
Vol.411 家を売ったのに後から修理代を請求された!
売り手が知るべき契約不適合責任
「家を無事に売却できたと思ったら、
「雨漏りが見つかったので修理費を払ってほしいと言われた。」
「売った後なのに、なぜ自分がお金を負担しなければいけないの?
中古住宅の売却では、
不動産売却というと、多くの方は、「買主が決まって、代金を受け取れば終わり」と思われるかもしれません。
しかし、
それが、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)です。
特に中古住宅では、
・雨漏り
・シロアリ被害
・給排水管の故障
・建物の構造上の問題
・土地の境界問題
など、
今回は、不動産会社の視点から、
1.そもそも「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の違いとは?
以前、不動産売買では、「瑕疵担保責任」という言葉が一般的に使われていました。
これは、「売買した不動産に隠れた欠陥(瑕疵)があった場合、
しかし、2020年の民法改正により、現在では、契約不適合責任という制度へ変更されています。
大きな違いは、「隠れた欠陥があるか?」ではなく、
「契約内容と実際の不動産の状態が一致しているか?」が重要になった点です。
つまり、売買契約時に説明されていた内容と違う状態であれば、
例えば、こんなケースで売主が請求される可能性があります。
ケース① 引渡し後に雨漏りが発覚
売却時には気付かなかった雨漏り。
しかし、買主が入居後に天井のシミを発見。
調査した結果、「以前から雨漏りしていた可能性がある」となった場合、買主から、
・修理費用の請求
・補修対応の要求
・代金減額請求
などを求められる可能性があります。
ケース② 床下からシロアリ被害が発見された
中古住宅では、床下や壁内部など、普段見ることができない部分に問題が隠れていることがあります。
売主自身も知らなかった場合でも、契約内容によっては責任問題になることがあります。
ケース③ 給排水管の故障
築年数が経過した住宅では、給排水管の劣化も注意が必要です。
売却時には問題なく使用できていた設備でも、引渡し後すぐに故障すると買主から問い合わせを受けることがあります。
2.「知らなかった」では済まない場合がある
「自分も知らなかったのに、責任を負うのですか?」
契約不適合責任では、売主が問題を知っていたかどうかだけではなく、契約内容との違いが重要になります。
そのため、「知らなかったから絶対に責任がない」とは言い切れません。
もちろん、
だからこそ、売却前の準備が非常に重要になります。
防衛策①「物件状況報告書」を正確に書く
中古住宅売却では、売主が物件の状態を買主へ伝えることが重要です。
そのために使用されるのが、「物件状況報告書」です。
ここには、
・雨漏りの有無
・過去の修繕履歴
・リフォーム履歴
・設備故障
・近隣トラブル
・土地や建物に関する問題
などを記載します。
「悪いことを書くと売れなくなるのでは?」と思う方もいます。
しかし、実際には逆です。
問題を隠して売却するほうが、後々大きなトラブルになる可能性があります。
正直に情報を開示することが、売主自身を守ることになります。
防衛策② インスペクション(住宅診断)を活用する
売却前に、住宅診断(インスペクション)を実施する方法があります。
専門家が、
・基礎
・外壁
・屋根
・床下
・設備
・構造部分
などを確認します。
メリットは、売却前に建物状態を把握できることです。
例えば、「屋根に問題があります」と事前に分かっていれば、
修理して売却する、または価格に反映するという判断ができます。
何も知らずに売却するより、リスク管理がしやすくなります。
防衛策③ 契約書の内容を確認する
売買契約書には、契約不適合責任についての取り決めがあります。
確認すべきポイントは、
・責任期間
・責任範囲
・免責特約の有無
・対象となる設備
などです。
中古住宅の場合、売主が個人なのか、不動産会社なのか、築年数、建物状態によって契約内容は変わります。
「契約書は難しいから読まない」という方もいますが、売主自身を守る重要な書類です。
3.契約不適合責任を免責にできる場合はある?
売買契約では、「契約不適合責任を負わない」という特約を設定するケースもあります。
例えば、
・築年数が非常に古い住宅
・相続した空き家
・売主が建物状態を把握できない物件
などです。
ただし、何でも免責できるわけではありません。
特に、売主が知っていた不具合を告げなかった場合、免責特約があっても責任を問われる可能性があります。
また、売主が不動産会社となる場合は、法律上、免責に出来ません。
【「売却前の確認」が最も重要な理由】
不動産売却で最も避けたいのは、売却後に初めて問題が発覚することです。
なぜなら、売却後のトラブルはお金だけではなく、精神的な負担にもつながるからです。
買主から突然、
「修理してください」
「費用を負担してください」
と言われる状況は、売主にとって大きなストレスになります。
だからこそ、売却前に問題を把握することが重要です。
【不動産会社選びが売却後の安心を左右する】
不動産売却では、「高く売れる会社」を探す方が多いです。
もちろん価格は重要です。
しかし、本当に大切なのは、売却後まで考えた提案をしてくれる会社かどうかです。
良い不動産会社は、
・建物状態の確認
・リスク説明
・契約内容の整理
・必要な専門家紹介
・トラブル防止策
まで提案します。
売却価格だけで判断すると、後から大きな問題になる可能性があります。
この契約不適合責任の期間は、物件によっても違いがありますが関東の場合、
3か月・6か月とする場合が多い様に見受けられます。
契約前、むしろ広告の時点で免責ですと表記されている場合も何気に多く、買主側としても注意が必要となります。
もちろん、決められた期間後に何かあってもそれは買主の責任。
それがたとえ1日過ぎても買主の責任です。パワープレイは認められません。
新築物件の場合は、売主が不動産会社となりますから、
自動的に保証対象になるので安心ではあるのですが、
中古物件の場合は、売る側だけでなく買う側も注意する必要があります。
心配な方は、事前にハウスインスペクションを実施する方法もありますが、お金はかかります。
同時に、中古物件なので、何かしらは△や×は出てきます。
それを念頭に置いて頂いて検査を行っていただく心構えも必要。
やはり、安心はお金で買う時代なのかもしれません。
記:宅地建物取引士 原田