Vol.239 住宅ローン、頭金は入れるべき?の画像

Vol.239 住宅ローン、頭金は入れるべき?

住宅ローンのアレコレ

住宅ローン、頭金は入れるべき?

― 入れた方がいい?入れない方がいい?その答えは一つじゃない ―



家を買おうと考え始めたとき、ほぼ100%の人が悩むのが、この問題です。


「住宅ローンって、頭金は入れるべき?」
「入れないと危険?」
「フルローンってやっぱり無謀?」


ネットで調べると、


  • 「頭金は2割が常識」

  • 「いや、今は頭金ゼロが正解」

  • 「頭金を入れないと審査が通らない」


…と、正反対の意見が並び、余計に分からなくなります。



本記事では、購入を検討している方に向けて、


不動産の現場目線で、頭金問題を整理します。



結論を先に言うと――


頭金を入れる・入れないは、正解が一つではありません。


ただし、知らずに選ぶと後悔するポイントは確実に存在します。




1.まず知っておきたい「物件価格=必要なお金」ではない現実


最初に、多くの方が見落としがちな話から始めます。


家を買うときに必要なお金は、物件価格だけではありません。



例えば、3,000万円の物件を買う場合、


3,000万円借りればいいんでしょ?」


と思いがちですが、実際にはそうではありません。




2.意外とかかる「諸費用」の存在


不動産購入時には、物件価格とは別に諸費用が発生します。


代表的なものは以下です。


  • ■仲介手数料

  • ■登記費用

  • ■印紙代

  • ■融資保証料

  • ■火災保険料

  • ■固定資産税・都市計画税の精算金


これらを合計すると、物件価格の6~8%前後が必要となります。



つまり、3,000万円の物件なら、


180万~240万円程度は、現金で必要になるケースが多いのです。




その上で「頭金」を入れるという選択



ここで、ようやく本題です。


「諸費用もかかる上で、さらに頭金を入れるべきなのか?」


という問題に直面します。



【頭金を入れるメリット】


まずは、分かりやすいメリットから整理しましょう。



① 毎月の返済額が下がる

借入額が減るので、当然、月々の返済は軽くなります。


  • ■家計に余裕が出る

  • ■精神的に安心感がある


これは大きなメリットです。



② 総返済額(利息)が減る

借入額が少ないほど、支払う利息の総額も少なくなります。

長期で見れば、数十万円~数百万円単位の差が出ることもあります。



③ 審査が有利になることもある


頭金を入れることで、


  • ■自己資金がある

  • ■計画性がある


と評価され、金融機関によっては審査がスムーズになる場合もあります。



【では、デメリットは?】


ここが重要です。


頭金を入れる最大のデメリットは「預金が減ること」


当たり前ですが、


頭金を入れる=手元資金が減るということです。



例えば、


  • 諸費用で200万円

  • 頭金で300万円


合計500万円が一気に消えます。




3.「預金が減る不安」は想像以上に大きい


家を買った後には、


  • ■家具・家電の購入

  • ■引っ越し費用

  • ■修繕費

  • ■突然の病気や失業


など、予想外のお金が必ず発生します。



そのとき、

「頭金を入れすぎて、手元にお金がない…」


という状態は、かなり危険です。




4.まだ低金利の今だからこそ出てくる「フルローン」という選択肢


現在は、歴史的な低金利時代です。


近年、少しずつ上がってきてはいますが、まだ共用範囲内。



そのため、


「無理に頭金を入れなくてもいいのでは?」


という考え方も、決して間違いではありません。



【フルローンのメリット】


① 手元資金を残せる


これが最大のメリットです。


  • ■生活防衛資金を確保できる

  • ■いざという時に対応できる

  • ■精神的に余裕が持てる


特に、賃貸から初めて購入する方にとって、この安心感は非常に大きいです。



② 低金利なら利息負担がそこまで重くない


金利が低い今は、

「借りられるなら借りた方が合理的」

という考え方も成り立ちます。


預金を減らすより、低金利でお金を借りておく、という発想です。



ただし、フルローンにも落とし穴があるー



ここは、正直にお伝えしなければなりません。


将来、「売却」する時に苦戦する可能性があります。


フルローンの場合、物件に抵当権が設定されます。



将来、転勤・住み替え・家族構成の変化・収入減少などで売却を考えたとき、


売却価格 < ローン残債


という状態になると、簡単には売れません。




5.抵当権が外せないと何が起きる?


  • ■売却してもローンが残る

  • ■追加で自己資金が必要

  • ■買い替えができない


いわゆる、「身動きが取れない状態」に陥る可能性があります


頭金を入れておけば、このリスクは多少なりとも下げられます。




6.頭金を入れるかどうかの判断基準


ここまでを踏まえて、判断の軸を整理しましょう。


【頭金を入れた方が向いている人】

  • ■預金に十分な余裕がある

  • ■その家に長く住む予定

  • ■月々の返済を少しでも抑えたい

  • ■精神的な安心感を重視したい


  • 【フルローンも検討できる人】

  • ■手元資金を減らしたくない

  • ■生活防衛資金を重視したい

  • ■将来の住み替えも視野に入れている

  • ■低金利の恩恵を活かしたい



  • 7.大切なのは「どちらが正しいか」ではない


頭金問題で一番よくある失敗は、


「みんながそう言っているから」


という理由で決めてしまうことです。


  • ・頭金2割が常識だから

  • ・フルローンは危険って聞いたから


ですが、あなたの家計・人生設計は、他人と違います。



まとめ


頭金は「入れる・入れない」より「理解して選ぶ」




最後に、この記事の結論です。


  • ■物件価格以外に諸費用が必ずかかる

  • ■頭金を入れると返済は楽になるが預金は減る

  • ■低金利の今はフルローンも現実的な選択肢

  • ■ただし将来売却時、抵当権の関係で苦戦する可能性もある

  • ■正解は人それぞれ

  • ■大切なのは「納得して選ぶこと」



住宅ローンは、怖いものではありません。


怖いのは、よく分からないまま決めてしまうことです。



当社では、


  • ■頭金を入れるべきか

  • ■フルローンで大丈夫か

  • ■将来売る可能性はどう考えるか


を、あなたの状況に合わせて整理します。



「まだ買うと決めていない」



そんな段階でも構いません。


一度、一緒に現実的に考えてみませんか?



記:ファイナンシャルプランナー 菊池



”住宅ローンのアレコレ”おすすめ記事

  • Vol.257  あなたの年収で買える物件価格はいくら?の画像

    Vol.257 あなたの年収で買える物件価格はいくら?

    住宅ローンのアレコレ

  • Vol.249  自営業・フリーランスが住宅ローンを通すコツの画像

    Vol.249 自営業・フリーランスが住宅ローンを通すコツ

    住宅ローンのアレコレ

  • Vol.243 住宅ローン変動金利が上がっている理由の画像

    Vol.243 住宅ローン変動金利が上がっている理由

    住宅ローンのアレコレ

  • Vol.204  住宅ローン控除や贈与を利用するために必要なことの画像

    Vol.204 住宅ローン控除や贈与を利用するために必要なこと

    住宅ローンのアレコレ

  • Vol.197  たくさんある銀行の中から“最適解”な住宅ローンを見つけ出す方法の画像

    Vol.197 たくさんある銀行の中から“最適解”な住宅ローンを見つけ出す方法

    住宅ローンのアレコレ

  • Vol.175  毎月の住宅ローンの支払いが辛い…の画像

    Vol.175 毎月の住宅ローンの支払いが辛い…

    住宅ローンのアレコレ

もっと見る