
Vol.92 住人の死亡第一発見から、その後のリアルな話
住人の死亡第一発見から、火葬・売却までのその後のリアルな話
~「室内での死亡」は他人事じゃない時代に~
「この家、以前に住んでいた方が室内で…」
そう説明された瞬間、凍りついた経験のある人もいるかもしれません。
でも実は、これは今やまったく珍しいことではありません。
高齢化・単身世帯の増加・在宅療養の推進などにより、自宅で最期を迎える人は年々増加中。
令和の今、家で亡くなることはありふれた日常になりつつあるのです。
では、そんなとき、実際にはどんな手続きや対応があるのでしょうか?
そしてその家は売れるの?
今回は、ちょっと重たく聞こえるテーマを、できるだけ分かりやすく解説します。
第一発見と通報、そこから始まるリアル
室内で人が亡くなった場合、最初の重要なポイントは「第一発見者の通報」です。
一般的な流れ
①親族や訪問者が異変に気づき、119番(救急)または110番(警察)へ通報。
②警察・救急隊が現場確認。
③明らかな病死・自然死であれば検死医により死因が確認されます。
→不明な点がある場合、検視・司法解剖へ。
ここまでは1日で完了することがほとんど。
病死や老衰とわかれば「事件性なし」で警察の関与も終了します。
一方、自殺・事故死・他殺の可能性がある場合は、より慎重な検証が入り、数日を要することも。
※亡くなった場所が自宅の“どこか”というだけで、今後の扱いが大きく変わる場合もあります。
遺体の搬送と火葬・葬儀の流れ
①死因が特定された後、親族に遺体が引き渡されます。
②搬送業者によって葬儀会館・自宅・安置施設などへ運ばれる。
③死亡届の提出(通常は親族+葬儀社が代行)。
④火葬・埋葬許可の取得。
⑤葬儀や火葬が行われる。
ここまでは比較的スムーズ。
ただし、孤独死や家族が遠方に住んでいる場合は、対応に時間がかかることも。
特殊清掃の必要性とリアルな現場
ご遺体発見から時間が経過している場合、特殊清掃が必要になるケースがあります。
特殊清掃とは、
・ご遺体から出た体液や血液の除去
・臭いの除去(オゾン脱臭など)
・害虫駆除、床・壁の解体と再施工
・感染症対策としての消毒処置
広さや近隣バレ対策等にもよりますが、
軽度なケースで数十万円、重度で100万円を超えることもあります。
また、リフォーム費用や遺産整理費用(業者に依頼した場合)も加わるため、
物件の管理者(多くは相続人)にとっては思わぬ出費です。
とはいえ、これらを適切に行うことで「次に誰かが住める状態」に戻すことが可能です。
不動産の扱いと売却準備
もし、そうした家が不要となるのであれば、不動産としての手続きに進みます。
ここで必要なのは、
名義変更(相続登記)
遺産分割協議→登記申請→新所有者名義に
売却時の告知義務の判断
病死・老衰:原則告知不要
自殺・事件・長期放置:告知義務あり(心理的瑕疵)
売却の可否と価格の判断
特殊清掃済&リフォーム済みの場合、心理的瑕疵があっても売却可能
相場より1〜3割程度安くなることが多いが、割安感で人気になるケースも
最近では「訳アリOK物件」として積極的に探す層も。
買う側のチェックポイントとしては、以下の点をしっかり確認しておきましょう。
死因の確認
→老衰や持病によるものなら心理的な影響は少なめ
室内の状態確認
→臭い残りや修復歴、施工内容をチェック
売主の説明や開示の有無
→信頼できる対応をしているか?
周囲の風評チェック
→近所に聞いてみると見えてくることも
重要なのは「納得できる情報があるかどうか」です。
不動産会社ができること・やってくれること
優良な不動産会社であれば、
・状況の正確な説明(告知義務の有無を含む)
・リフォーム歴・特殊清掃内容の提示
・近隣相場との比較提案
・過去の売買事例の共有
などをきちんとサポートしてくれます。
物件の経歴は避けるべき“秘密”ではなく、理解しやすくするための“情報”です。
家にも人生にも歴史がある
人が住む以上、家には歴史があります。
そこに「人が亡くなった」という事実があっても、それはただの通過点。
しっかりと対応・整理・修復がなされていれば、また新しい暮らしを始めるための場となるのです。
室内で人が亡くなることは、今後ますます増える。
・正しい手続きと清掃・対応がされていれば再利用は十分可能
・状況に応じた説明と売買が行われることで、買主にも安心を提供
「知らないから怖い」は、情報があれば解消できます。
これから家を買うあなたにとっても、売ることになったあなたにとっても、
この情報が“前向きな一歩”に繋がれば、私も嬉しく思います。
家には、人の思いと次の誰かの未来が詰まっていますからね。
※本記事は一般的なケースに基づいています。実際の取引・手続きは専門家にご相談ください。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池