
Vol.284 賃貸物件での夜逃げを検証する
賃貸物件での夜逃げを検証する
― どこまで追いかけられるのか?現実的な話 ―
「夜逃げされたら終わり」は本当?
賃貸物件に関する相談の中で、時折こんな質問を受けます。
「もし夜逃げしたら、どこまで追いかけられるんですか?」
生活が苦しく、
ただ、先に結論からお伝えすると、夜逃げすればすべて終わる、ということはありません。
一方で、必ず徹底的に追いかけ回される、とも限りません。
この“グレーな現実”を、
1.夜逃げは法律用語ではない
まず前提として、「夜逃げ」
法律上は、
■無断退去
■賃料未払い
■契約違反
といった 民事上の問題 として扱われます。
犯罪になるケースは稀で、ほとんどが民事トラブルです。
2.誰が、どこまで追ってくるのか
夜逃げ後に動く可能性があるのは、主に以下です。
① 大家・管理会社
未払い家賃、原状回復費用の請求が発生します。
② 連帯保証人
賃貸借契約に連帯保証人がいる場合、借主と同等の責任を負います。
夜逃げが判明した時点で、連帯
3.家賃保証会社が入っている場合は要注意
最近の賃貸では、家賃保証会社の利用が一般的です。
この場合、
保証会社が家賃を立替→その後、保証会社が借主へ請求
という流れになります。
保証会社は、書面・電話・調査など、かなり粘り強く動きます。
4.「居場所が分からなければ追えない」は誤解
ここで、あまり知られていない事実があります。
賃貸借契約書があれば、市役所で住民票を取得できるケースがある
正確には、
■正当な利害関係がある場合
■債権回収などの目的が明確な場合
管理会社や大家は、賃貸借契約書を根拠に住民票の写しを取得できる可能性があります
つまり、引っ越しても、住民票を移していれば所在地は分かってしまう
ということです。
この手法は、意外と当たり前の常識にもなっていて、私たちは良く住民票を取得しています。
5.「どこまでも追いかけられる」のが現実
もちろん、すべてのケースで必ず追跡されるわけではありません。
実務上は、
■回収できそうか
■費用対効果が合うか
を見て判断されます。
ただし、
■住民票が取れる
■保証会社が関与している
この条件が揃うと、想像以上に長く追われることもあります。
【それでも途中で止まるケースもある】
一方で、無職・所在不明・財産がないと判断されると、調査費・弁護士費用の方が高くつくため、
追及が止まることもあります。
だからといって、「逃げ得」になるわけではありません。
6.夜逃げの最大の代償は「信用」
夜逃げで一番大きな問題は、金銭よりも 信用情報 です。
■保証会社のブラックリスト(リストというよりデータがある)
■次の賃貸がほぼ借りられない
■連帯保証人との関係悪化
特に保証会社の情報は、業界内で共有されることもあり、後々の生活に大きく影響します。
7.残された荷物は勝手に処分できない
夜逃げ後の室内に残された荷物。
「捨ててしまえばいい」と思われがちですが、これは非常に危険です。
■所有権は借主にある
■勝手に処分すると不法行為になる可能性
そのため、
■一定期間の保管
■法的手続きを経て処分
という流れになります。
8.管理会社・大家が一番困るのは「無言」
実は、管理会社や大家が一番困るのは、払えないことより何も言わずに消えること。
事情が分かれば、分割払い・支払い猶予・円満退去など、落としどころを探れることも多いのが現実です。
【夜逃げ前にできる、たった一つの選択】
どうしても苦しい時は、逃げる前に連絡する。
これだけで状況が変わることがあります。
■解約日の調整
■最低限の費用での退去
■保証人への影響を抑える
夜逃げは「解決」ではなく、問題を先送りにする行為です。
【追われるかより、残るものを考える】
賃貸物件で夜逃げした場合、
■契約書を根拠に住民票から所在が判明する可能性がある
■保証人・保証会社経由で請求が続く
という現実があります。
追われるかどうか以上に、信用を失う代償は長く残る。
本当に限界を感じた時こそ、一度だけでいいので、「相談する」という選択を思い出してください。
記:宅地建物取引士 原田