
Vol.432 介護が必要な親との同居。購入前に絶対知るべきこと
誰しもが関係する重要な話
親が高齢になり、介護が必要な状況になった時、「親と同居する家を購入する」という決断に直面する人は多いです。
しかし、親との同居購入は、単なる「家探し」ではなく、介護環境、財産分与、兄弟姉妹との関係など、多くの複雑な問題を含んでいます。
<親との同居購入で最も見落とされがちな問題>
問題1:介護環境の設計不足
多くの人は「親と同居できる広さの家」を探します。しかし、「介護に適した家」を探す人は少ないのです。
介護が必要な親との同居では、以下のポイントが重要です。
- バリアフリー設計:段差を極力なくす、階段を少なくする
- トイレ・浴室の設計:親が使いやすい高さ、手すりの配置
- 医療施設への近さ:病院が近い立地であることが重要
- 介護職員の訪問動線:ヘルパーが訪問しやすい立地・間取り
これらを購入前に確認していない場合、購入後に「こんなはずじゃなかった」という後悔が生じます。
問題2:親の資産と相続の複雑性
親と同居して購入した場合、その不動産をどう扱うかが問題になります。
- 親の名義で購入:親が亡くなった場合、兄弟姉妹との相続トラブル
- 子どもの名義で購入:子どもが購入資金を負担していない場合、親からの「援助」となり、贈与税が発生する可能性
- 共有名義で購入:売却時に複雑な手続きが必要
問題3:兄弟姉妹との関係悪化
親と同居する場合、必ずと言っていいほど、兄弟姉妹との間で以下のようなトラブルが発生します。
- 「親の介護をお前だけがしているから、親の資産はお前が相続するべき」
- 「親の介護費用を俺たちで折半しろ」
- 「親の同居家を売却する時に、兄弟の同意が得られない」
これらのトラブルを回避するには、事前の話し合いと文書化が重要です。
<親との同居購入の「正解」は存在しないが、「失敗しないコツ」はある>
親との同居購入には、唯一の「正解」はありません。しかし、失敗しないコツがあります。
コツ1:介護需要を把握する
購入前に、親の健康状態、介護予想期間、必要な介護サービスなどを、医師や介護支援専門員(ケアマネジャー)と相談します。
コツ2:兄弟姉妹で事前に「親の資産分け」について話し合う
親が健在なうちに、「親が亡くなった場合、資産をどう分けるか?」について兄弟姉妹全員で話し合い、できれば文書で残しておくことが重要です。
コツ3:親の資金援助の扱いを明確にする
親から資金援助を受ける場合、それを「贈与」として処理するか、「ローン」として処理するかを明確にします。税理士に相談し、適切な処理を行うことが重要です。
コツ4:介護保険の活用
公的な介護保険サービス(訪問介護、デイサービスなど)を活用することで、同居者(子ども)の介護負担を軽減できます。
購入前に、「どのようなサービスが利用可能か?」を介護保険事務所に相談します。
<実例:親との同居購入で成功した事例>
Iさん(45歳)は、75歳の親と同居することを決めました。しかし、購入前に以下のステップを踏みました。
- 親の健康状態を医師に確認:現在の健康状態、将来的な介護必要性を相談
- 介護支援専門員と相談:親が必要な介護サービスを把握
- 兄弟と事前相談:「親が亡くなった後、資産をどう分けるか」について、事前に話し合い、文書で残す
- バリアフリー設計の物件を購入:段差を最小限に、手すりが配置された物件を選択
- 医療施設が近い立地を選択:病院まで車で5分以内
これらのステップにより、Iさんは親との同居生活をスムーズに進めることができています。
<親との同居購入を検討する際の「事前チェックリスト」>
- 親の介護予想期間は「1年」「5年」「10年以上」のどれか?
- 兄弟姉妹が、親の同居購入に同意しているか?
- 親が亡くなった後、不動産をどうするか(売却か保持か)について、兄弟姉妹と話し合ったか?
- 介護保険サービスを利用する予定はあるか?
- 親からの資金援助を受ける場合、その金額と処理方法を決定したか?
- 購入物件が「介護に適した設計」になっているか?
これらに「全て該当する」場合のみ、購入を進めることをお勧めします。
【結論:親との同居購入は「個別対応が必須」】
親との同居購入は、単なる物件探しではなく、介護、資産、相続、兄弟関係など、多くの人生設計要素が絡み合った、極めて個別的な判断が必要です。
不動産会社との相談だけでなく、介護支援専門員、税理士、弁護士など、複数の専門家に相談した上で、慎重に判断することをお勧めします。
ですが、それらの方々からも相談を受けますが、いわゆる適した家というものが少ないのも現状です。
結果として、今の家が持ち家なら、改築して介護しやすい間取りにするなどされる方が多いのも現実。
難しい問題に立ちふさがる前から、その時に向けての対応を行っておくのも、仕事と同じくらい大事なことなのかもしれません。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池
横浜市の不動産会社 津田商会