
Vol.105 新築マンションの管理費・修繕積立金が異常に安いワケ
新築マンションの管理費・修繕積立金が異常に安いワケ
〜その「月1万円以下」の誘惑、乗るか反るか〜
夢の新築マンション、ランニングコストも夢みたい!?
「新築マンション、駅徒歩3分、南向き、月々の管理費・修繕積立金は合わせて10,000円!」
……え? 安っ!!
しかも、共用施設にはラウンジ・ジム・キッズルーム付きでコンシェルジュまで常駐!?
あまりに夢のような条件に、思わず「この物件、今すぐ買うべき!?」と、
心が浮き立ってしまう方、多いのではないでしょうか。
ですが、ちょっと待ってください。
その安さ、将来の"請求書"を積み立てていないだけかもしれません。
今回は、新築マンションでよく見かける
「異常に安い管理費・修繕積立金」のワナ
について、解説します。
そもそも「管理費」と「修繕積立金」って何?
まずは基本の確認から。
●管理費とは?
日常の建物管理に使われるお金です。
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・共用部(廊下やエントランスなど)の清掃費用
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・エレベーターや消防設備などの点検・維持費
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・コンシェルジュの人件費(いるなら)
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・管理会社への委託料 など
要するに、毎日マンションがちゃんと動いてるための「生活維持費」。
●修繕積立金とは?
将来の大規模修繕に備えて貯める“貯金”です。
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・外壁の塗り替え
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・屋上防水
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・給排水管の交換
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・エレベーターの更新
10年・20年スパンで訪れる「マンションのメンテナンスのタイミング」に備えてお金を貯めておくのが、
この修繕積立金。
つまり、管理費は「今」、修繕積立金は「未来」のためのお金。
新築マンションは“安く見せる”のがウマい?
ここが今回の本題。
分譲会社の本音 「売るまでは印象が大事」
新築マンションの販売は、モデルルームでの印象がすべて。
そして、お客様が物件を比較する際、「月々の支払い」が重視されます。
たとえばAマンションとBマンションが同じような立地・広さ・価格だった場合、
管理費と修繕積立金がそれぞれ
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A:月8,000円
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B:月25,000円
となっていたら…多くの人は「Aの方がおトクに見える!」と感じるのではないでしょうか。
はい、そのとおり。
でもこれ、将来の支出を無視して“今だけ安く見せてる”だけなんです。
実は“段階的増額方式”だった!
新築マンションの修繕積立金は、最初の数年間はとにかく低く設定されがちです。
例:よくある段階増額方式
| 年数 | 修繕積立金(例) |
|---|---|
| 1〜5年 | 月額 3,000円 |
| 6〜10年 | 月額 7,000円 |
| 11〜15年 | 月額 12,000円 |
| 16年以降 | 月額 18,000円 〜(以後上昇) |
「少しずつ上がるなら問題ないのでは?」と思うかもしれませんが、
10年後にドーンと倍以上になることもザラ。
しかも「予想以上に費用が足りない」となれば、
一時金で100万円単位の負担を求められるケースもあります。
もしくは、管理組合で金融機関から借り入れをするか。
この借り入れは、いざ売却となった際、敬遠される可能性も大きいところ。
「共用施設が豪華」=維持費も豪華
最近の新築マンション、共用施設がものすごく立派です。
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・プール
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・フィットネスルーム
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・ラウンジにワーキングスペース
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・パーティルームにライブラリー
まるで高級ホテル!…ですが、維持管理も高級ホテル並み。
たとえばプール。
水を循環・清掃し、室内の湿度管理もしっかりしないとカビや劣化の原因に。
それ、誰が払ってるのかというと…そう、住人の管理費から。
初期は安く見えても、ランニングコストが地味に、でも確実に効いてくるのがマンション管理の怖いところなんです。
「管理費安い=管理が甘い」可能性も
まれに「管理費が異常に安い物件」があります。
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・共用部の清掃が月1回だけ
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・管理人が日中しかいない、もしくは非常勤
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・自主管理で管理組合が実質機能していない
一見すると「管理費が安い=お得」な気がしますが、そのぶん管理が手薄になるのは避けられません。
結果として、資産価値の低下につながりかねないのです。
「じゃあ最初から高いほうがいいの?」正解は…
実は、新築マンションの本来あるべき修繕積立金は、
少なくとも月額15,000円以上が平均的とされています(ファミリータイプの場合)。
これより明らかに低い場合は、「見せかけの安さ」の可能性が大。
不動産の世界では、「安いには理由がある」が鉄則です。
実録!こんなはずじゃなかった事例
●ケース1:10年後に一時金80万円!?
新築時に修繕積立金が月3,000円だったマンション。
10年後に大規模修繕を迎え、「資金が全然足りません」と一時金の請求が…。
その額、1世帯あたり80万円!
もちろん、住民説明会は大荒れ。
「なんで最初からちゃんと設定してなかったの!?」という声に、
管理組合は「いや、それは売主が…」と責任のなすりつけ合い。
●ケース2:管理費安くてゴミ屋敷化!?
「管理費安い!」と喜んで入居したマンション。
管理人は週2日しか来ず、共用部の清掃は月1回。
→ そのうち、エントランスがゴミ袋で山盛りになり、住民から「誰が片づけるんだ!」と怒号が飛ぶ始末…。
結局、「安さ」より「現実的な維持力」
マンションは買って終わりではなく、住んでからが本番。
そして「修繕積立金の値上げ」や「一時金徴収」などは、将来のあなた自身にかかってくる問題です。
「今の安さ」に飛びつくと、「未来の請求書」に震えることになります。
【結論】“安い”という言葉には裏がある
マンションの管理費・修繕積立金が異常に安い場合、
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・将来の値上げが確定している
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・設備が豪華で維持費が高騰する可能性あり
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・管理が手薄で資産価値が下がる恐れあり
という“裏の顔”を持っていることが少なくありません。
ですので、買う側も“見る目”が必要です!
新築マンションは美しく、魅力にあふれています。
でも、本当に安心できる暮らしを手に入れたいなら、「価格」や「間取り」だけでなく、
維持にかかるお金や仕組みにも目を向けることが大切です。
不動産会社としてのホンネを言えば、ちゃんと考えているお客様には、
こちらもしっかりした物件をご紹介したくなります。
長い付き合いになるマイホーム選び。
ぜひ、“今だけお得”ではなく、“ずっと安心”を選んでくださいね。
記:ライフプランナー 武井