
Vol.426 年収400万円~600万円層の住宅ローン最適な借入額とは?
年収600万円なら、いくらまで借りられるのか?
住宅ローンの審査では、「返済負担率」という指標が重要です。
これは、年収に対する年間返済額の割合のこと。
銀行の審査基準は通常、返済負担率35%~40%ですが、実際に無理なく返済を続けるには20~25%に抑えることが理想とされています。
年収600万円の場合、計算は以下の通りです。
年間返済額の目安 = 年収600万円 × 25% = 150万円 → 月々の返済額 = 150万円 ÷ 12ヶ月 = 12.5万円
この月々12.5万円で返済できる借入額は、35年ローンで約4,200万円。これが「無理のない範囲」です。
<銀行が貸してくれる額と、実際に返せる額は違う>
銀行の返済負担率審査(40%)で計算すると、年収600万円なら年間240万円、月々20万円の返済が可能と判定されます。
この場合、借入可能額は約6,000万円になります。
しかし、ここに落とし穴があります。
月々20万円の返済では、他の生活費がひっ迫します。
食費、光熱費、保険、自動車ローン、子どもの教育費など、人生には多くの支出があります。
転職、病気、失業などのリスクも考慮すると、銀行が「貸してくれる額」と「実際に返せる額」は大きく異なるのです。
<年収別の現実的な借入目安>
| 年収 | 無理のない月返済額 | 35年ローン借入額 | 銀行審査最大額(参考) |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 8.3万円 | 2,800万円 | 4,000万円 |
| 500万円 | 10.4万円 | 3,500万円 | 5,000万円 |
| 600万円 | 12.5万円 | 4,200万円 | 6,000万円 |
<頭金がどれだけ影響するか?>
3,000万円の物件を購入する場合:
- 頭金なし:借入3,000万円、月返済約9.2万円(35年)
- 頭金10%(300万円):借入2,700万円、月返済約8.3万円
- 頭金20%(600万円):借入2,400万円、月返済約7.4万円
頭金を10%増やすだけで、月々の返済が1万円近く下がります。
この差は、年間12万円、人生30年で360万円の余裕を生み出します。
<年収600万円層が失敗しやすいパターン>
パターン①:銀行の「貸してくれる額」で借り過ぎる
年収600万円で6,000万円の借入をした場合、月々20万円の返済が必要です。
手取りが約450万円なら、年間120万円(手取りの26%)を返済に充てることになり、生活が圧迫されます。
パターン②:変動金利で現在の低金利に頼る
2024~2025年、金利は比較的低い水準にあります。しかし、変動金利を選ぶと、今後の金利上昇で月返済が増える可能性があります。
年0.5%の金利上昇で、月返済は約2~3万円増えることもあります。
パターン③:子どもが生まれた後の資金計画の甘さ
子ども1人の教育費は約1,000万円。年収600万円で、月返済が12.5万円なら、子どもの教育費を貯蓄する余裕は限定的です。
1人目の子どもだけなら何とかなっても、2人目、3人目となると、教育費の捻出が困難になります。
<年収600万円で安心して返済するための条件>
- 月返済は手取りの20%まで(手取り30万円なら月返済6万円)
- 頭金は20%以上用意(3,000万円物件なら600万円以上)
- 固定金利で30年ローン(変動金利の金利上昇リスク回避。でも、金利と相談)
- 予備資金として100万円以上を貯蓄継続(万が一の時の対応)
実例:年収600万円で失敗した夫婦
当社で相談された夫婦(夫年収600万円、妻年収300万円、世帯年収900万円)は、銀行の審査で5,500万円の借入が可能と判定されました。
彼らは「銀行が貸してくれるなら大丈夫」と考え、5,000万円で物件を購入しました。
しかし、2年後に妻の転職で年収が150万円に低下。月返済16万円が家計を圧迫し始めました。
さらに子どもが生まれて教育費も増加。現在、彼らは月々の支払いで綱渡り状態です。
逆に、最初から「月12万円が限界」と判断し、3,500万円の物件を購入していれば、人生に余裕が生まれていたはずです。
<自営業者・フリーランスの場合はさらに慎重に>
自営業者やフリーランスの場合、「手取りの年収」が不安定です。
銀行は過去3年の平均所得で審査しますが、実際には変動します。
過去3年の平均が600万円なら、実際は400万円の年もあるかもしれません。
その場合、会社員の年収600万円とは異なる「リスク」を抱えています。
自営業者なら、会社員の同じ年収額より1段階低く想定して、借入額を決めるのが賢明です。
【結論:「銀行が貸してくれる額」ではなく「人生で返せる額」を基準に】
年収600万円層の最適な借入額は、銀行の基準ではなく、ご自身の人生設計から逆算すべきです。
子どもの教育費、両親の介護費、自分たちのセカンドライフなど、人生には多くの出費があります。
その中で、「月返済いくらなら無理なく続けられるか」を考えることが、後悔のない住宅購入につながるのです。
津田商会では、年収や貯蓄だけでなく、今後のライフプランから、ご自身にとって「本当に無理のない借入額」をシミュレーションいたします。
いつ、何が起こってもおかしくない時代です。
お金を貸す銀行は、基本的にはあなたの将来の最悪の想定には無慈悲です。
今も将来も見据えられるのは自分自身のみ。
だからこそ、慎重にならないと本当はいけないものだと思います。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池