
Vol.387 賃貸の「更新料」って払わないといけない?
法律上の扱いと、家主との交渉が通るケース
「賃貸契約の更新で、また更新料を払うのは納得できない!」
「家賃を毎月払っているのに、なぜ追加でお金が必要なの?」
「更新料を払わなかったら退去させられるの?」
賃貸住宅に住んでいる方から、このような疑問をよく聞きます。
特に、長期間同じ部屋に住んでいる方にとって、
例えば、家賃10万円の物件で更新料1か月分の場合、
10万円+更新手数料+火災保険料など、更新時にまとまった費用が必要になることがあります。
では、
実は、「更新料=必ず違法」でも「更新料=必ず払う義務がある」でもありません。
今回は、不動産会社の視点から、賃貸更新料の法律上の扱い、
1.そもそも賃貸の更新料とは?
更新料とは、賃貸借契約を更新する際に、借主から貸主へ支払う費用です。
一般的には、
・契約期間2年間
・更新時に家賃1か月分
という設定が多く見られます。
例えば、家賃8万円の部屋なら更新料8万円という形です。
ただし、
2.更新料は法律で決められている?
ここが多くの方が誤解するポイントです。
実は、更新料について「全国一律で〇万円」等という法律上の決まりはありません。
つまり、更新料という制度そのものは法律で禁止されているものではありません。
重要なのは、賃貸借契約書に更新料について明確な記載があるか?という点です。
【更新料は払わなくてもいいの?】
では、契約書に更新料の記載がある場合、払わなくても良いのでしょうか?
結論から言うと、基本的には支払う必要があります。
なぜなら、賃貸借契約を結ぶ際に借主と貸主双方が条件として合意しているからです。
契約書に、「契約更新時には賃料1か月分の更新料を支払う」などの内容が明記され、
借主が署名・押印している場合、その契約内容は基本的に有効となります。
【更新料は違法ではないの?】
過去には「更新料は消費者に不利ではないか?」という争いがありました。
その中で、最高裁判所は更新料について、一定の条件を満たしていれば有効という判断を示しています。
つまり、更新料という制度自体が違法というわけではありません。
ただし、
・金額が極端に高い
・説明が不十分
・契約内容が不明確
などの場合は、個別に判断される可能性があります。
3.更新料を払わないとどうなる?
「払いたくないから払わない!」という判断は注意が必要です。
更新料の支払い義務が契約書にある場合、未払いは契約違反となる可能性があります。
家主側から見ると、「契約条件を守らない入居者」という判断になることがあります。
状況によっては、
・督促を受ける
・保証会社へ連絡される
・契約解除を求められる
などのリスクがあります。
ただし、更新料未払いだけですぐ退去になるというわけではなく、
具体的な事情や未払い状況によって判断されます。
【更新料の交渉はできる?】
ここで気になるのが、「更新料を下げてもらうことはできるのか?」という点です。
答えは、交渉すること自体は可能です。
契約上は支払い義務があったとしても、
家主との話し合いによって条件変更が認められるケースはあります
① 長期間住んでいる場合
家主にとって、長く住んでくれる入居者は非常に重要です。
・10年以上住んでいる
・家賃滞納がない
・部屋をきれいに使っている
このような借主であれば、「今回は更新料を減額する」・「更新料を免除する」という判断をする家主もいます。
② 空室リスクが高い物件の場合
現在の賃貸市場では、物件によって空室リスクが大きく異なります。
もし退去されると、
・次の入居者募集
・広告費
・原状回復費用
・家賃値下げ
など、家主側にも負担があります。
そのため、「更新料を少し下げるので住み続けてほしい」という交渉が成立することがあります。
③ 周辺相場より条件が悪い場合
・近隣より家賃が高い
・設備が古い
・築年数が経過している
・空室期間が長い
などの場合、借主側から条件交渉する余地があります。
④ 家主との関係が良好な場合
意外ですが、普段の関係性も重要です。
家賃を毎月きちんと支払い、トラブルなく住んでいる入居者は、家主から見ても安心できる存在です。
一方的に、「更新料を払わない」と言うより、「長く住みたいので相談できませんか?」
という姿勢のほうが交渉は進みやすくなります。
【更新料交渉で注意すること】
交渉には注意点があります。
「勝手に減額して振り込まない」これは避けるべきです。
例えば、更新料10万円のところ、「5万円だけ振り込む」という行為は、トラブルになる可能性があります。
必ず、家主または管理会社の了承を得ることが重要です。
【契約更新そのものを確認する】
更新料の問題では、契約期間も重要です。
普通借家契約なのか、定期借家契約なのかによって更新の扱いが異なります。
特に定期借家契約では、期間満了によって契約終了となる場合があります。
【家主側から見た更新料の意味】
更新料は、借主から見ると負担に感じる費用です。
しかし家主側にも理由があります。
例えば、
・契約更新手続きの事務負担
・物件維持管理費
・空室リスクへの備え
などがあります。
また、地域によって更新料文化は大きく異なります。
関東圏では比較的多く見られますが、地域によっては更新料がない物件もあります。
4.更新料がない物件は本当にお得?
「更新料ゼロ」という広告を見ると、お得に感じます。
しかし、注意すべき点もあります。
・家賃が相場より高い
・初期費用が高い
・別名目の費用が設定されている
こんなケースもあります。
大切なのは、更新料だけを見るのではなく総額で判断することです。
支払いって、出来るなら1円でも払いたくないもの。
でも、相手方にとっては、意味あるお金でもあるのです。
賃貸として借りている以上、契約時に更新料の取り扱いについて、必ず説明がなされます。
そこで同意できない場合は、借りてはいけません。
そうした支払いも込みでの賃貸です。
払いたくないと言うワケではなく、払えないと言う場合は、
出来るだけ早めに大家や管理会社に相談を!
記:宅地建物取引士 原田