
Vol.265 売却査定の仕組みと査定額の違い
売却査定の仕組みと査定額の違い
―「一番高い査定」が正解とは限らない理由―
査定額がバラバラで混乱していませんか?
不動産を売ろうとすると、まず行うのが売却査定です。
ところが、複数社に依頼すると、こんな状況になりがちです。
A社:3,200万円
B社:3,450万円
C社:3,600万円
「え、どれが本当なの?」
「一番高いところに頼めばいい?」
そう思うのは自然です。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
1.そもそも売却査定とは何か?
売却査定とは、「この物件が、今の市場でいくらくらいで売れそうか?」を、
不動産会社が予測するものです。
重要なのは、確定価格ではないという点です。
【査定の基本的な仕組み】
① 取引事例比較法(最も一般的)
■近隣で売れた類似物件
■築年数・広さ・立地
を基準に、価格を調整して算出します。
もっとも現実的で、金融機関も重視する方法です。
② 原価法(主に戸建て)
■土地価格
■建物の再建築価格
■経年劣化分を差し引く
築古になるほど、建物評価は低くなりがちです。
③ 収益還元法(投資用)
■家賃収入
■利回り
から逆算します。
居住用売却では、補足的に使われることが多い方法です。
2.なぜ査定額に差が出るのか?
理由① 参考にする事例が違う
■直近の成約事例を見る会社
■現在の売出価格を重視する会社
どちらを見るかで、数百万円差が出ることもあります。
理由② 「売れる価格」か「売りたい価格」か
ここが最大の違いです。
■売れる可能性が高い価格
■売主が喜ぶ価格
このどちらを優先するかで、査定額は変わります。
理由③ 営業戦略として高く出すケース
残念ながら、「媒介契約を取りたいがために高めの査定を出す」会社も存在します。
これは業界の闇ではなく、現実です。
3.高い査定額に潜むリスク
① 売れ残る可能性が高い
相場より高い価格で出すと、
■内見が入らない
■問い合わせが減る
結果、「売れない物件」という印象がつきます。
② 値下げを繰り返す悪循環
最初は高く、途中で値下げ。
これは、最初から適正価格で出すより印象が悪くなることが多いです。
③ 時間的ロス=金銭的ロス
売却が長引くと、
■固定資産税
■管理費
■住宅ローン
など、見えないコストが積み上がります。
4.査定額を見るときの正しい視点
① 査定額の「根拠」を必ず聞く
■どの事例を使ったか
■なぜこの価格なのか
説明できない会社は、要注意です。
② 「3か月で売れる価格」を聞く
プロは、「この価格ならどれくらいの期間で売れるか?」まで想定しています。
③ 販売戦略をセットで確認する
■広告方法
■値下げ判断のタイミング
■内見対応
査定額だけでは、売却は成功しません。
【よくある勘違い】
「高く出して、ダメなら下げればいい」→ 実は 一番やってはいけない戦略 です。
「査定額=必ず売れる価格」→ あくまで 予測値 です。
「一括査定サイトが一番正確」→ 情報収集には良いですが、鵜呑みは危険です。
5.不動産会社が本当に見ている数字
私たちが重視するのは、
■成約価格
■売却までの期間
■問い合わせ数
つまり、「いくらで売れたか?」・「どれだけ時間がかかったか?」です。
結論として、査定額は「高さ」より「現実性」
売却査定で大切なのは、
一番高い金額ではなく、一番“売れる可能性が高い金額”
です。
そしてもう一つ。
誠実にデメリットも話してくれる会社
それが、本当に信頼できる不動産会社です。
こうした不動産会社を探すにはコツがありません。
合う・合わない
話をして、?と思ったら、その直感は当たっている可能性が高いかとは思います。。。
記:宅地建物取引士 原田