Vol.398 最高裁まで争われた「境界線」の裁判の画像

Vol.398 最高裁まで争われた「境界線」の裁判

トラブル

不動産売買で知らないと危険な土地の境界問題とは?



「この土地は、どこまでが自分の土地なのか?」


普段生活している中では、あまり意識することがない「土地の境界」。

しかし、この境界問題が原因で大きなトラブルになることがあります。


特に土地は、

・隣地との距離が数センチ違う

・塀の位置が違う

・昔から使っていた場所が自分の土地ではなかった

・登記上の面積と実際の利用状況が違う

など、さまざまな問題が発生します。


中には、「境界線はどこなのか?」という一点を巡って当事者同士が長年争い、

最終的に最高裁判所まで判断を求めた事例もあります。


なぜ、たった数センチ、数十センチの境界がそこまで大きな問題になるのでしょうか?

それは、不動産において境界とは単なる線ではなく、土地の所有権そのものを決める重要なものだからです。



今回は、

・境界問題がなぜ裁判になるのか?

・最高裁まで争われる境界トラブルの背景

・土地を売買するときの注意点


について詳しく解説します。



1.境界線とは何なのか?


まず、境界線について理解しておきましょう。


土地には、「ここからここまでが所有者の土地」という範囲があります。

これを一般的に境界と呼びます。


しかし、実際、必ずしも明確になっているとは限りません。


例えば、

・古い住宅地

・昔からある土地

・相続を繰り返した土地


こうした土地では、境界標がなくなっているケースがあります。

また、昔設置されたブロック塀が、本当の境界線とは違う位置にあることもあります。



2.なぜ境界トラブルは最高裁まで争われるのか?


「数センチなら話し合えばいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

もちろん、話し合って合意出来るなら良いです。合意後はキチンと書面にてお互いに押印する。


ですが、感情があるので、そうも簡単には行かない話でもあるのです。


不動産では、この数センチが大きな意味を持ちます。

理由は、土地の価値に直結するからです。


例えば、100㎡の土地の一部が隣地に含まれるとなれば、所有面積が変わります。

さらに、建築できる範囲・駐車場利用・建物配置・売却価格にも影響します。


土地価格が高い地域ほど、数十センチの違いでも大きな金額差になることがあります。



3.境界には2種類あることを知っていますか?


不動産取引で重要なのが、境界には種類があるということです。


①筆界(ひっかい)

筆界とは、法務局の登記記録上で定められた土地の境界です。

簡単に言えば、「国が管理している土地の区切り」です。

所有者同士が勝手に変更できるものではありません。



②所有権界

一方で、所有権界とは、実際に所有者同士が利用している範囲です。

例えば、昔から「この塀から向こう側は隣の土地」として利用していた場合です。

しかし、利用状況と登記上の境界が一致しない場合があります。

ここが境界トラブルの大きな原因になります。



4.最高裁まで争われる境界裁判の典型例


境界問題で裁判になるケースには、共通した特徴があります。


ケース①「昔から使っていた土地」を巡る争い

よくあるのが、「何十年も自分の土地だと思って使っていた」というケースです。

例えば、隣地との間にある空地を長年庭として利用していた。

しかし、後から測量したところ、その部分は隣地だった。

このような場合、「長年使っていたから自分の土地ではないか?」という争いになります。



ケース②古い測量図と現在の測量結果が違う

昔の測量技術と、現在の測量技術では精度が異なります。

そのため、古い資料と最新測量で、面積や境界位置が違うことがあります。

特に、古い住宅地では注意が必要です。



ケース③相続によって問題が表面化する

境界問題は、所有者が変わった時に発覚することがあります。

親の代では問題にならなかった土地でも相続した子どもが売却しようとした際、

隣地との境界が不明確だった、というケースです。

相続では、「昔からこうだった」という話だけでは解決できません。



5.境界問題が不動産売却に与える影響


土地を売却する場合、境界は非常に重要です。

購入する側からすると、「どこまでが購入する土地なのか?」が分からない状態では、安心して購入できません。


特に、

・住宅建築予定

・土地分割予定

・金融機関の融資利用


こうした場合、境界確認を求められることがあります。


【売主が注意すべき境界トラブル】

土地を売却する方は、以下を確認しておくことが重要です。


①境界標は存在するか?

