
Vol.133 不動産の物件囲い込みの現実
不動産の物件囲い込みの現実
~売りたいのに売れない事実~
「せっかく家を売りに出したのに、なかなか買い手がつかない…」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
しかも、理由は単純な「人気がないから」だけではないことがあります。
実は不動産業界には、売れそうな物件が意図せず売れにくくなる仕組みが存在するのです。
それが「物件囲い込み」という現象です。
この記事では、物件囲い込みの現実、売れない理由、そして売却を成功させるための考え方を解説していきます。
1. 物件囲い込みって何?
まず、物件囲い込みの基本を押さえましょう。
簡単に言うと、不動産会社が自社で扱っている物件情報をあえて他社に流さず、自社の顧客だけに紹介することです。
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不動産会社は売主と媒介契約を結ぶことで物件を扱います。
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物件情報は通常「レインズ」という全国ネットワークに登録され、他の仲介会社も紹介できる仕組みになっています。
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しかし、売主が依頼した不動産会社があえてレインズに情報を出さず、自社の顧客だけに売る場合があります。
これが囲い込みです。
囲い込みの目的
自社の仲介手数料を確実に得る
他社に紹介された場合、手数料は半分しか入らないことがあります。
囲い込みをすると、自社で両手仲介(売主・買主両方の手数料)を狙えるのです。
顧客囲い込み
「いい物件を持っているのはうちだけ」とアピールすることで、自社顧客の囲い込みにもなります。
一見すると会社側の都合でしかありませんが、売主にとっては売却チャンスを逃すリスクになります。
2. 売りたいのに売れない…現実の例
では、実際にどのような状況で囲い込みが起きるのでしょうか。
ケース1:レインズ未登録
Aさんは家を売りに出しました。
仲介会社Bに依頼しても、B社はレインズに登録せず、自社顧客だけに紹介します。
結果、広く市場に出ず、購入希望者は限られます。
→ 売却が半年以上進まない。
ケース2:両手仲介狙い
Cさんのマンションを仲介会社Dが扱っています。
D社は、自社顧客にだけ案内して手数料を最大化する方針。
外部の購入希望者が興味を持っても、紹介してもらえない。
→ 「いい物件なのに、買い手が見つからない」となる。
ケース3:条件の微調整で売れにくく
価格を少し高めに設定したり、広告を控えめに出すことで「売れにくい状況を作る」こともあります。
これも囲い込みの一種です。
→ 売主は焦るが、実際には市場に出ていないだけ。
こうして、売主は「売りたいのに売れない」という不本意な状況に置かれてしまいます。
3. なぜ囲い込みは起きるのか?業界の事情
不動産会社が囲い込みをする理由は、会社の利益構造と関係があります。
【仲介手数料の仕組み】
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■売買価格の3%+6万円(税抜)が基本の仲介手数料
■物件を自社で売主・買主両方を担当すると、手数料は2倍
■外部に紹介すると、半分しか得られない
つまり、囲い込みで両手仲介を狙うと、会社の利益が大きくなるのです。
【顧客管理の問題】
■自社の顧客を優先的に案内する
■顧客満足度や信頼を演出できる
このため、売主の利益よりも会社都合で囲い込みが発生することがあります。
4. 売主が気づきにくい理由
売主が囲い込みに気づきにくいのは、情報が透明でないからです。
■仲介会社からは「多くの問い合わせがあります」と説明される
■実際には自社顧客だけで案内され、問い合わせ件数は限定的
■他の会社の情報や買主の声は入らない
このため、売主は「売れないのは物件の問題」と誤解してしまうことがあるのです。
5. 囲い込みを避けるためのポイント
囲い込みを避けるには、売主が情報の流れと契約内容を理解することが重要です。
① 媒介契約の種類を確認
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専任媒介契約:1社だけに依頼、レインズ登録義務あり
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専属専任媒介契約:1社だけに依頼、レインズ登録義務+自己発見取引不可
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一般媒介契約:複数社に依頼可、自由度が高い
囲い込みリスクは専任・専属専任でやや高めです。
契約時に「レインズ登録の有無」を確認しましょう。
② 契約書で囲い込みの条件をチェック
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「物件情報はどこに公開されるか」
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「外部会社への紹介の可否」
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「報告義務の有無」
これを把握するだけで、売れにくくなる状況を避けられます。
③ 複数の会社に相談
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市場感を確認するために複数社に査定を依頼
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「囲い込みの可能性」を質問
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信頼できる会社を選ぶ
④ 売却活動の進捗を定期的に確認
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問い合わせ件数
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内覧件数
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他社への紹介状況
売主自ら情報を追いかけることで、囲い込みリスクを下げられます。
6. 売却を成功させるための心構え
囲い込みの現実を知ったうえで、売却成功に向けての心構えも必要です。
情報は自分でも積極的に確認
不動産会社任せではなく、進捗状況をチェックすることが大切です。
価格設定は現実的に
囲い込みだけでなく、価格が市場より高いと売れません。市場調査は必須です。
契約期間は柔軟に
専任媒介契約の期限を決め、期間終了後は他社に切り替える選択肢も検討しましょう。
信頼できる会社とパートナーシップを
囲い込みリスクを避けるには、実績と透明性のある会社を選ぶことが一番です。
不動産の売却において、「売りたいのに売れない」という現象の裏には、物件囲い込みという現実が存在します。
囲い込みは、売主の利益よりも仲介会社の利益を優先することで起きることがあり、
知らないうちに市場に出ない状態になってしまうのです。
■不動産会社が物件情報を自社顧客だけに流すこと
■売れない原因は物件だけでなく、情報の流れにもある
■媒介契約の種類や契約内容を確認することでリスクを下げられる
■複数社に相談し、情報を自分でも追いかけることが重要
物件売却は人生の大きな決断です。
売却を成功させるためには、情報の透明性と信頼できるパートナー選びが不可欠。
囲い込みの現実を知り、賢く行動すれば、売りたい物件も着実に買主の元へ届きます。
どんな会社が囲い込みをするのかは、この業界が長ければ長いほど、見えてきます。
不安な方は、一度、お尋ねください。
逆を言えば、時代的に経費は増える一方、成約時の売上上限は、未だ昔のまま。
・あの手この手を使わないと経営が成り立たない
・社員に給与を支払えない
と言った問題が出てきています。
「高額だから手数料を割り引け!」
その気持ちは分かりますが、各広告媒体の掲載費やガソリン代の支出コスト、法人税が下がれば、
結果、囲い込み業者も減る気はしています。
記:ライフプランナー 武井