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Vol.32 誰しもが経験するであろう相続。不動産の売却は難しい?

不動産のアレコレ

不動産を相続した場合、売却をどう進めるべきか悩む方も多いでしょう。相続人としての義務を果たしながら、どのようにして不動産を売却するのか、その流れを理解することは重要です。また、相続税との関係も見逃せません。この記事では、不動産売却の選択肢や流れ、さらに相続税との関連性について詳しく解説します。

記:ファイナンシャルプランナー 菊池

不動産を相続した際の初期対応と確認事項

不動産を相続したとき、まず何をすべきか悩む方が多いのではないでしょうか。相続のプロセスは複雑で、初期対応を間違えると後々の手続きがスムーズに進まなくなることもあります。ここでは、相続人として最初に行うべき手続きと、不動産の現状確認と評価方法について詳しく解説します。

まず、相続人として最初に行うべき手続きは、相続の承認または放棄の選択です。相続放棄を希望する場合は、家庭裁判所に申述する必要があり、相続開始を知った日から3ヶ月以内に行うことが求められます。この期間を過ぎると単純承認したものとみなされるため、注意が必要です。

次に、不動産の現状確認です。相続した不動産がどのような状態にあるのかを把握することは非常に重要です。具体的には、以下のような点を確認します。

確認事項 内容 重要性
物理的状態 建物の老朽化状況や修繕の必要性を確認
権利関係 所有権や抵当権の有無を確認 非常に高
法的制限 用途地域や建築制限の確認

不動産の評価方法も重要です。一般的に不動産の評価は固定資産税評価額や路線価を基に行われますが、実際の市場価格とは異なる場合があります。信頼できる不動産会社に依頼して、正確な評価を受けることをお勧めします。そのためにも、物件の購入時等の書類を用意することが必要です。築年数が経過していると当時の書類が無いこともありますが、できるだけ集められると、その後の動きが変わります。

以上の初期対応をしっかりと行うことで、その後の不動産売却や相続税の手続きがスムーズに進むようになります。相続は人生の中で何度も経験することではないため、戸惑うことも多いかもしれませんが、基本を押さえておくことで安心して進められます。

不動産売却の流れと手続き

不動産を相続した際、売却を考える方は多いです。しかし、何から始めればよいのか分からない方も少なくありません。ここでは、不動産売却を検討する際の選択肢と売却までの具体的なステップを解説します。

まず、不動産売却を決めたら、いくつかの選択肢があります。直接買い手を探す方法、信頼できる不動産会社に仲介依頼する方法、不動産会社に買い取ってもらう方法です。それぞれの方法にはメリットとデメリットがありますので、自分の状況やニーズに合わせて選ぶことが重要です。

不動産売却の流れを簡単に示すと、以下のようになります。どのステップも重要で、しっかりと準備をすることでスムーズな売却が可能です。

ステップ 内容 注意点
1. 物件の査定 不動産会社に依頼して物件の市場価格を査定します。 市場よりも高く提示されることがしばしば。
2. 販売活動開始 不動産会社による宣伝や広告を通じて買い手を探します。 囲い込み業者だと情報が拡散されません。
3. 契約締結 購入希望者と契約を結びます。 契約内容をよく確認し、不明点はその場で解決します。
4. 決済と引渡し 代金を受け取り、物件を引き渡します。 契約書に基づき、手続きを厳守しましょう。

このように、売却のステップをしっかりと理解し、一つ一つ着実に進めていくことが大切です。また、信頼できる不動産会社を選ぶことで不安を解消し、効率的に売却を進めることができます。

特に、初めて不動産を売却する方にとっては、専門家のサポートが心強い存在となります。次に、相続税との関係についても見ていきましょう。

相続税の基本と不動産売却への影響

不動産を相続した際に避けて通れないのが相続税です。この税金は相続した財産の価値に基づいて計算されますが、特に不動産の場合、その評価額が大きく影響します。ここでは、相続税の基本的な計算方法と不動産の評価額がどのように決定されるのか、さらに不動産売却が相続税に与える影響について解説します。

