
Vol.320 アパートやマンションに自販機がある理由
〜収益だけじゃない?節税と消費税還付まで関係する“戦略設備”〜
アパートやマンションの敷地内にある自動販売機。
・なぜここにあるのか?
・そんなに売れるのか?
・ただのサービスなのか?
一見すると小さな設備ですが、不動産会社の視点で見ると、
「しっかり計算された存在」であることが分かります。
特に近年は、
・収益性
・節税効果
・消費税の仕組み
まで絡んでくることもあり、単なる便利設備ではなく“経営ツール”の一つとして活用されています。
今回は、アパート・マンションに自販機が設置される理由と、
節税・
1.安定した副収入になる
まず基本として、自販機は設置するだけで収益が発生する可能性がある設備です。
契約形態としては、
・売上歩合(売れた分の数%が入る)
・固定賃料(設置料として毎月一定額)
などがあります。
つまり、土地の一部を“貸している”感覚に近いビジネスです。
比較的、アパートやマンションには、
・中途半端な空きスペース
・建物が建てられない部分
が必ずと言っていいほど存在します。
そこに自販機を設置することで、“何も生まない土地”が“収益を生む場所”に変わるのです。
2.節税効果がある
ここからが本題の一つです。
自販機は、節税にもつながる可能性があります。
①減価償却による所得圧縮
自販機をオーナー自身が購入・設置する場合、それは「減価償却資産」として扱われます。
購入費用を一括ではなく、数年に分けて経費計上することができ、
課税所得を抑える効果が期待できます。
②関連費用も経費化できる
自販機に関する費用として、電気代や設置工事費、メンテナンス費などが発生します。
これらも条件に応じて必要経費として処理できるため、利益の圧縮 → 税負担の軽減につながります。
④:消費税還付の可能性
ここが少し専門的ですが、重要なポイントです。
【そもそも住宅賃貸は非課税】
アパートやマンションの家賃収入は、基本的に消費税がかからない(非課税)です。
つまり、通常は消費税を預かることがなく、還付も受けられないという構造です。
【自販機収入は課税対象になる】
一方で、自販機による収入は課税売上(消費税がかかる取引)となるケースが多いです。
これにより、オーナーは「課税事業者」になる可能性が出てきます。
【還付が発生するケースとは?】
課税事業者になると、支払った消費税(仕入れ・設備)や受け取った消費税(売上)の差額で税額が決まります。
ここで、
・設備投資(建物・自販機など)で大きな消費税を支払う
・自販機などで課税売上がある
という状況になると、消費税の還付を受けられる可能性が出てきます。
ただし注意が必要!
この消費税還付については、制度改正や要件の厳格化が進んでおり、簡単にできるものではありません。
また、意図的なスキームや短期的な対策は税務上問題になる可能性もあります。
そのため、必ず税理士など専門家と相談することが前提です。
⑤:防犯・付加価値としての役割
税務面だけでなく、物件としての価値向上にもつながります。
・夜間の照明効果
・人の出入りが増える
・入居者の利便性向上
これにより、空室対策の一部として機能することもあります。
3.不動産会社としてのリアルな見方
私たちは自販機を見るとき、単に「ある・ない」ではなく、
・収益性
・管理状況
・税務的な位置づけ
まで含めて判断します。
場合によっては、設置しない方が良いケースもあります。
一見すると小さな自販機ですが、その裏には不動産経営の考え方や戦略が詰まっています。
不動産は、建物・立地だけでなく、こうした細かな工夫の積み重ねで成り立っています。
不動産会社としては、収益・税務・管理のバランスを見ながら、最適な提案を行うことが役割です。
もし物件を見ていて、「なぜここに自販機があるのか?」と感じたら、
ぜひその背景を考えてみてください。
普段気にも止めていなかった自販機。
こうした観点で見ると、見方が変わって不動産の面白さもUPしますね。
記:ファイナンシャルプランナー 菊池