
Vol.153 人口減少時代の不動産価値はどうなる?
人口減少時代の不動産価値はどうなる?
人口減少時代における不動産価値の実態や、誤解されやすいポイントについて解説していきます。
1. 人口減少=不動産価値下落ではない理由
人口が減少すれば、理屈の上では「住宅需要が減る」ため、不動産価値が下がると考えられます。
しかし、実際には地域や物件の条件によって大きな差が生まれます。
なぜなら、「全国平均の人口減少」と「個別の不動産価値」はイコールではないからです。
例えば、東京23区や横浜、大阪市内などは人口が増加しているエリアもあります。
地方でも駅近や生活利便性の高いエリアは需要が集中しており、
価格は安定または上昇傾向にあるケースすらあります。
つまり、不動産価値を考えるときには「人口減少」という大きな数字よりも、
「その地域にどんな人が住み続けたいか」が重要になるのです。
2. 不動産価値を左右する3つの要素
人口減少時代においても、不動産価値を決定づけるポイントは大きく変わりません。
主に以下の3つが大きな要素です。
(1) 立地
「不動産は立地が命」と言われる通り、駅距離、商業施設、病院、学校など生活利便性の高さは普遍的な価値を持ちます。
人口減少時代でも、利便性の高いエリアは需要が集中し続けます。
(2) 供給と需要のバランス
住宅供給が過剰なエリアでは価格が下がりやすくなりますが、
規制や土地の希少性によって供給が限られる都市部では、需要が供給を上回るケースが少なくありません。
(3) 社会の変化に対応できるか
テレワークの普及や高齢化など、ライフスタイルの変化に対応できる住宅は価値を保ちやすい傾向にあります。
広いリビングや在宅ワーク用のスペース、バリアフリー設計などがその例です。
3. 家賃は下がるのか?
人口減少により「賃貸需要が減る=家賃が下がる」と考える方も多いですが、これも一概には言えません。
実際には、需要のある地域とそうでない地域で二極化が進んでいます。
例えば、学生や単身者が多い都市圏では、賃貸需要は今後も見込めます。
一方、過疎化が進むエリアでは、空き家の増加とともに家賃が下落する可能性は高いです。
つまり、「どこで物件を所有するか」が家賃収入の安定性を左右します。
4. 不動産購入がデメリットという誤解
「人口が減るから賃貸の方が安心」という考えも耳にしますが、これも一面的な見方に過ぎません。
賃貸は気軽ですが、長期間住み続けると家賃総額はかなりの額になります。
一方で住宅を購入すれば、ローン完済後は住居費を大きく抑えることが可能です。
さらに、住宅ローン減税や相続対策といった税制優遇もあり、購入には賃貸にはないメリットが存在します。
資産価値だけでなく、「居住の安定」や「将来のコスト削減」という観点からも、不動産購入は十分に意義があります。
5. 人口減少時代に選ぶべき不動産
それでは、人口減少時代にどのような物件を選ぶべきなのでしょうか?
(1) 駅近・交通利便性の高い立地
徒歩圏内に駅がある、主要都市へのアクセスが良いなど、交通利便性は最も重視されるポイントです。
(2) コンパクトで管理しやすい住宅
大家族向けの広い住宅よりも、コンパクトで効率的な間取りの住宅が今後は好まれる傾向にあります。
(3) ライフスタイルの変化に対応できる物件
テレワークや高齢化に対応できる柔軟な間取りや設備がある住宅は、価値を保ちやすいです。
(4) 地域の再開発が進むエリア
再開発によって利便性や魅力が高まる地域は、人口減少時代でも価値が上昇する可能性があります。
6. 不動産保有者への影響と対策
すでに不動産を所有している方にとっても、「人口減少=価値下落」という思い込みはリスクです。
むしろ、所有物件の価値を維持・向上させる工夫が重要になります。
■適切なリフォームやメンテナンスで魅力を保つ
■賃貸ニーズに合うリノベーションを行う
■管理や運営を見直すことで入居率を改善
人口減少は全体的な傾向ですが、個別の工夫によって価値を維持することは十分可能です。
7. 不動産会社からのアドバイス
人口減少というマクロな視点だけで「不動産は買わない方がいい」と判断するのはもったいないことです。
大切なのは、エリアや物件ごとの需要を見極めること。
そのためには、専門的な知識と地域の最新情報が欠かせません。
私たち不動産会社は、お客様が不安を感じる要素を丁寧に解消し、
資産として長く安心できる不動産選びをサポートします。
購入も保有も、正しい知識と対策があれば、
「人口減少=不動産価値の下落」という単純な図式には当てはまらないのです。
まとめ
人口減少時代の不動産価値は「全国的に下がる」のではなく、エリアや物件ごとに二極化していきます。
立地、供給と需要のバランス、社会変化への対応力によって価値は大きく変わるのです。
「人口が減るから家賃が下がる」、「購入はデメリット」という単純な発想に惑わされず、
自分が住みたい街や物件がどういう価値を持つのかを冷静に見極めることが大切です。
記:宅地建物取引士 原田