Vol.189 戸建とマンションでの駐車場問題を考えるの画像

Vol.189 戸建とマンションでの駐車場問題を考える

不動産のアレコレ

戸建とマンションでの駐車場問題を考える

~年々サイズが大きくなる自動車~



近年、自動車のサイズが少しずつ大きくなっていることをご存じでしょうか。


「昔乗っていた車が入っていたのに、
今の車はギリギリ」、「マンションの駐車場に止めにくい」といった声をよく聞きます。



実際、自動車の進化に伴いボディサイズが拡大している一方、


住宅の駐車スペースやマンションの立体駐車場のサイズは、20年前からほとんど変わっていません。



本記事では、


「なぜ車が大きくなっているのか」


戸建やマンションでどんな駐車問題が起きているのか」


不動産購入時にどう考えるべきか」


について解説します。




なぜ車はどんどん大きくなっているのか?


まずは、近年の自動車サイズ拡大の背景から見ていきましょう。


軽自動車から
SUVまで、どのジャンルでも“ボディ拡大”の傾向が見られます。



1. 安全面の強化によるボディ拡大

衝突安全性や歩行者保護の基準が年々厳しくなり、車体の構造が強化された結果、全幅や全長が少しずつ大きくなりました。
特に、衝撃吸収構造の採用や、車体剛性を高める補強材の増加が影響しています。


2. 快適性・室内空間の拡大

ユーザーのニーズとして「広い室内」、「荷物が多く積める」、「ゆとりある後部座席」が重視されるようになりました。
その結果、軽自動車でも全高が上がり、ミニバンや
SUVでは全幅が1.8mを超える車が主流になっています。


3. SUV・ミニバン人気の影響

ファミリー層を中心にSUVやミニバンの需要が高まりました。
しかし、こうした車種はもともとサイズが大きく、駐車スペースとの“ミスマッチ”が起きやすくなっています。




戸建住宅における駐車場問題


一見、戸建て住宅なら駐車スペースに困らないように思えますが、実際には“ギリギリ駐車”になっているケースも多いのが現実です。



1. 駐車スペースの多くは「普通車想定」

一般的な戸建住宅では、駐車スペースの幅は2.5m前後、奥行きは5m前後で設計されています。
しかし、最近のSUVやミニバンは全幅1.8m以上、全長4.8m以上が当たり前。
ドアを開けるときに隣の壁や塀に当たるなど、停められるけれど使いづらい」駐車場も増えています。


2. “1台分”では足りない家庭が増加

共働き家庭の増加により、車を2台所有するケースが増えました。
しかし、駐車スペースを2台分確保している戸建ては意外と少なく
「前後に縦列駐車して出し入れが大変」、「庭を潰して後からカーポートを増設」などの事例も多く見られます。


3. 電気自動車(EV)対応の課題

今後の主流になるといわれるEV(電気自動車)には充電設備が必要です。
車両サイズだけでなく、充電ケーブルの配置やコンセント位置も考慮しないと、「駐車できても充電がしづらい」問題が発生します。




マンションにおける駐車場問題


マンションの場合、戸建てよりもさらに深刻なケースが増えています。



1. 機械式駐車場のサイズ制限

1990年代から2000年代前半に建てられたマンションの多くは、
「全幅1,850mm以下」・「全長5,000mm以下」・「全高1,550mm以下」などの制限がある機械式駐車場を採用しています。

しかし、今の主流車種の多くはその制限を超えています。

たとえば、人気SUV「トヨタ・ハリアー」は全幅1,855mm。つまり、物理的に駐車できないのです。


2. 平面駐車場の競争率が高い

機械式に入らない車を所有している人は、数少ない“平置き駐車場”を希望します。
その結果、抽選や順番待ちになり、近隣の月極駐車場を借りるケースも。
月々のコストが上がるうえ、利便性も悪化します。


3. EV充電設備の整備が遅れている

EVやPHV(プラグインハイブリッド)の普及に対して、マンションの充電設備はまだ追いついていません
将来的に駐車場の再整備が必要になるケースも多く、管理組合の合意形成や費用負担が課題となります。




不動産購入時にチェックすべき「駐車場の落とし穴」


「車がある生活」を前提に家探しをするなら、以下の点をしっかり確認しておきましょう。



1. 車のサイズを測っておく

購入予定または所有している車の「全長・全幅・全高」を必ずチェックし、物件の駐車場サイズと比較することが大切です。
「ギリギリ入る」ではなく、「ドアの開閉余裕」・「前後スペース」まで考慮しましょう。


2. 将来の車の買い替えも想定

今はコンパクトカーでも、家族構成や生活スタイルが変われば、SUVやミニバンへの買い替えを考えるかもしれません。
将来の車の選択肢を制限しないためにも、駐車スペースに“ゆとり”がある物件を選ぶことが重要です。


3.EV・PHV対応の可否

今後10年でEV化は更に進むかもしれません。
駐車スペース近くに電源を確保できるか、配線ルートに障害がないか、これらも長期的な視点で確認しておくポイントです。




戸建・マンション、それぞれの対策


〇戸建の場合

駐車スペースに余裕をもって設計(可能なら奥行き5.5m・幅2.8m以上)

将来2台目を停められる敷地計画にしておく

EV充電設備や屋根付きカーポートの導入を検討


マンションの場合

機械式駐車場の「サイズ制限」を購入前に必ず確認

将来の再整備計画や管理組合の方針もチェック

平置き駐車場や外部駐車場の確保を早めに検討


少し先の将来のことなんて想像しにくいもの。


だからこそ、失敗しない・リカバリーできる環境に身を置くことは、後々の後悔を避けられます




家選びは「車との関係」もセットで考える時代


かつては「家を買う」ことが中心で、駐車場は“おまけ”のように考えられていました。


しかし今では、自動車のサイズやEV化の進展により、「駐車スペース」も家選びの重要な判断軸となっています。



家は何十年も使う資産です。


そして車も生活を支える重要な道具。


この2つが“噛み合わない”と、日々のストレスや維持費増大につながります。



家を建てる人も、マンションを買う人も、「車の今と未来」を意識して選ぶ。


それが、これからの賢い不動産購入・所有の新常識です。




【まとめポイント】 

■自動車は安全性・快適性の向上で年々大型化している

戸建もマンションも、駐車場サイズとの不一致が増加中

不動産購入時は、現車のサイズと将来のライフスタイルを見据えて選ぶ

EV充電や再整備のしやすさも今後の大切なポイント



大変な時代ですね。。。



記:ライフプランナー 武井


”不動産のアレコレ”おすすめ記事

  • Vol.217  マンションの管理組合とは?役割と重要性の画像

    Vol.217 マンションの管理組合とは?役割と重要性

    不動産のアレコレ

  • Vol.216  マンションの管理費・修繕積立金は安い方がいい?の画像

    Vol.216 マンションの管理費・修繕積立金は安い方がいい?

    不動産のアレコレ

  • Vol.215  市街化調整区域は買っても大丈夫?の画像

    Vol.215 市街化調整区域は買っても大丈夫?

    不動産のアレコレ

  • Vol.212  シロアリ点検は必要?タイミングと費用の画像

    Vol.212 シロアリ点検は必要?タイミングと費用

    不動産のアレコレ

  • Vol.211  古い家を“おしゃれに見せる”簡単リフォームの画像

    Vol.211 古い家を“おしゃれに見せる”簡単リフォーム

    不動産のアレコレ

  • Vol.203  ハウスインスペクション(住宅診断)って何?それ必要?の画像

    Vol.203 ハウスインスペクション(住宅診断)って何?それ必要?

    不動産のアレコレ

もっと見る