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Vol.60 中古マンションの“管理組合議事録”でわかる本当の姿

不動産のアレコレ

中古マンションの“管理組合議事録”でわかる本当の姿




「中古マンションを買おうと思ってるけど、なんか不安…」 


「見た目はキレイだけど、裏側ってどうなんだろう…?」


そんなあなたにこそ読んでほしい、超・有益でちょっとマニアックなテーマをご紹介します。



それが、ズバリ「管理組合議事録」!



え、地味すぎる?



いえいえ、この議事録こそが“中古マンションの履歴書”であり、“健康診断書”でもあるのです!



この記事では、管理組合議事録とは何なのか、どんなことが書いてあるのか、そしてどんな視点で読めば安心できるのかを解説します。



と、その前に、マンションで重要な管理組合議事録の他、管理会社が要点をまとめた「重要事項調査報告書」と言う書類もあります。


ここでは、あくまでも「管理組合議事録」に焦点を当ててみたいと思います。




管理組合議事録とは?


まず、「管理組合」とは何ぞや?という方へ。


 マンションは、一戸建てと違って「共有部分」があります。


・エントランス

・エレベーター

・廊下

・ゴミ置場

など。


それらを管理・運営していくために、各住戸のオーナーたちが集まってつくるのが「管理組合」


そして、この管理組合が定期的に開催する「総会」や「理事会」の会議内容をまとめた書類が、「議事録」なんです。


言ってしまえば、マンションの“生活の記録”!


その中には、実はあなたの今後の生活に直結する、超重要な情報が詰まっているんです。




じゃあ、議事録には何が書いてあるの?


議事録を読むと、例えばこんなことがわかります。



① 修繕履歴と今後の予定


・エレベーターの交換は◯年に完了 

・外壁改修は来年度を予定

・大規模修繕の積立金は十分かどうか


…など。


つまり、


「このマンション、ちゃんとメンテナンスされてきたの?」

「これからお金かかるような修繕ある?」 


といった不安が、議事録で一発で見えてきます。



② トラブル事例と対策


・騒音クレームが頻発している 

・ペットの飼育ルールで揉めた 

・バイクの違法駐車が問題に


…など、実際にあった問題と、その対応経過が記録されています。


「うわ、トラブルだらけじゃん」とネガティブに思う必要はありません。


大事なのは、「トラブルが起きていた」よりも、「どう対応されていたか」


迅速で誠実な対応が記録されていれば、「あ、管理体制しっかりしてるな」とむしろ安心材料になります。



③ お金のこと、ちゃんとしてる?


・管理費の滞納率は?

・予算案、決算報告の内容 

・特別徴収(臨時徴収)はある?


“安い管理費=良い”ではありません。


むしろ、「あれ?この修繕内容でこの積立金って足りるの?」ということも。


財政状況が透明に記録されているかどうかは、マンションの信頼度を測る指標になります!




議事録から見える“人間模様”も面白い


議事録には、住民たちのリアルな姿もチラッと垣間見えます。


  • 「またAさんが反対していた」

  • 「○○号室の方から再三要望があった」

  • 「役員のなり手不足が深刻」


など、時に人間ドラマも展開。


これを“怖い”ととらえるか、“人間味があって良い”ととらえるかで、物件選びの視点も変わってきます。




読むときのチェックポイント


議事録は何年分かまとめてもらえることが多いです。 


その際にチェックすべきポイントはこちら


  1. 【修繕計画】予定通りに実施されているか?

  2. 【積立金】現状と将来の計画に無理はないか?

  3. 【トラブル対応】揉め事があっても、収拾できているか?

  4. 【役員体制】毎年交代できている?なり手不足は深刻?

  5. 【議事録の質】記載がしっかりしているか?議論の透明性があるか?




議事録が“あった方が安心”な理由


管理組合議事録って、「こんな細かい話、知らなくてもよくない?」と思われがちですが…


逆です!


この議事録こそが、そのマンションの「育ちの良さ」「住人の民度」「管理の質」を教えてくれるのです。



さらに、事前に議事録を読んでおけば、


  • ・住んでからのギャップが少ない

  • ・想定外の支出リスクが抑えられる

  • ・将来的な資産価値も判断しやすい


と、いいこと尽くし!




もし議事録がもらえない場合は…?


「売主が議事録を出してくれない」 

「不動産会社が“そこまで気にしなくていい”という」


…うーん、ちょっと注意が必要かも。



議事録の開示は、購入検討者にとって“当たり前の権利”です。 


それを渋る理由が「めんどくさい」ならまだしも、「見せたらマズい内容がある」のかもしれません。


この時点で「うーん…やめとこうかな」となるのも、ある意味正しい判断!



一般的に考えれば、管理会社に対してお金を出せば、取得できるものです。


もちろん、管理会社が議事録を管理・提供してるところであれば…ですが…。




まとめ:議事録は“物件の中の人”との会話ツール


議事録は、単なる記録ではありません。 


そのマンションが「どんなふうに手入れされ、どんな人たちが住み、どう運営されてきたか」が、手に取るようにわかる“生の資料”です。


それはまるで、住人代表との事前インタビューのようなもの。



そして、議事録を読むことで、


「このマンション、思ったよりしっかりしてるな」

「住人たち、ちゃんと考えてるな」


と、安心して前に進むことができます。



不動産選びは、物件だけじゃなく“中身”も大事


次に中古マンションを見に行く時は、ぜひ「議事録も見せてもらえますか?」と聞いてみてください。


タイミングによっては内覧時には難しいかもしれませんが、後日、見せてもらえるはずです。



現実的な内情として、見る物件すべての議事録請求は、不動産会社には止めてあげて下さい…


あくまでも、検討出来る物件が見つかってからがスマート。



検討外の物件の議事録を見て、イイな!となるケースは、実務上、ほぼ、ありません…。



その理由としては、この議事録の請求も骨折れる作業。


もちろん、売主さんや仲介さんが用意していれば問題ありませんが、そうでない物件も多い。



ですが、聞くだけは無料。


そのあたりは、ご理解いただきながら、最終的な契約書類にサインする前までには把握されることをおススメします。



明日は、もう一つの【重要事項調査報告書】をピックアップしてみたいと思います。



記:宅地建物取引士 原田

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