
Vol.85 マンション玄関前に荷物を置いている住人は要注意?
マンション玄関前に荷物を置いている住人は要注意?
~そこに“性格”と“管理力”がにじみ出る~
マンションを見学して、廊下を歩いていると…
・観葉植物がずらり
・段ボールの山がそっと積まれてる
・なぜか折りたたみ自転車と三輪車
・宅配ボックスの前にベビーカーがドーン!
――「あれ?ここ、倉庫だっけ?」と言いたくなる光景に出会ったこと、ありませんか?
一見、些細な“生活感のにじみ出た”光景ですが、
不動産のプロの視点では「これは注意信号!」と受け取るケースも少なくありません。
今回は、そんな“共用廊下にモノを置く住人”の真の意味を、深掘りしていきましょう。
そもそも「共用廊下に荷物」ってアリなの?ナシなの?
マンションの共用部分。これ、法律的にもハッキリしています。
“みんなのもの”
エントランス、廊下、階段など、建物の管理規約においては「共用部分」として定義されています。
つまり、自分の玄関前といえども、通路は自分だけの場所ではないということ。
置かれているのが、ゴミ袋、スリッパラック、観葉植物、はたまた釣竿やタイヤだろうが、
置いた時点で「迷惑住人予備軍」扱いされるリスクがあるんです。
なぜ共用廊下に荷物を置くのか?“心理と理由”
ここで気になるのは、「なぜ置くのか?」という住人の心理です。
1. 収納が足りない
→「靴が多くて下駄箱に入らないから…」
→「子どもの三輪車、家に持ち込むと汚れるし…」
間取り選びの失敗パターン。
生活に合ってない部屋を選んだ結果、外にあふれてしまったケースです。
2. 自分の敷地と勘違い
→「ここ、自分の玄関の前だから…私の土地(と思ってる)」
この思い込み、意外と多いですが大きな勘違い。
管理規約違反になっている可能性も高く、放置されていると後々トラブルに。
3. 誰も注意しないからクセになる
→「管理人も何も言わないし、他の部屋も置いてるし…」
“緩んだ管理意識”が連鎖している状態。
このパターンの物件では、「誰かがルールを破ったら真似する人が出る」傾向が。
置いてあるモノから分かる“住人タイプ診断”
何が置かれているかで、その住人の“キャラ”がなんとなく見えてくるんです。
✅ タイプA:「緑の守り人」系
【特徴】観葉植物やプランターを共用廊下に並べている
【性格予想】自然派、温厚。でも“自分ワールド”が強めでマイルール重視型
✅ タイプB:「スポーツマン家族」系
【特徴】自転車、キックボード、アウトドアグッズが玄関前に
【性格予想】アクティブ&大家族型。忙しさと収納不足に追われてる
✅ タイプC:「防災ガチ勢」系
【特徴】水や非常袋の段ボールが共用廊下に常備
【性格予想】意識高いけど空気読めない系。やや独走気味
✅ タイプD:「ご近所こわくない」系
【特徴】荷物山積み、ラジカセまで設置してるツワモノ
【性格予想】協調性より“自分優先”派。注意しても響かない可能性アリ
トラブル事例集「共用廊下は事件の温床!?」
実際に、共用廊下にモノを置いていたことで起きたトラブル、リアルにあります。
◆事例1:避難経路ふさぎ事件
災害時、共用廊下にモノが置かれていたため、避難の際に足を引っかけて転倒。
→ 結果的に軽傷だったが、「訴訟も辞さず」と揉めたケースも。
◆事例2:お隣が注意して“大バトル”に
「この荷物、ちょっと邪魔なんですけど…」と優しく言ったつもりが、
→ 相手激怒 → 張り紙バトル → 管理会社が呼ばれる事態に。
◆事例3:売却時に“印象最悪”で売れ残り
部屋はステキなのに、共用廊下の雰囲気が悪く「ここ住みたくないかも…」という内見者が続出。
→ 成約まで半年以上かかった。
どう見極めればいいの?
内見時、「廊下の荷物=住人のマナーや管理体制の鏡」と考えましょう。
✅ チェックポイントは3つ
-
廊下や階段の“通路幅”が確保されているか
-
同じような荷物が複数戸にわたって置かれていないか
-
管理人・管理会社が注意喚起している掲示があるか
複数戸で放置されていたり、掲示板に「荷物は片付けましょう」の貼り紙が常時されていたら、
管理体制が緩い可能性大です。
管理規約で注意できる?それとも我慢?
管理規約には、たいてい「共用部分への私物放置禁止」が明記されています。
が、現実には「注意しても改善しない」問題児住人も存在します。
そんな時は管理会社に相談
管理組合での議論、あるいは理事会での注意勧告の流れになります。
ただし、強制的に片付けることは難しいので、改善までは時間がかかることも。
“廊下チェック”は内見の裏技!
共用廊下の“荷物”――
それは、住人の性格、マンションの管理状態、そして将来のトラブル予測を語る「無言のメッセージ」なのです。
物件選びの際、「間取り」「築年数」「価格」だけでなく、“共用部の使い方”という視点を忘れずに。
きれいに整った廊下は、きっと中の暮らしも整っている。
そう、「廊下は心の鏡」なのです。
そうした物件で荷物が溢れかえっている場合は、大半が一棟賃貸だと思います。
正直な話、賃貸の場合は何をどうしても改善は難しいです。
その状態がイヤであれば、最初から選ばない・引越しをする他、ありません。
なぜって?
あなたの物件ではないでしょう???
一棟分譲の場合は、所有者全員で総会議案に上げたりしつつ、改善する事が望まれます。
総会に上がらないとなる様でしたら、まず、管理組合の理事長等の役員になり、管理会社を動かすこと。
政治と同じ気がします。
みんなで共有するマンションは、住人各々の考え方もあります。
住人各々の意識を共有し、対策をする必要があります。
それが嫌なら、引っ越しです!
ただ、置き配での一時的なことにおいては、大目にみる必要があるとは思います。
その場合でも出来るだけ早めにピックアップするなど、意識は必要でしょう。
記:宅地建物取引士 原田