
Vol.311 ハザードエリアはどう決めている?
ハザードエリアはどう決めている?
〜「危ない場所」は誰がどうやって線引きしているのか〜
不動産を探し始めると、必ずぶつかる「ハザードマップ」
「このエリアって危ないってことですか?」
「色がついてる場所は住まない方がいいんですか?」
しかし、そもそも疑問に思いませんか?
「このハザードエリアって、誰がどうやって決めているの?」
今回は、不動産会社の視点も交えながら、
ハザードエリアの決まり方とその見方について、解説していきます。
1.ハザードエリアとは何か
まず前提として、ハザードエリアとは、「災害が起きた場合に被害が想定される範囲」のことです。
主に次のような災害が対象になります。
・洪水
・浸水(内水)
・土砂災害
・津波
・高潮
これらを地図上に示したものがハザードマップです。
2.誰が決めているのか?
ハザードエリアは、
・国(国土交通省など)
・都道府県
・市区町村
が連携して作成しています。
特に重要なのは、国や専門機関が行うシミュレーションです。
【決め方の基本は「シミュレーション」】
ハザードエリアは、過去のデータ+科学的な計算によって決められています。
例えば洪水の場合、
・過去の降雨量
・河川の流量
・地形
・堤防の高さ
などをもとに、「もし大雨が降ったらどうなるか?」をシミュレーションします。
その結果、
・どこまで水が来るのか
・どれくらいの深さになるのか
を予測し、エリアを色分けしているのです。
3.実は「最悪のケース」を想定している
ここで重要なポイントがあります。
それは、ハザードマップは“最悪のケース”を想定しているということです。
例えば、
・100年に一度の大雨
・想定最大規模の降雨
といった条件で作られています。
つまり、普段の状態では起きないレベルを前提にしています。
【だから「危険=住めない」ではない】
ここで誤解されがちなのが、「ハザードエリア=危険だから住めない」という考え方です。
しかし実際には、
・都市部の多くが何らかのハザードに該当
・人気エリアでも色がついている
というケースは珍しくありません。
川の近くの便利なエリアや平坦で住みやすい場所ほど、浸水リスクがあることも多いです。
4.不動産会社が見るポイント
不動産会社としてハザードを見るときは、単純に「色がついているかどうか?」では判断しません。
重要なのは、「どの程度のリスクか」です。
・浸水想定0.5m未満
・2m以上
では、意味が全く違います。
また、
・避難場所が近いか?
・地形的に安全な場所があるか?
といった点も重要です。
【土砂災害エリアの考え方】
もう一つ注意したいのが、土砂災害警戒区域です。
これは、
・急傾斜地
・山の近く
・崖地
などで指定されます。
こちらは洪水と違い、局所的で影響が大きいのが特徴です。
そのため、建築制限やローン審査に影響するケースもあります。
5.「昔は大丈夫だった」は通用しない
よくあるのが、「ここは昔から何も起きてないから大丈夫」という考え方です。
しかし、
・気候変動
・都市開発
・排水能力の変化
によって、リスクは変わってきています。
実際、これまで安全と言われていた場所で被害が出るケースも増えています。
【ハザードマップの正しい使い方】
では、ハザードマップはどう使えばいいのでしょうか。
ポイントは3つです。
①リスクを知る
まずは、「どんなリスクがあるのか?」を把握すること。
②対策を考える
・保険に入る
・避難経路を確認する
・1階を避ける
など、対策は可能です。
③許容できるか判断する
最終的には、そのリスクを受け入れられるか?です。
これは人によって異なります。
6.不動産会社としての本音
正直に言うと、「ハザードがあるからダメ!」とは一概には言えません。
・利便性
・価格
・環境
とのバランスがあるからです。
多少のリスクがあっても、
・駅近
・価格が安い
という理由で選ばれる方もいます。
ハザードエリアは、過去のデータや科学的なシミュレーションによって、
将来起こり得るリスクを可視化したものです。
そしてそれは、最悪のケースを想定したものでもあります。
家探しにおいて大切なのは、リスクをゼロにすることではなく、理解すること。
「危ない場所を避けるため」だけではなく、「正しく備えるための情報」です。
当然に、ハザード上何もないエリアでも、何かが起こる可能性は余裕であります。
お住いのエリアのハザードマップは、市区町村で発行されています。
無料ですから、興味ある方は見てみて下さい。
記:ライフプランナー 武井