まず、相続税の計算方法ですが、相続税は相続財産の総額から基礎控除を引いた金額に対して課されます。基礎控除は、3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数) という計算式で求められます。例えば、法定相続人が3人の場合、基礎控除は4,800万円になります。この控除を超える相続財産に対して、段階的に税率が適用される仕組みです。

次に、不動産の評価額についてです。不動産の評価は、通常「路線価」または「固定資産税評価額」に基づいて行われます。路線価は国税庁が公表するもので、土地の価値を示す指標となります。評価額は、実際の市場価格とは異なることが多いため、正確な額を把握するには専門家の意見を参考にするのが良いでしょう。

項目 説明
基礎控除 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
評価方法 路線価または固定資産税評価額に基づく
税率 段階的に適用される

不動産を売却する場合、売却益が発生することがあります。この売却益は「譲渡所得」として所得税の対象になりますが、相続税の納付期限までに売却することで、相続税の支払いに充てることが可能です。ただし、売却時期や売却額により譲渡所得税が発生するため、慎重な計画が必要です。ここでは不動産に特化してお伝えしておりますが、不動産の他、現金や有価証券等、他の財産がある場合は、それらの額を合わせて相続財産の総額となる点には注意が必要です。

相続税と不動産売却の関係は複雑ですが、正しい知識を持つことでスムーズに対処できます。相続税の計算や不動産の評価に疑問がある場合は、税理士や不動産の専門家に相談することをお勧めします。

相続人として知っておくべき法的手続きと専門家の活用

相続人としてまず行うべき法的手続きには、「相続登記」と「名義変更」があります。これらは、相続した不動産を正式に自分の所有物として登録するために必要なステップです。相続登記を行うことで、不動産登記簿上の所有者名義を故人から相続人に変更することができます。この手続きを怠ると、不動産の売却や新たな契約が困難になることがあり、義務でもありますので早めの対応が求められます。

相続登記は、相続人自身で行うこともできますが、多くの方が司法書士に依頼することを選びます。司法書士は不動産登記の専門家であり、必要な書類の準備や手続きの進行をスムーズに進めるサポートをしてくれます。

また、不動産売却を行う際には、税務上のアドバイスが欠かせません。相続税や譲渡所得税など、税務に関する専門的な知識が必要となる場面が多いため、税理士の力を借りると良いでしょう。税理士は、税金の計算や納付に関するアドバイスを行い、相続人にとって最適な税務戦略を提案してくれます。

さらに、法的な争いや相続人間の意見の相違が発生する可能性がある場合には、弁護士の活用も検討してください。弁護士は法的な紛争を解決する専門家であり、必要に応じて法廷での手続きも行います。特に、複数の相続人が関与する場合や、遺言書の内容に争いがある場合には、弁護士のアドバイスが非常に役立ちます。不動産会社では、ガイドラインはお伝え出来るものの、具体的な内容においては法律上、説明できないことなっています

以下の表は、不動産相続における専門家とその役割を簡単にまとめたものです。

専門家 役割 主な業務
司法書士 登記手続きの専門家 相続登記、名義変更
税理士 税務の専門家 相続税、譲渡所得税の計算と申告
弁護士 法的紛争の専門家 法廷での代理、法的アドバイス

不動産相続においては、これらの専門家のサポートを受けることで、手続きを円滑に進めることができます。各専門家の役割を理解し、必要に応じて相談することで相続手続きや不動産売却をスムーズに行いましょう。こうした士業は、不動産会社から紹介してもらえます。

まとめ

相続した不動産を円滑に売却するためには、相続手続きや税務に関する基本的な知識が重要です。初期対応から売却までの流れを理解し、法的手続きを適切に行うことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。基本的には専門家の助けを借りることが有効で、相続税が発生しそうであれば、少しでも早く対応することが望まれます。不動産は放置しておくほど費用がかかってしまうもの。売却だけでなく、賃貸に貸し出したり自用で活用されるなど様々な活路を見出してみても良いかと思います。何にしても、まずは話せる不動産会社を探してみて下さい。

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