
Vol.354 借入可能額=買っていい金額ではない理由
住宅ローンで後悔しないための本当の考え方
住宅購入を検討していると、必ず出てくるのが「
銀行や不動産会社に相談すると、
「お客様の場合、〇〇万円まで借入可能です」といった“目安”が提示されます。
ここで多くの方が勘違いしてしまうのが——
「借りられる=買っていい金額」という考え方です。
しかし、借入可能額と適正購入額はまったく別物です。
この違いを理解せずに住宅を購入すると、その後の生活に大きな影響が出る可能性があります。
今回は、その理由と考え方を分かりやすく解説していきます。
1.借入可能額とは何か?
借入可能額とは、金融機関が「この金額なら貸せる」と判断した上限金額です。
判断基準としては、
■年収
■勤務先
■勤続年数
■借入状況
■年齢
などをもとに算出されます。
ここで重要なのは、 “安全に回収できるか”という視点で決められているという点です。
2.銀行が見ているのは「生活」ではない
銀行は生活の専門家ではありません。
銀行の目的は、融資をし、金利となる利息を得る、貸したお金を回収する、となります。
つまり、「この人が幸せに暮らせるか」ではなく、「返済が滞らないか」を見ているのです。
借入可能額上限で買うと何が起きるのか?
ケース① 毎月の生活が苦しくなる
ex.
月々の返済:12万円→ 家計に余裕なし
■外食を控える
■趣味を我慢する
■急な出費に対応できない、など、
→生活の質が下がる
ケース② 貯蓄ができない
住宅購入後も、
■修繕費
■教育費
■老後資金
などは必要です。
しかし返済に余裕がないと、貯蓄ができない状態に陥る可能性があります。
ケース③ 将来の選択肢が狭まる
■転職したい
■子どもを増やしたい
■車を買い替えたい
こうしたライフイベントに対して、柔軟に対応できなくなることもあります。
3.なぜ「借りられるだけ借りる」が危険なのか?
理由はシンプルです。
人生は“今”だけではないから。
住宅ローンは、20年〜35年という長期契約です。
最近は40年~などもありますが、、、
その間には、
■収入の変化
■家族構成の変化
■社会情勢の変化
が必ず起こります。
それにも関わらず、「今の条件だけ」で上限まで借りるのはリスクが高いと言えます。
【適正な購入額の考え方】
では、どう考えればいいのでしょうか?
基本の考え方→「無理なく返せる額」から逆算する
目安となる指標→一般的には、返済負担率(年収に対する返済額の割合)を使います。
ex.
年収600万円→ 年間返済額:120万円(20%)
このくらいが“余裕を持ったライン”とされます。
※銀行は30%〜35%でもOKとする場合がありますが、生活目線ではかなり負担が大きい水準です。
ただし、年収によってきます。年収が大いにあれば、この位の返済比率でも普段圧迫されるリスクは減ります。
【見落とされがちな支出】
住宅購入後に増える支出として、
■固定資産税
■修繕費
■管理費(マンション)
■火災保険
■教育費
■車の維持費
■老後資金
なども考慮する必要があります。
ローン返済以外のコストも含めて判断することが重要です。
【金利上昇リスクも考える】
特に変動金利を選ぶ場合、将来の金利上昇も考慮する必要があります。
ex.
金利0.5% → 月10万円
金利1.5% → 月12万円以上
→数万円単位で変わる可能性があります。
余裕のない借入だと、この変化が大きな負担になるのです。
4.不動産会社としての実感
現場で感じるのは、「借りすぎて後悔する人」は一定数いるということです。
■もっと余裕を持てばよかった
■生活が思ったより苦しい
■貯金ができない
一方で、少し抑えて購入した方は満足度が高い傾向があります。
借入可能額=購入予算ではなく、「生活を守れる範囲」=購入予算です。
5.住宅は「買うこと」より「維持すること」が大事
住宅購入はゴールではなくスタートです。
本当に重要なのは、その後も無理なく暮らし続けられるかです。
住宅ローンは、人生設計そのものに影響する大きな決断です。
だからこそ、借りられる額ではなく「安心して返せる額」を基準に考えることが大切です。
当社では、
■無理のない資金計画
■将来を見据えた購入予算
金利やリスクの考え方
までトータルでサポートしています。
「この金額で大丈夫?」
そんな疑問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
“買える家”ではなく、“安心して住み続けられる家”を一緒に考えていきましょう。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池