
Vol.243 住宅ローン変動金利が上がっている理由
住宅ローン変動金利が上がっている理由
― それでも“今はまだ低金利”と言えるワケ ―
「金利が上がったら家は買えない」は、本当?
「住宅ローンの変動金利が上がってきているらしい」
この一言で、マイホーム購入を一気に不安に感じてしまった方も多いのではないでしょうか。
確かに、長らく続いた「超低金利時代」と比べると、変動金利はじわじわと上昇傾向にあります。
しかし結論からお伝えすると、
「上がっている=もう遅い」ではありません。
むしろ、冷静に見ればまだまだ低金利であり、
「買いたい」と思っている方にとっては、十分に検討価値のある状況です。
本記事では、
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■なぜ住宅ローンの変動金利が上がっているのか
■今後さらに上がる可能性はあるのか
■それでも「今はまだ低金利」と言える理由
■金利上昇局面で後悔しない住宅ローンの考え方
を分かりやすく解説します。
1.住宅ローンの変動金利が上がっている主な理由
① 日本銀行の金融政策が転換期に入った
これまで日本は、世界でも異例と言われるほどの超低金利政策を続けてきました。
その象徴が、「マイナス金利政策」です。
しかし近年、
■物価の上昇(インフレ)
■円安の進行
■海外との金利差拡大
といった背景から、金融政策の正常化が意識され始めています。
住宅ローンの変動金利は、銀行が短期でお金を調達する金利(短期プライムレートなど)と、
密接に連動しています。
つまり、日本全体の金利が少しでも動けば、住宅ローンの変動金利にも影響が出る、という仕組みです。
② 世界的な金利上昇の影響を受けている
アメリカやヨーロッパでは、すでに大幅な利上げが行われました。
日本だけがいつまでも低金利を続けるのは難しく、
世界の流れに引っ張られる形で、日本の金利も調整局面に入っています。
銀行側としても、
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■いつまでも超低金利で貸し続けるリスク
■将来の金利上昇への備え
を考慮し、住宅ローン金利を微調整しているのが現状です。
③ 銀行の収益構造の変化
もう一つ見逃せないのが、銀行側の事情です。
■長期にわたる低金利で利ざやが取れない
■コスト増(人件費・システム費用など)
■貸出競争の激化
こうした背景から、「これ以上、下げられない」どころか、
少しずつ上げざるを得ない状況になっています。
2.それでも「まだ低金利」と言える理由
【昔と比べると、今は異常なほど低い】
少し視点を変えてみましょう。
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1990年代の住宅ローン金利:6~8%
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2000年代前半でも:3%台~4%台
それに対して現在の変動金利は、
0%台~1%前後
仮に「上がった」と感じても、歴史的に見れば圧倒的な低金利水準です。
3.金利が1%違うとどうなる?
例えば、3,000万円を35年ローンで借りた場合。
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金利0.5% → 総返済額 約3,300万円
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金利1.5% → 総返済額 約3,900万円
確かに差はあります。
ですが逆に言えば、
「今が1%前後だからこそ、この差で済んでいる」
という見方もできます。
【家賃は上がっても、ローンは固定できる】
もう一つ重要な視点があります。
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賃貸の家賃:上がることはあっても下がりにくい
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住宅ローン:固定金利を選べば返済額は変わらない
「将来の不安」を考えたとき、住居費をコントロールできるのは大きなメリットです。
4.金利上昇局面でも後悔しない考え方
「変動 or 固定」ではなく「自分に合うか」
よくある質問が、
「これからは固定金利の方がいいですか?」
答えは一つではありません。
■収入に余裕がある
■繰上返済を考えている
■金利変動に耐えられる
こうした方は、変動金利も十分選択肢になります。
大切なのは、金利の予測ではなく、家計との相性です。
5.「金利が下がるまで待つ」はリスクもある
金利が下がるのを待っている間に、
■物件価格が上がる
■希望エリアの物件がなくなる
■家賃を払い続ける
というケースも少なくありません。
結果として、
「金利は少し下がったけど、トータルでは損だった」
ということも十分あり得ます。
6.不動産購入で本当に大切なのは「タイミング」より「準備」
住宅購入は、金利だけで決めるものではありません。
■ライフプラン
■家族構成
■収入と支出のバランス
■物件の価値
これらを総合的に考えた上で、
「今が自分にとっての買い時かどうか」
を判断することが大切です。
7.金利は上がっている。でも、怖がりすぎなくていい
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住宅ローンの変動金利は、確かに上昇傾向
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しかし、歴史的に見ればまだまだ低金利
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「買いたい」と思える状況なら、検討価値は十分
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大切なのは、金利よりも無理のない返済計画
金利のニュースに振り回されすぎず、
正しい情報と冷静な判断で、後悔のない住まい選びをしていきましょう。
不安な点があれば、物件選びだけでなく、
住宅ローンの考え方から一緒に整理できる不動産会社に相談することをおすすめします。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池