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Vol.173 不動産を買うのに頭金を貯めた方が良い?

住宅ローンのアレコレ

不動産を買うのに頭金を貯めた方が良い?

― 頭金ゼロでも買える時代の正しい考え方 ―



「そろそろマイホームが欲しい」


「でも、頭金がまだ貯まっていないから無理かな……」


多くの方が、住宅購入を考えたときに最初にぶつかる壁が「頭金」です。



昔は“頭金2割が常識”と言われていましたが、最近は住宅ローンの多様化や低金利の影響で、


頭金がなくても家を買える時代になっています。


では、実際のところ「頭金は貯めた方が良い」のでしょうか?


それとも「今すぐ買っても大丈夫」なのでしょうか?



この記事では、不動産購入を検討している方に向けて、


頭金の考え方と、実際の諸費用・ローンの仕組みをわかりやすく解説します。




1. 「頭金」とは?住宅購入にかかるお金の全体像


まずは、不動産を購入する際に必要となる費用の全体像を見てみましょう。


住宅を買うときに必要なお金は、大きく分けて次の2つです。


  • 物件価格(=土地・建物の価格)

  • 諸費用(=購入にかかる各種費用)


多くの人が「頭金=物件の一部を現金で払うお金」と思っていますが、


実際には、諸費用も現金で必要になることが多いのです。




2. 不動産購入にかかる「諸費用」とは?


不動産を購入する際には、物件価格以外にさまざまな費用がかかります。


その総額は、


住宅ローンを利用する場合:約8%前後


現金で購入する場合:約5%前後


が、目安とされています。



【諸費用の内訳(例)】

費用項目内容金額の目安
登記費用所有権移転や抵当権設定の登記に必要な費用数十万円
仲介手数料不動産会社に支払う手数料(物件価格の3%+6万円+税)約3〜4%
ローン事務手数料・保証料銀行に支払う手数料や保証会社の費用数十万円〜100万円前後
火災保険料ローン借入時に必須約10〜20万円
固定資産税・都市計画税精算金売主と日割り精算数万円〜10万円程度



これらを合計すると、


3,000万円の物件なら約240万円前後が諸費用としてかかる計算です。



つまり、「頭金ゼロでローンを組む」場合でも、


この諸費用分は現金で準備する必要があることを忘れてはいけません。




3. 諸費用も借りられるケースがある?


最近では、金融機関によっては、諸費用まで含めて借りられる住宅ローンも増えています。


このようなローンを利用すれば、「頭金ゼロ」・「諸費用もローンでOK」という形で、


本当に手持ち資金ゼロで購入できるケースもあります。



ただし、注意が必要です。


■諸費用を借り入れる分、ローン総額が増える

借入額が増えると月々の返済額も増える

審査が厳しくなる可能性がある


このため、「諸費用までローンで組む」のはあくまで選択肢の一つ。


しっかりと返済計画を立てた上で利用することが重要です。




4. 頭金を入れるメリット


もちろん、頭金を用意できる人にとっては、多くのメリットがあります。



(1)借入額が減る

頭金を入れることで、単純にローンの借入額が減り、月々の返済負担が軽くなります。


例)3,000万円の物件を購入する場合

頭金借入額  月々の返済(35年・金利0.7%想定)
0円 3,000万円  約80,556円
300万円(1割) 2,700万円  約72,500円
600万円(2割) 2,400万円  約64,444円


頭金を増やすことで、返済額が月々数千円〜1万円単位で下がります。


長期的には数十万円〜百万円単位の差になることもあります。



(2)ローン審査に通りやすくなる

頭金を入れることで「自己資金がある=返済能力が高い」と評価され、


金融機関の審査に通りやすくなる傾向があります。


特に自営業の方や、収入に変動のある職業の方の場合、


頭金を入れることで審査がスムーズになるケースも多いです。



(3)将来の金利上昇リスクを抑えられる

ローン借入額が少なければ、金利上昇があっても影響が小さく済みます。


金利が1%上がるだけでも、総返済額は数百万円変わることがあります。


頭金を入れておくことは、将来のリスクヘッジにもなるのです。




5. 頭金を入れないメリットもある


一方で、「頭金ゼロ」にはそれなりのメリットもあります。



(1)今の家賃を“貯金代わり”にできる

賃貸に住み続ける間も、毎月家賃は支払い続けなければなりません。


その間に数年間頭金を貯めようとすると、家賃分の支出が完全にムになります。


「どうせ家賃を払うなら、早く自分の家にしてしまった方が得」


という考え方も合理的です。



(2)金利が低いうちに購入できる

現在の住宅ローン金利は歴史的に見ても非常に低水準です。


頭金を貯めている間に金利が上がれば、結果的に総返済額が増えてしまう可能性もあります。


つまり、「頭金を待つより、早めに購入した方がトータルで得になる」ケースもあるのです。



(3)資金を手元に残せる安心感

頭金をすべて使い切ってしまうと、もしもの時の予備資金がなくなってしまいます。


子どもの教育費や車の買い替え、急な修繕費など、


ライフイベントに備えて手元資金をある程度残す方が安全なこともあります。




6. 「頭金がないと買えない」はもう過去の話


かつては「頭金がない人はローンを組めない」と言われた時代もありましたが、


現在は金融機関の制度やローン商品の多様化によって、頭金ゼロでも購入できるのが一般的になっています。


実際、住宅金融支援機構の調査によると、「頭金ゼロ」で購入している人は全体の3〜4割程度。


特に30代前半では、その割合がさらに高くなっています。



つまり、「頭金がなくても購入できる」ことは、今や特別なケースではないのです。




7. 頭金を入れるかどうかは“ライフプラン”で決める


では最終的に、頭金を入れるべきか、入れないべきか?

それは人それぞれのライフプランによって異なります。


タイプ向いている頭金スタイル
安定した収入・貯蓄がある人頭金を入れてローンを軽くする
若くて貯金は少ないが安定収入がある人頭金ゼロでも早めに購入して資産形成を始める
今後の支出が多い(子育て・教育費など)無理に頭金を入れず、手元資金を残す


どちらが正しい・間違っているというものではなく、


「あなたの生活に無理のない資金計画」を立てることが何よりも大切です。




8. 専門家に相談して「買える金額」を見える化しよう


頭金の有無に関係なく、まずやるべきことは 「自分がいくらまで買えるのか」を明確にすることです。


ファイナンシャルプランナーや不動産会社に相談すれば、


住宅ローンの事前審査

諸費用込みの総予算

頭金あり・なしのシミュレーション


などを具体的に算出してもらえます。


数字で確認すると、「思っていたより買える」「もう少し待った方がいい」など、


現実的な判断ができるようになります。




9.  頭金があってもなくても、「計画」がすべて


最後にポイントを整理しましょう。


不動産購入には、物件価格のほかに 諸費用(ローンなら約8%)がかかる

諸費用は現金が必要な場合が多いが、ローンに組み込めるケースもある

頭金があれば、返済負担・金利リスク・審査面で有利

頭金がなくても、低金利や家賃負担を考えれば早めの購入も有効

最も大切なのは「無理のない返済計画」



つまり――


頭金は“あった方が良い”けれど、“なくても買える”のが今の住宅購入の現実です。


焦って貯金を増やすよりも、まずは自分のライフプランに合った購入計画を立てることが、


将来の安心につながります。





ワンポイントアドバイス


「頭金がない=無謀」ではありません。


むしろ、家賃を払い続ける期間を短縮し、早めに“持ち家で資産を積み上げる”ことこそが、


長期的には有利になるケースもあります。



記:ファイナンシャルプランナー 菊池


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