Vol.37 マンションの管理費や修繕積立金は将来上がる?安くなる?
管理費は、マンションの共用部分の維持・管理に使われる費用です。例えば、以下のような用途があります。
・エントランスや廊下などの清掃
・共用設備(エレベーター、防犯カメラなど)のメンテナンス
・管理人や清掃員の人件費
・共用部分の電気・水道代
・管理組合の運営費
これらの費用はマンション住民全員で負担するため、毎月一定額を管理組合に支払う形となります。新築時には比較的低めに設定されていることが多いですが、築年数が経過すると、管理に必要なコストが増えることで管理費が上昇するケースがあります。
2.修繕積立金とは?
修繕積立金は、マンションの大規模修繕を行うために事前に積み立てるお金です。マンションは時間とともに劣化していくため、定期的に修繕が必要になります。修繕積立金は以下のような場面で活用されます。
・外壁の修繕・塗装
・防水工事(屋上やベランダの防水処理)
・給排水設備の補修・交換
・エレベーターの改修・交換
・共用部分の改修
一般的に、マンションの修繕積立金は「均等方式」と「段階増額方式」のどちらかで徴収されます。新築時の修繕積立金は低めに設定されていることが多いですが、10〜15年後の大規模修繕に向けて徐々に上昇していくのが一般的です。
3.管理費・修繕積立金は将来どうなる?
では、管理費や修繕積立金は今後どう変わるのでしょうか?以下の観点から考えてみましょう。
① 物価や人件費の上昇による管理費の値上げ
最近では、物価や人件費の上昇が話題となっています。特に管理人の人件費や共用設備の維持費は影響を受けやすく、マンション管理組合が値上げを検討するケースも増えています。
また、専門業者に依頼する清掃や設備点検の費用も年々上昇傾向にあります。そのため、管理費は長期的に見ると上がる可能性が高いと言えるでしょう。
② 大規模修繕に向けた修繕積立金の増額
マンションの大規模修繕は、築10~15年頃に実施されるのが一般的です。このタイミングで修繕積立金が大幅に増額されるケースが多いため、購入時に安くても、将来的には負担額が増える可能性が高いです。
特に、マンションの設備が老朽化し始めると、補修費用が想定以上にかかることもあります。過去の修繕履歴をチェックし、今後どのくらいの積立金が必要になるかを把握しておくことが重要です。
③ 住民の高齢化・入居率の低下による影響
マンションの住民が高齢化すると、管理費や修繕積立金の負担が重く感じられるようになります。その結果、支払い能力が低下し、管理組合の運営が厳しくなることがあります。
また、空室率が高くなると、負担する人の数が減り、その分、一人当たりの管理費や修繕積立金の負担が増すことも考えられます。
4.負担を軽減するためのポイント
将来的に管理費や修繕積立金が上昇する可能性があるなら、負担を抑えるための工夫も考えておきたいところです。
① 修繕計画をしっかり確認する
マンションの管理組合がどのような修繕計画を立てているかを確認しましょう。特に、大規模修繕の予定がある場合は、積立金の増額が予想されるため、事前に把握しておくことで計画的に対応できます。
② 管理費の見直しを提案する
管理費の適正化を考えるなら、管理組合で運営コストの削減を検討するのも一つの方法です。例えば、管理人の勤務時間を調整する、清掃業務を見直すなどの工夫によってコストを抑えられる可能性があります。
③ 資産価値の高いマンションを選ぶ
管理費や修繕積立金が将来的に増額される可能性があるため、資産価値の高いマンションを選ぶことが重要です。立地が良く、需要のあるマンションであれば、売却の際にも有利に働くため、購入時に慎重に選びましょう。
5.まとめ:将来を見据えた賢い選択を
マンションの管理費や修繕積立金は、長期的に見ると上昇する可能性が高いです。特に、物価や人件費の上昇・大規模修繕の計画・住民の高齢化などの影響を受けるため、購入時にその点を考慮しておくことが重要です。そして、これらはマンションの所有者全員からなる管理組合にて方針が決定されますので、時には管理会社の変更が必要になることもあります。勘違いしてほしくないのは、室内の補修や故障で修繕積立基金が使われることはありません。
住まいの選択は、単なる「今の支出」だけでなく、「将来の負担」も考えながら決めることが大切です。管理費や修繕積立金の推移をしっかりチェックしながら、賢い判断をしていきましょう!