
Vol.257 あなたの年収で買える物件価格はいくら?
あなたの年収で買える物件価格はいくら?
―「買える」と「安心して住み続けられる」は別の話―
まず最初に知ってほしい現実
家探しを始めると、多くの方が最初に気にするのがこれです。
「自分の年収で、いくらの家が買えるのか?」
ネットで調べると、
年収の5倍
年収の7倍
銀行が貸してくれる上限
さまざまな数字が出てきます。
結論からお伝えします。
「買える金額」と「買って大丈夫な金額」は違います。
この違いを理解しないまま進むと、住宅ローンは一気に重荷になります。
1.住宅ローンでよくある3つの誤解
誤解① 年収=ローン審査のすべて
銀行は年収だけを見ていません。
■勤続年数
■雇用形態
■借入状況
■家族構成
これらを総合的に判断します。
誤解② 銀行が貸してくれる=安全
これは非常に多い勘違いです。
銀行は「返せるか」ではなく「貸せるか」を見ています。
生活の余裕までは、考慮されていません。
誤解③ 上限いっぱい借りるのが普通
実際に苦しくなるのは、このケースが圧倒的に多いです。
2.購入価格の目安シミュレーション
ここでは、
金利:1.0%
返済期間:35年
返済負担率:25%以内
という、比較的安全な設定で見ていきます。
年収400万円の場合
月返済目安:約8.3万円
借入可能額:約2,800万円
物件価格目安:約3,000万円前後
無理をすると、生活費が圧迫されやすいゾーン。
年収500万円の場合
月返済目安:約10.4万円
借入可能額:約3,500万円
物件価格目安:約3,800万円前後
最も購入層が多いゾーン。
年収600万円の場合
月返済目安:約12.5万円
借入可能額:約4,200万円
物件価格目安:約4,500万円前後
教育費・車の購入が重なると要注意。
年収700万円の場合
月返済目安:約14.6万円
借入可能額:約4,900万円
物件価格目安:約5,200万円前後
銀行はもっと貸してくれるが、余裕重視が正解。
借入先によって金利も違いますし、貸してくれる額も違います。
今の年収で、「どれだけ借りられるか→どこで借りるべきか」は、
地域性もありますので、不動産会社に相談してみましょう。
当社の様に、ファイナンシャルプランナーがいる会社だと、より心強いかと思います。
3.物件価格=ローン金額ではない
ここは非常に重要です。
A.購入時にかかる主な諸費用
■仲介手数料
■登記費用
■住宅ローン事務手数料
■火災保険
物件価格の6〜10%程度が別途必要です。
つまり、
「4,000万円の家」= 実際には4,300〜4,400万円の支出
になるケースが多いのです。
4.頭金を入れる?入れない?
『頭金を入れるメリット』
■月々の返済が下がる
■総返済額が減る
【頭金を入れすぎるリスク』
■手元資金が減る
■急な出費に対応できない
近年、上昇しているとは言え、まだまだ低金利。
無理に頭金を入れない選択も、十分に現実的です。
5.将来の支出を甘く見てはいけない
住宅ローンは、今の生活ではなく、将来の生活で払うものです。
~考慮すべき代表例~
■教育費
■車の買い替え
■修繕・リフォーム
■収入減少リスク
これを無視したシミュレーションは、意味がありません。
6.賃貸と比べてどう考える?
よく言われる言葉があります。
「賃貸より買った方が得」
これは半分正解、半分不正解です。
無理な価格 → 賃貸以下
適正価格 → 将来の資産
価格設定次第で、結果は大きく変わります。
7.不動産会社が勧める「現実的な考え方」
私たちがよくお伝えするのは、この考え方です。
「借りられる額」ではなく、「返し続けられる額」から逆算する
その上で、
■エリア
■築年数
■広さ
を調整していく方が、後悔は少なくなります。
8.よくある失敗パターン
「今の家賃と同じだから大丈夫」→ 固定資産税・修繕費を忘れがち。
「ボーナス払い前提」→ 景気や会社次第で一気に苦しくなります。
「将来昇給するはず」→ 予測に依存したローンは危険です。
【年収シミュレーションは“目安”にすぎない】
数字は大切です。
しかし、もっと大切なのは、その金額で笑って暮らせるか?、です。
家はゴールではなく、生活のスタート地点。
無理のない範囲で、「ちょうどいい家」を選ぶことが、一番の成功です。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池