢がある住宅です。
例えば、
・別駅も利用可能
・自転車で駅へ行ける
・車移動がしやすい
など。
交通手段が一つしかない住宅は、将来リスクがあります。
③坂道や地形も確認する
神奈川県では、丘陵地の住宅も多くあります。
地図上では近く見えても、実際には、坂、高低差が大きいというケースがあります。
特に高齢になった時、この差は大きくなります。
4.売却する側もバス路線問題を意識する時代
住宅購入だけではなく、売却時にも交通事情は重要です。
以前購入した時は、「バスがある便利な住宅地」だった場所でも、現在の市場では評価が変わる可能性があります。
そのため、売却査定では、単純な築年数や面積だけではなく、将来的な需要を見る必要があります。
結果として、バス路線廃止は「街の将来を見るきっかけ」に。
バス路線の廃止問題は、「その街が今後どう変化するのか?」を見る重要な指標でもあります。
人口が増える街なのか?
高齢化が進む街なのか?
住宅需要が維持される街なのか?
不動産購入では、建物だけではなく、街の未来を見ることが重要です。
人口減少・利用者現状→採算が取れない・運転手の高齢化
こうしたサイクルが、路線廃止となる現状に繋がっている。
若い方を積極採用したくとも、少子化もあって成り手が少ない。
そんな中で、給与や福利厚生での競争もある。
横浜市営バスでは、公務員準拠の待遇ともあって、住民から給料が高すぎるとクレーム。
その結果、給料が下がった社員が他社に流れ、人材不足によって市営バス運行路線の一部をカット。
住民側の言いたい事は分かりますが、アホな事やってんなぁ~と見ています。
目に映るものしか見ていないと、こうなってしまうんですよね。
不動産も、今・その時だけでなく、“今後も”が、ポイントになってきます。
この様なバス便が減少するかもしれないと言う現実がある今、
最寄路線が淘汰された時、年齢も踏まえて立ち回れるのか?
そのあたりを考えながらの家探しをおススメします。
繰り返しになりますが、バスがなくなっても、それを上回る家なら価値以上ですよ。うん。
記:宅地建物取引士 原田