Vol.70 「旗竿地」は割安ではない!? 実は人気の裏側事情
「旗竿地」は割安ではない!? 実は人気の裏側事情
「旗竿地(はたざおち)」―
この言葉を初めて聞いた方、頭の中に“旗を立てる棒の土地”を想像した方、正解です(たぶん)。
旗竿地とは、道路から細長く伸びた通路部分の先に、旗のように広がった敷地がある土地形状のこと。
見た目がまるで“旗を立てる竿”に“旗”がついているように見えるため、こう呼ばれています。
さてこの旗竿地、一般的には「変形地」とされるため、“安い土地”というイメージを持たれることが多いのですが…
…実は、思ったほど安くない。
いやむしろ、「人気あるじゃん!」と驚くような現象もチラホラ。
今回はこの旗竿地について、「なぜそんなに人気?」「ほんとに割安?」「デメリットじゃないの?」
など、解説していきます。
旗竿地って何? 簡単におさらい
まず、旗竿地の形状を図解……したいところですが、文字だけでお送りします。
想像してください。
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細い通路が1本(これが「竿」)
道路から直接建物を建てる土地部分までは「通路状」の土地(通常は幅2~4m程度)が続いており、
その先に実際に建てる土地がある。
つまり、“袋小路”っぽい構造です。
「旗竿地=安い」は本当なのか?
ここが多くの方の“誤解ポイント”
確かに、旗竿地は「整形地」と呼ばれるキレイな四角形の土地と比べると、坪単価が安めに設定されることが多いです。
理由は主に以下の3つ。
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・接道面が狭く、車の出入りがしにくい
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・通風や採光が確保しにくい
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・建築プランに制限が出やすい(自由度が低め)
ただし、これはあくまで「比較対象が整形地だったら」という話。
実際には、人気エリアや駅近立地では、「旗竿地であっても全然アリ!」という需要が増えています。
特に都心部では、整形地なんて贅沢なこと言ってられない! という状況で、
旗竿地が“ちょうどいい価格感”として見直されているんですね。
実はメリットも!? 旗竿地の魅力
さてここからは、“旗竿地、意外とイケてるじゃん”と思ってもらうための材料を紹介していきましょう。
1. 通りから離れて静か
旗竿地は“道路から奥に引っ込んでいる”ため、車や人通りの音が届きにくい構造になっています。
これ、特に小さなお子さんがいるご家庭や、テレワークで静かな環境を求めている人にはかなりのメリット。
「通りから離れている=人目を気にせず暮らせる」という点も、実は意外と評価されるポイントだったりします。
2. セキュリティ的にも優秀
通路部分が“私道”であることが多く、他人の出入りが少ないのが旗竿地の特徴。
つまり、不審者が入り込みづらい。
これ、じつは防犯的にもかなりポイント高いんです。
「あそこ、奥に家があるって知らない人多いよね」
「出入り口1つだから、見張りやすいよね」
と、近隣住民の間で密かに“安全な家”として評価されているケースも。
3. 条件付きの整形地より自由!?
一見、建築条件が厳しそうな旗竿地ですが、最近では工務店や設計士の腕も進化しています。
旗竿地専用プランなんていうのも登場しており、アイデア次第で想像以上に快適な家が建てられるのです。
通路部分をガレージにしたり
光の入り方を工夫したり
「縦長だけど快適!」なんて設計も可能です。
実際に住んでみたらどう?
では、実際に旗竿地に住んでいる方々のリアルな声を紹介しましょう。
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「うちは旗竿地だけど、通りから離れてて本当に静か。たまに場所がわかりづらいって宅配便の人に言われるけど(笑)」
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「予算内で駅近に住めたのは、旗竿地だったから。普通の形なら絶対買えなかった」
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「プライバシーが確保されてて、意外と快適。旗竿地ってもっと注目されてもいいと思う」
といった声がある一方で、
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「建築時、資材の搬入が大変だったらしい」
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「隣家との距離が狭くて、光の入り方には工夫が必要」
といった、デメリットを実感する声もあります。
気をつけるべきポイント
とはいえ、やはり旗竿地は“クセがある”のも事実。購入を検討するなら、以下の点は必ずチェックを。
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通路部分の幅と長さ
→ 車の出入りやゴミ出し、緊急車両の進入可否に影響します。 -
通路部分が私道か共有地か
→ メンテナンス費用や管理負担が発生する場合があります。 -
日照と風通しの確認
→ 建物の配置や窓の位置で大きく変わります。 -
周辺住民との関係性
→ 私道の使用についてルールがある場合も。ご近所付き合いの重要性も見逃せません。
まとめ:旗竿地は“割安”じゃない。でも“割高でもない”
結論から言うと、
旗竿地は、条件を理解して使いこなせば“最高の掘り出し物”。
「変形地=ダメ」という先入観は、もはや過去のもの。
特に都心や人気エリアでは、むしろ“地元民が狙ってる”なんてケースも珍しくありません。
家選びの際は、“形”にとらわれず、“暮らしやすさ”や“設計の自由度”を考慮することが大切です。
ぜひ、旗竿地という選択肢を、候補のひとつとして再評価してみてください。
細い道の先に、思わぬ宝があるかもしれませんよ。
記:ライフプランナー 武井