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Vol.147 新築マンションの落とし穴?

不動産のタイミング

新築マンションの落とし穴

~新築戸建とは違う購入後の資産価値~



「せっかく買うなら新築マンション!」


ピカピカのエントランス、最新設備、豪華なパンフレット…。


モデルルームに一歩足を踏み入れると「ここに住みたい!」という気持ちが一気に高まります。



しかし、不動産会社の立場からあえて申し上げると、新築マンションには資産価値の落とし穴があるのです。



新築戸建と違い、新築マンションは大規模に広告を打ち、華やかな販売戦略で購入意欲を高めます。


その一方で、「購入した瞬間に資産価値が下がる」現実が待っています。



今回は、新築マンションと新築戸建の資産価値の違いを整理しながら、


「なぜ新築マンションは避けた方がいい場合が多いのか」


「それでも新築マンションを選ぶなら覚悟してほしいこと」を、お伝えします。




1. 新築マンションの魅力はなぜ輝いて見えるのか?


まずは、多くの人が惹かれる新築マンションの魅力を整理してみましょう。


  • 最新設備→→→宅配ボックス、ディスポーザー、オートロック

  • ホテルのような共用部→→→ラウンジ、ジム、ゲストルーム

  • 派手な広告・モデルルーム→→→演出家具付き、夜景演出

  • 購入前から住人が見えない安心感



戸建では味わえない「集合住宅のブランド感」が強調されるため、つい気持ちが盛り上がります。



しかし、こうした演出はあくまで「販売のための魅せ方」であり、


冷静に考えるとランニングコストや資産価値には直接結びつきません。




2. 新築マンションの落とし穴:購入直後の値下がり


① 「新築」というプレミアムは一瞬で消える

不動産市場では「新築」と「築浅」は明確に区別されます。


同じ建物でも、購入して鍵を受け取った瞬間から「新築」ではなく「中古」扱いになり、

市場価格は一気に数百万円〜1,000万円程度下落することも珍しくありません。



② 大規模広告による価格上乗せ

新築マンションは莫大な広告宣伝費をかけています。
テレビCM、新聞広告、モデルルームの運営…。これらの費用はすべて販売価格に上乗せされています。


つまり、購入者は「広告費込みの価格」で買っているのです。


そのため、中古市場に出た瞬間、そのプレミアム部分が削られ、値下がりが避けられません。




3. 新築戸建との違い


■戸建は「土地」が価値を支える


新築戸建も、建物自体は年数とともに価値が下がります。
しかし土地には価値が残ります。

特に立地が良ければ、建物が古くなっても「建て替え前提」で売却できるため、資産価値は安定しやすいのです。


マンションは「建物」が価値の大半

一方、新築マンションは土地を住人全員で共有しているため「持分」が小さく、資産価値の大部分は建物と共用部分に依存します。
建物は必ず古くなり、修繕積立金や管理費の負担も増えるため、資産価値は下がりやすい構造になっています。




4. 資産価値をさらに下げる要因


① 大規模修繕・管理費の上昇

新築時は管理費も修繕積立金も安めに設定されています。
しかし、10〜15年後に大規模修繕が近づくと値上げが行われ、ランニングコストが増加。

これが「売りにくさ」に直結します。


② 近隣で新築が建つと見劣りする

マンションは「新しさ」が価値の源泉のひとつ。
近隣に最新の新築マンションが建つと、築5年でも「古く感じる」と言われることがあります。

戸建のように土地の個性で差別化できないため、価格競争に巻き込まれやすいのです。


③ 供給過多のリスク

都市部では同じエリアに複数の新築マンションが同時供給されることもあります。

供給過多は価格下落を招きやすく、購入者に不利な状況となります。




5. それでも新築マンションを選ぶなら


ここまでリスクを並べると、


「じゃあ新築マンションは絶対に買わない方がいいの?」と思う方もいるかもしれません。



しかし、それでも新築マンションには「中古では得られない魅力」があります。


  • 〇ピカピカの新居で新生活を始めたい

  • 〇共用施設や管理体制に魅力を感じる

  • 〇住人がまだいない環境でスタートできる


こうした生活価値を重視するなら、新築マンションは十分に選ぶ意味があります。


ただし重要なのは、「資産価値が下がるリスクを理解した上で購入すること」です。


つまり「資産性よりも暮らしや快適さを優先する」という覚悟が必要です。




6. 新築マンションを買う際の注意点


管理組合の健全性を確認

  1. 修繕積立金が不当に安すぎないかチェック。将来の値上げリスクを想定しましょう。


  2. 立地の希少性を重視

  3. 駅近や再開発エリアなど、立地が優れていれば下落リスクを和らげられます。


  4. 中古売却時の価格をシミュレーション

  5. 購入直後に数百万円の下落を覚悟した上で、長期的に住む前提で検討しましょう。




  6. 新築マンションは華やかな広告や演出に心をつかまれやすいですが、


  7. 購入直後に資産価値が大きく下がる落とし穴があります。


一方、新築戸建は「土地」という資産が残るため、長期的には資産価値の安定性が期待できます



つまり、


  • 資産価値を重視するなら新築戸建


  • 暮らしの快適さやブランド感を重視するなら新築マンション


大切なのは、どちらを選ぶにしてもリスクとメリットを理解した上で決断することです。



「新築マンションは避けた方がいい」と言える理由はここにあります。


それでもなお新築マンションを選ぶのであれば、ぜひ冷静に長期的な視点を持ち、後悔のない選択をしてください。



おススメは、市場相場に見合ったリフォーム済みの中古マンションだと思います。


いつしか上がる修繕積立金も、将来を見据えた現実的な金額になっている傾向があります。



新築マンションは、「魅せ方」でもあるので、初期の積立金額は相当安い状況。



上がるタイミングで、数万円upってなっても後戻りできないのです…。



かと言って、新築マンションがNGとは言いません。


それらの状況を分かった上で選択をされるのであれば、意味はあります。



ただ、上記にも記載したように、市況が良い時でないと売却時の価格は下がりやすい事を念頭に、


良きマンションライフを楽しんで下さい。



記:宅地建物取引士 原田


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