
Vol.402 夜逃げ、本当に逃げ切れると思いますか?
家賃問題から逃げる前に知っておくべき現実
「もう家賃が払えない……。」
「大家さんや管理会社から連絡が来るのが怖い。」
「このまま部屋を出て、連絡先を変えれば何とかなるのでは?」
賃貸住宅に住んでいる方の中には、
そして追い詰められた結果、「夜逃げ」という選択を考えてしまう方もいます。
しかし、本当に夜逃げをすれば問題は解決するのでしょうか?
結論から言えば、
夜逃げは問題から逃げる方法ではなく、
一時的には連絡から逃れたように感じるかもしれません。
しかし、その後には、
・未払い家賃
・契約上の責任
・信用情報への影響
・保証会社からの請求
・残された荷物の問題
・次の住まい探しへの影響
など、さまざまな問題が残ります。
今回は、「
1.なぜ人は夜逃げを考えてしまうのか?
夜逃げをする人には、「無責任な人」というイメージを持たれることがあります。
しかし、不動産の現場で相談を受けていると、
例えば、
・突然会社を退職した
・病気やケガで働けなくなった
・収入が大幅に減った
・離婚や家庭事情で生活が変わった
・借金問題を抱えている
・精神的に追い詰められている
など、さまざまな事情があります。
問題は、「支払いができなくなったこと」だけではありません。
本当に危険なのは、相談する前に、一人で抱え込んでしまうことです。
2.夜逃げすれば大家さんには見つからない?
「住所を変えれば大丈夫」
「携帯番号を変えれば連絡は来ない」
このように考える方もいます。
しかし、現実はそれほど簡単ではありません。
賃貸契約を結ぶ際には、
・本人確認書類
・勤務先情報
・緊急連絡先
・保証会社への申込情報
など、多くの情報を提出しています。
また、家賃保証会社を利用している場合、
つまり、「部屋を出れば全部リセットされる」というものではありません。
3.夜逃げすると未払い家賃は消える?
これ、大きな誤解があります。
それは、「いなくなれば家賃を払わなくていい」という考えです。
しかし、部屋を無断で出たとしても、
未払い家賃については、
・大家さんから請求される
・保証会社から請求される
・法的手続きになる可能性がある
など、後から問題になることがあります。
時間が経過したからといって、「なかったことになる」わけではありません。
【保証会社から請求される可能性】
現在、
保証会社とは、借主が家賃を支払えない場合に、
しかし、ここで勘違いしてはいけません。
保証会社が支払ってくれるということは、「借主の支払い義務がなくなる」という意味ではありません。
保証会社は立て替えた分について、借主へ請求することになります。
つまり、大家さんへの支払いが、保証会社への支払いに変わるだけの場合があります。
4.夜逃げすると次の部屋を借りにくくなる?
「新しい住所に行けば、また普通に部屋を借りればいい」と思う方もいます。
しかし、賃貸契約では審査があります。
特に、
・保証会社の利用履歴
・過去の家賃滞納
・契約トラブル
などは、次の住まい探しに影響する可能性があります。
もちろん、すべての情報が永久に残るわけではありません。
しかし、「以前の部屋で問題があった」という状況は、次の契約で不利になる可能性があります。
5.部屋に残した荷物はどうなる?
夜逃げで意外に問題になるのが、「残置物」です。
家具・家電・衣類・重要書類・思い出の品。
本人にとっては不要になったものでも、
また、「置いていったから捨てていい」という単純な話でもありません。
荷物の所有権の問題があり、
結果として、大家さんにも負担が発生し、借主側にも責任問題が残ります。
6.夜逃げによって一番失うもの
夜逃げを考える方は、「お金の問題から逃れたい」と思っているケースが多いです。
しかし、実際には、お金以上に大きなものを失う可能性があります。
それは、信用です。
賃貸契約は、貸す側と借りる側の信頼関係で成り立っています。
一度トラブルになると、次の住まい探し・保証会社利用・金融機関との関係・家族への影響など、
さまざまな場面に影響することがあります。
【家賃が払えない時、本当に取るべき行動】
では、家賃が払えなくなった場合、どうすれば良いのでしょうか?
最も重要なのは、早めに相談することです。
例えば、
・管理会社へ相談する
・大家さんへ事情を説明する
・支払い方法を相談する
・住み替えを検討する
・公的支援制度を確認する
など、夜逃げ以外にも選択肢があります。
問題が小さい段階なら、解決できる可能性は高くなります。
7.管理会社や不動産会社へ相談する意味
「管理会社に怒られるのが怖い」
「相談したら退去させられるのでは?」
と思う方もいます。
しかし、不動産会社の役割は、単純に家賃を取り立てることではありません。
状況によっては、
・支払いスケジュールの相談
・住み替え提案
・初期費用を抑えた物件紹介
・契約内容の確認
など、解決策を一緒に考えることもできます。
早めに相談することで、夜逃げという最悪の選択を避けられる場合があります。
夜逃げより「整理する勇気」が大切
人生では、誰でも予想外の問題に直面することがあります。
仕事、健康、家庭環境、経済状況。家賃が払えなくなることも、その一つです。
大切なのは、「払えない自分は終わりだ」と考えないことです。
問題が起きた時こそ、早めに相談し、現実的な解決方法を探すことが重要です。
逃げることで一時的な安心を得ても、本当の問題は残ります。
その気持ちは分からなくはないですが、夜逃げするよりは、まず相談を。
この日本、まだまだ廃れたもんではありません。
親身に話してくれれば、応えてくれる不動産会社、オーナーは意外と多くいます。
記:宅地建物取引士 原田