土地の角には、境界標という目印が設置されています。

しかし、工事や経年劣化によって、なくなっている場合があります。



②隣地所有者との認識は一致しているか?

売主は、「ここが境界だと思っている」としても、隣地所有者の認識が違う場合があります。

売却前に確認することが大切です。



③測量図を確認する

法務局には、過去の測量資料があります。

ただし、すべての土地に正確な測量図が存在するわけではありません。

専門家による確認が必要です。



【買主が境界を見る時のポイント】

購入する側も、価格だけを見るのは危険です。


確認したいポイントは、

・境界確認書の有無

・測量状況

・隣地との関係

・越境物の有無

です。


特に注意したいのが、越境です。

例えば、屋根・配管・ブロック塀などが隣地へ入り込んでいるケースがあります。

購入後に問題になることがあります。



6.不動産会社が境界を重視する理由


不動産会社が取引時に境界を確認する理由は、トラブル防止だけではありません。

購入者が安心して所有できるようにするためです。


不動産取引では、契約書だけでは解決できない問題があります。

土地そのものの状態を確認することが重要です。



<境界問題は「売る直前」ではなく早めの確認が大切>

売却を考えている場合、境界確認は早めがおすすめです。

なぜなら、隣地所有者との確認・測量資料確認は話し合いには時間がかかる場合があるからです。

売却直前になって問題が発覚すると、予定通り進まない可能性があります。



たかが数センチ、されど数センチ。


特に坪単価が高いエリアでは、このわずかな面積でも1か月分の給与レベルなど、

価格に大きな差が出やすくもあります。


不動産はそもそもの単価が高い商品ですので、数万円・数十万円に目を引かなくもなりやすい。

でも、冷静に考えると、この僅かな差で建てられる建物の大きさも変わってくるのです。


だからこそ、売買の際には出来る限り、境界を確定させた確定測量図が必要となります。



不動産だからこそ、トラブルにもなりやすい。

だからこそ、私たちは細かい。なんと言われようと、細かい。


結果、行くところまで行くと、裁判にもなってしまうのです。



この境界問題はお隣さん同士での争いでもあります。

例え裁判が終わったとしても、近隣としての関係は続きます。


難しくもややこしく、感情も入る問題としては厄介ランキング上位に食い込むでしょう。


そうならないためにも、隣地で測量立会いを求められたらキチンと確認し、主張するところは主張する。


結構大事です。



記:宅地建物取引士  原田


”トラブル”おすすめ記事

  • Vol.389 マンションの「民泊」トラブル。の画像

    Vol.389 マンションの「民泊」トラブル。

    トラブル

  • Vol.384  バス路線廃止の影響。不動産価格はどう変わる?の画像

    Vol.384 バス路線廃止の影響。不動産価格はどう変わる?

    トラブル

  • Vol.372  管理費・修繕積立金が安すぎる物件は危険!の画像

    Vol.372 管理費・修繕積立金が安すぎる物件は危険!

    トラブル

  • Vol.361  敷金・礼金ゼロゼロ物件のからくりの画像

    Vol.361 敷金・礼金ゼロゼロ物件のからくり

    トラブル

  • Vol.355  住宅ローンが払えなくなったら、何ヶ月目でアウト?の画像

    Vol.355 住宅ローンが払えなくなったら、何ヶ月目でアウト?

    トラブル

  • Vol.335  売買契約後に買主や売主が死亡したらどうなる?の画像

    Vol.335 売買契約後に買主や売主が死亡したらどうなる?

    トラブル

もっと見る